2019年 1月 の投稿一覧

アルコール症や依存症にならないお酒の飲み方(1日の飲酒量)

1日の飲酒を2合(360cc)以内にする

まず、第一は、1日のアルコール処理能力をこえた大量のお酒を飲まないことです。個人差やその日の健康状態によって多少の幅がありますが、いっぱんに健康な成人男子のアルコール解毒能力は、体重てロ1kgあたり1日2.4gとされます。

体重55kgの人の場合、1日のアルコール処彗旦は130ml(清酒換算で4.7合)となります。

したがって、1日150ml(清酒5.4合)以上の飲酒をつづける大量飲酒から、とうぜんアルコール依存症の発生率は高くなります。

ところで、国内の酒類の年間消費量の推移から、大量飲酒者がどのくらいいるかをみることができます。これは、民族のような大集団になると、その飲酒量は正規分布するという原理によるものです。
つまり、その集団の酒類の平均滑費量を知れば、その集団の大量飲酒者の数が自然に推定できるのです。

1955年から1991年までの36年間の飲酒人口と大量飲酒者の数の推移は、高度成長によるGNPの伸びとともに酒類消費量と大量飲酒者の数は急激に増加しました。1982年ごろから190万人の飽和状態に達して伸び率はにぶくなりましたが、最近では230万人をこえています。

ところで、体内にはいったアルコール分は、もっぱら肝臓で分解されて排泄されます。そこで、この大量飲酒者たちは毎日肝臓を酷使していることになります。

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https://memodiary.wp.xdomain.jp/archives/320

体重60kgの平均的な日本人が1時間で分解できるアルコール量は6.6gで、これは清酒、50ml、(ウィスキーで20ml、ビールは180ml)にあたります。

400ml(2号強)の清酒が体内から完全に排泄されるには長めに見積もると8時間かかることになります。
したがってアルコール分を翌朝に残さないようにするには1日の飲酒量を2合以内に抑えることが大切でこれが健康飲酒の第一条件です。

もちろん、この処理能力は年齢とともに低下します。とくに肝障害をおこして肝臓の機能が50%に低下すると、清酒2合でも4合以上の大量飲酒を行ったのと同等になります。酒のために肝臓をこわしたような人は、キッパリと酒をやめることがだいじです。

週に1~2日は飲まない日をつくる

もうひとつ、四六時中アルコール分が体内に残っていることが、依存症をおこす必須条件でした。この意味で、二日酔いの朝に「迎え酒」をするなどは、アルコール依存症志願の自殺行為ですし、たとえ休日であっても朝から飲酒する習慣は、アルコール依存症になって身代をつぶす近道です。

週に1回は体内から完全にアルコールを追いだす「ドライ・デイ」休肝日をもうけることがアルコール依存症の予防につながります。
四六時中アルコール漬けになっていると、中枢神経系がアルコール分なしにははたらかなくなり、急にアルコールを中断すると自律神経系をもふくめてパニックをおこします。これが、いわゆる禁断症状のメカニズムです。

清酒換算で盲5.4合以上のアルコールを飲んでいる大量飲酒者の場合、体内のアルコールを完全になくすのにおおよそ48時間かかります。そこで、アルコール学会では、週のうちつづけて2日間の休肝日をもうけるよう指導しています。しかし、毎日が2合程度のお酒であれば、まる言問のドライ・デイでも十分でしょう。

2週間の禁酒が脂肪値を半分に
https://bloodvessel.biz/archives/113

飲み始めると止まらなくなってしまう

飲みはじめるとどうしてやめられなくなるのかを考えるときに、実験中央動物研究所の柳田氏が行ったアカゲザルの実験が非常に理解しやすいと言えるでしょう

医学の研究のなかに、ヒトの病気と似た精神病様状態を動物におこさせる実験精神病理学の領域があります。たとえばサルがせっせと麻薬を自分の腕に注射する状態をつくれば、「麻薬中毒ザル」ができたことになります。
麻薬のかわりにアルコールを使用すれば、とうぜんアルコール依存症または、アルコール依存症のサルができます。

