むくみ

甲状腺機能低下症

母親の甲状腺機能亢進症治療による二次的な病気で、甲状腺ホルモンの分泌低下のために起こることもある。先天性の場合はクレチン症(先天性甲状腺機能低下症) に、後天的に発病した場合は粘液水腫となる。

クレチン症

症状

初期は黄疸が長びき、補入力が弱い、体重増加不良、体温が低い、便秘、貧血、むくみ、皮膚の乾燥、臍ヘルニア(でべそ)などの症状があらわれる。進行すると首のすわりが悪い、歩行が遅れるなどの発育不全がみられ、しだいに鼻が低く、目の間隔が開き、舌が厚くて大きく、唇も厚くなるなどの特異な顔にをる。知能の遅れもみられ、放置すると痴呆症になることもある。

原因

生まれつき甲状腺が欠損、または発育停止したり、甲状腺はあっても甲状腺ホルモンを合成できないために、甲状腺ホルモンの分泌が正常より少なくなって障害が起こる。

診断

軽い段階では顔つきも正常で、臨床症状で診断するのはむずかしいが、尿検査で早期発見が可能である。

治療

生後1ヶ月以内に甲状腺ホルモン剤の服用を始めるが、この薬は原則として一生、飲み続ける必要がある。早期治僚を行えば知能の遅れなども防げ、良好な生活が可能である。

粘液水腫

症状

皮膚のむくみが全身、とくに顔に強くあらわれ、動作が鈍くなる。皮膚の乾燥、脱毛などもみられる。子どもの場合、早期に発見されることが多く、重症化するケースは少ない。

治療

甲状腺ホルモン剤を一生、服用する。

ネフローゼ症候群

たんばく尿と低たんばく血症、高コレステロール血症を伴う腎炎をいう。

症状

強いむくみが出るのが特徴。しかし初期は進行がゆるやかで、まぶたのむくみの場合は見逃されることが多い。進行すると、とくに顔と足にひどいむくみがあらわれ、尿量も減少してくる。

治療

治療の中心は食事療法と薬物療法で、安静が大切。むくみが強いときには入院が必要である。むくみがあるうちは塩分と水分を制限するが、むくみがとれれば、食事制限の必要はなく、むしろ消化がよく、栄養のバランスのとれた食事を心がけなければならない。

薬物療法として、おもに副腎皮質ホルモン剤の長期服用と免疫抑制剤が用いられるが、肥満になる、細菌やウィルスの感染に弱くなるなどの副作用があらわれるので、必ず医師の指示どおり服用する。副作用は治療が終了すれば、3ヶ月ほどでなくなる。

この病気は治ったり再発したりを繰り返しやすいため、根気よく治療にあたることが大切である。薬を飲んでいる間は、かぜなどをひかないように十分注意し、激しい運動は避ける。

急性腎炎(急性糸球体腎炎)

子どもの腎臓病のなかで最も多くみられる。3歳以下ではまれで、10歳までに多く起こる。

症状

むくみと血尿、高血圧を起こすのが特徴。顔がむくんで目のまわりがはれぼったくなり、向こうずねなどを指で強く押すとへこみができる。数日であらわれればむくみと気づくが、徐々に出た場合は太ったと思われることもある。

尿の回数が減り、1回の量も少なくなり、血液が混じる。しかし、ふつうは肉眼ではわからず、学校の集団健診で発見されることが多い。
ひどくなると、コーヒーのような色になってくる。さらに症状が進むと血圧が異常に高くなり、頭痛や吐きけ、嘔吐を訴え、意識障害やけいれんを起こす。

原因

A群β溶連菌に対するアレルギー反応で腎臓の組織がおかされる。かぜや扁桃炎、猩紅熱などにかかった2~3週間後に起こしやすい。

治療

かぜをひいたあとなどに、顔がむくんで尿の回数が減ってきた場合には、この病気の疑いがあるので、すぐに検査を受ける。急性腎炎と診断されれば入院治療が必要となる。

安静を第一に、治療は食事療法が中心。むくみのある間は、塩分とたんばく質、水分を厳しく制限し、カラシやコショウなどの刺激物も避ける。症状が軽くなるにつれて、少しずつ制限をゆるめていく。

薬物療法としては抗生物質のほか、腎臓からの出血に対しては止血剤、高血圧脳症を起こした場合には降圧剤や鎮静剤、強心剤などが用いられる。一般に子どもの場合は比較的治りやすく、適切な治療を行えば多くは半年から1一年ほどで回復するが、数パーセントは慢性腎炎への移行がみられる。