ストレス解消のためにお酒を飲むサラリーマンが多いとのことですが、アルコールで本当にストレス解消できるのでしょうか?

国内のサラリーマンが1年間で飲みほすアルコールの量は、バブルのさなかの1989年度、もっとも好まれるビールで600万klでした。

この量を東京ドームにそそぐと、なんと7.1杯分にも相当します。現代はストレス過剰の時代です。こんな大量のアルコールをわが国のサラリーマンらが飲みほす目的は、酔っぱらうことによって、日ごろのストレスを解消したいからでしょう。

厚生労働省が、1988年度時点に行った「健康福祉動向調査」によると、国民の2人に1人は日々の生活にストレスを感じています。
とくに、中年層のサラリーマンでは、「前日の疲れが翌日まで残る」「疲れやすく、イライラする」「肩や首すじがこる」などの心身症的な訴えが多くなっています。

「不満」「悩み」「疲労」などもまとめて「ストレス」として回答にふくめると、35歳から54歳までの働き盛りの男性の12~13% が、「ストレスが大いにある」と答えています。

そのストレスの内容とは、5割以上が仕事上のことであって、とくに「職場内の人づきあい」と回答した人がそのうちの6割と、とび抜けて多くなっています。

ストレスの解消法として、手軽に「酒を飲む」と答えた人は、4割以上を占め、その30.4% が毎日飲酒しています。月1~2回以上飲酒する人をふくめると、74%にもなります。

これに対して、ストレス解消法として本来のぞましい「趣味・スポーツにうちこむ」と回答している人は35.5% にすぎません。

たえず仕事に追いまくられて、つい手軽な赤提灯やカラオケ・バーにストレス解消の場をもとめてしまう、わが国の中高年サラリーマンの悲しい習性がほのみえてくるアンケート調査結果といえます。

わが国のサラリーマンがこんなにもアルコールに依存するのは、かたくるしい管理社会の束縛を酒の酔いにしばし忘れて、やはりみずからを解放したいからなのでしょう。