ところで、サルがいくら人真似に長けていても、静脈注射までは不可能です。そこで、あらかじめサルの静脈内に細いビニール管(カテーテル)を固定して、それを皮膚に縫いこんでおきます。
そのカテーテルの端をサルに背負わせたランドセル内の自動注入装置に結びつけます。パイロットランプがついているあいだにサルがオリのなかのレベーを何回か押すと、その信号がランドセル内の自動注入装置に送られて、なかから1回分のアルコールがサルの静脈内に注入されるというしくみになっています。

こうした装置によってサルにアルコールの酩酊感を学習させると、4週間後には、サルはやっきになってレバーを押しつづけるようになり、こうして、アル中のサルのできあがりです。

このような依存成立のメカニズムについては、J・オルズの動物実験があります。オルズ氏によると、脳の視床下部、正中前脳束の投射領域には「快楽中枢」があるそうです。

ネズミの快楽中枢に埋めこみ式電極をセットし、オリのレバーを押すと電流が流れる装置をつくると、ネズミは夢中になってレバーを押し続け、快楽中枢に電気刺激をあたえるようになるそうです。

オルズ氏の主張する快楽中枢の場所とは、ノルアドレナリンによって作用のおこる領域です。覚せい剤の効果もノルアドレナリンの動員作用ですから、オルズ氏の見解も否定できません。

オルズ氏の実験は薬物依存の本質にせまる興味深い研究でしたが、彼が亡くなってしまったので、快楽中枢説の評価はうやむやになってしまいました。

柳田氏のアル中のサルの実験も、脳のなかにどこか飲酒の快楽中枢があって、サルはアルコールの注入によってその快楽中枢を刺激しっづけているとも考えることができるでしょう。
柳田氏がアルコール依存症のサルをつくるのには4週間を要しましたが、もっと体重の軽いネズミなどの小動物は、かんたんにアルコール依存症になります。
たとえば、ネズミに大量のアルコールをあたえつづける「急速飽和実験」を行うと、わずか数日で、アルコールを断つといわゆる禁断症状をおこす「アルコール依存症」になってしまいます。つまり、朝から酒を飲みっばなしで、四六時中アルコールが切れないような飲みかたが、アルコール依存症になる近道なのです。

酒飲みがアルコール依存症に変わってしまうのは

問題飲酒とは、要するに自分で自分の飲酒をコントロールできなくなっている状態です。アルコール依存症やアルコール依存症などの区別や定義はありますが、たんなる大酒飲みだった人がアルコール依存症やアルコール依存症にかかわる境目は、飲みだしたらとまらない「連続飲酒発作」にあります。

この「連続飲酒発作」こそアルコール依存症の本質なのです。では、どうしてこんな状態がおこるのでしょうか。「わかってはいるけれどやめられない」とよく言います。

「明日の仕事にひびくから、もうこれで切りあげよう」と思うのに、ついもう一軒とハシゴをしてしまう心理これは酩酊によって意志の中枢(大脳の新皮質)がまっさきに麻酔してしまうので、もう一杯飲みたいという欲求にブレーキが効かなくなる状態なのです。

したがって、まだブレーキが効く量でキッパリ切りあげる習慣さえまもれば、アルコール依存症にはならないことになります。

ところが、「つい悪友に無理強いされて」「会社でおもしろくないことが重なって」、あるいは「祝い酒の度がすぎて」など、肝臓の解毒能力をこえた飲みすぎをつづけているうちに、泥酔から覚めてもまた飲みなおし、数日間飲みつづけるという「連続飲酒発作」がおこってきます。

こうした状態になると、当然会社も休んで、食事もとらず、カーテンを閉めた部屋で、嘔吐して胃が酒をうけつけなくなるまで飲みつづけることになります。

あとで本人に聞くと、飲んでも苦しくなるばかりなのに、病院にかつぎこまれるまで飲みつづけずにはいられなかったと口を揃えます。