腸憩室

腸管の一部が袋のようにふくらんものを腸憩室という。食道や胃、腸など消化管には先天的、または後天的な憩室が数多くあり、多くの場合、それによって何かの症状があらわれるということはない。ただ、ときには出血や炎症を起こしたり、腸閉塞の原因となることがある。

  • 十二指腸憩室
    小腸の憩室としては最も一般的なもので、とくに十二指腸下部に多くみられる。数はひとつだけのことが多いが、ときには複数の憩室ができることもあり、その大きさもさまざまである。ほとんどの場合、症状はあらわれないが、憩室ができる原因として胆のう炎胆石症膵炎などの疾病があげられている。
  • 小腸(空腸・回腸)憩室
    十二指腸以外の小腸の憩室ができることはきわめてまれ。またできても病気の原因となることは少ない。ただ憩室内に細菌が繁殖すると、吸収不良症候群を起こすことがある。
  • メッケル憩室
    小腸の下のほうにある回腸末端にできる特殊な憩室である。これは出産までに胎児と母胎を結んでいた卵黄管が出産後も残ったもので、ときに腸閉塞の原因となったり、虫垂炎とよく似た症状を起こすことがある。
  • 大腸憩室
    大腸内部の圧力が高まって、周囲の腸壁の筋層が弱く、血管が出入りしている部分が押し出されてできる。日本人は大腸の右側にできることが多く、欧米人は左側にできることが多いのが特徴だが、最近では食生活の洋風化などで日本人でも左側にできることが多くなった。
    また大腸の左右に、いくつもの憩室ができる傾向も強まっている。右側にできる憩室はこれといった症状のないことが多いが、左側の憩室は出血をまねいたり、憩室周囲炎の原因となったりする。

治療

憩室が見つかったからといって心配する必要はなく、基本的にはそのまま放置しておいても問題はない。下血や腹痛、発熱などの症状があらわれたら、安静にして対症僚法を受ける。なおⅩ線検査では憩室と確定できない場合は、大腸内視鏡検査が行われる。ポリープだった場合は、同時に内視鏡的切除が行なわれる。

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