梅毒

梅毒は日本では「花柳病」ともいわれ、世界的にはコロンブスがアメリカ大陸の発見とともにヨーロッパへ持ち帰ったとされ、日本には16世紀に伝わったといわれている。ほかの性病が減っている状況にありながら、この梅毒と淋病だけはいまもって感染する人がいるため、日本の代表的な性病となっている。

症状と経過

現在の梅毒は潜伏梅毒が主流で、その症状がほとんどあらわれないのが特徴である。ここでははっきりとした症状があらわれる場合を解説する。

梅毒は感染してからの経過で症状が変わり、第一期から第四期までに分けられる。

第一期梅毒

感染する機会があってから3ヶ月までの期間を指す。3週間を過ぎると、菌が感染した部分(性器や唇・指先・乳首など)にしこりができる。このしこりは痛くもかゆくもないのが特徴で見過ごしやすい。
しかし、しこりはしだいに水ぶくれとなり、くかいようずれて潰瘍になる。その潰瘍そのものは、軟膏をつければ快癒するために、梅毒であることを見過ごすことが多いので素人療法は危険。

陰部に病気があるときは、さらに鼠径部(太もものつけ根) のリンパ節がいくつもはれてくる。はれは大きいものだと鶏卵大にもなるが、前述のしこり同様に痛みがないのが特徴。

しこりもはれも1ヶ月ほどで小さくなり、しだいに消えてくるため、快癒したように思いがちだが、これは病状の潜伏期間に入っただけなので、思いあたる経験のある人は、泌尿器科で早めに診察を受けることが望ましい。

第二期梅毒

感染後3ヶ月から3年までの期間を指す。リンパ腺に入った病原体は増殖し、約九週間で薄赤い皮膚疹がおもに胴まわりに出る。
これは放っておくと消えるが、3週間ほどたつと今度はからだや顔面に銅紅色の丘疹(皮膚から盛り上がった発疹)が出て環状に並んでくる。

とくに皮膚が互いに接する旺門や性器の部分の丘疹は、扁平コンジロームというただれとなる。このなかには病原体がたくさんいるので、性交などで感染のもととなりやすい。
また、この期間には口のなかの粘膜に乳白色の斑点ができたり、頭髪などの脱毛が進んだり、さらに脱力感や食欲不振を訴えることもある。

第二期梅毒の発疹もとくにかゆみや痛みがなく、ほかの皮膚疹と区別がしやすいので梅毒を疑い、早急な検査と処置が大切。

第三期梅毒

感染後3年以上の期間を指す。この時期はおもに顔面や体部、手足の皮膚内にしこりができ、さらに頭部や鎖骨、胸骨などにはゴム瞳(ゴムのようなかたさの腫瘍)ができ、その表面の皮膚は暗赤色となって、しだいに皮膚が潰瘍となってくる。病原体が骨をおかしてくると、痛みを伴うようになり、眠れない日が続くこともある。

第四期梅毒

感染後10年以上経過した時期を指す。皮膚の病変はなくなり、神経梅毒(知覚障害、歩行障害)、脳梅毒(痴呆)、心臓血管梅毒(胸部大動脈瘤、冠動脈障害)などを発症する。

現在では、三期梅毒、四期梅毒にまで進むケースはまれである。妊娠梅毒妊婦が梅毒に感染すると、胎盤の形成が始まる妊娠4ヶ月月ごろから胎児に影響を及ぼし、流産や死産を起こすことが多い。

梅毒感染がある場合は早期の治療が必要で、このため母子手帳交付のさいに梅毒血清検査を受けることになっている。先天梅毒母親が妊娠前に梅毒に感染していると多くは早産となる。
月満ちて出産しても、新生児は先天梅毒にかかっているのがふつうで、全身の皮膚や手のひら、足の裏などに梅毒疹ができ、成長に伴って歯や目、鼻、骨、脳などに梅毒特有の症状があらわれる。

男性特有の症状

原因

梅毒は伝染病のひとつで、性交やキスなどによる接触感染で起こる慢性の性病である。トレポーマ・パリズム(スピロヘータ・パリダ)という病原体が原因で、梅毒患者の外陰部のほかに、唇、乳房、指などを通して、人から人へと伝染する。感染は皮膚や粘膜などの小さな傷口から始まるが、そこで菌はしだいに増えてリンパ腺に侵入、それが全身に広がっていく。

診断

梅毒血清反応が診断の決め手になる。ワッセルマン反応やガラス板法などいろいろな検査法があるが、ふつう何種類かを組み合わせて検査し、総合的に判定される。
なお、この血清反応は抗体を見つける検査なので、抗体ができる感染後4~6週に受ける必要がある。

治療

ペニシリンやマクロライド系、テトラサイクリン系などの抗生物質の注射または内服が有効で、第二期梅毒までの場合ならふつう2~4週間の治療で治る。なお、第二期と第四期の梅毒は治療後1~2年で血清反応が陰性になるが、第三期以後の梅毒の場合は、十分な治療をして治っても血清反応はなかなか陰性にならない。

予防

梅毒は性病のため、国が性病予防法をもってその行政指導にあたっている。もしも梅毒の疑いがあったら、すぐ専門医に診察してもらい、家族や周囲の人に感染しないよう適切な処置をとることが肝心である。このとき医師は診断を行政に届けることが義務化されている。梅毒は性交によって感染するだけに感染の心配があるときの性交は避けるのが当然である。

梅毒に関するQ&A|厚生労働省

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