外陰部の皮膚や粘膜が正常な色素を失って、部分的に白色や赤色を呈したり、かたくなったりする病変で、増殖性ジストロフィーと硬化性苔癖、そしてこの両方の病変がいっしょになった混合性ジストロフィーに分類される。
かつては外陰白斑症、外陰萎縮症などの病名で呼ばれ、外陰がんの前がん状態とも考えられていたが、現在ではがんとの関連は薄いとされている。
原因と症状
外陰ジストロフィーのはっきりとした原因はまだ究明されていないが、外陰の発育異常、卵巣機能の低下、栄養障害、アレルギし代謝異常などの関与が報告されている。増殖性ジストロフィー細胞の異型を伴うものと、伴わないものとがあるが、いずれも外陰部の皮膚や粘膜の色素がしだいに失われていき、まだら状の自紅色または白色になってくる。
症状が進行すると外陰が萎縮を起こし、皮膚は隆起して厚くなり、光沢をもってかたくなる。硬化性苔癬は、従来は外陰萎縮症といわれていたもので、皮膚が萎縮してややくぼみ、光沢のある白いなめし皮状にかたくなってくる。病変は小陰昏や陰核に始まり、しだいに大陰唇に移って、最後は小陰唇が消失したり畦口が狭くなる。このため性交や排尿に支障をきたすこともある。
治療
がんとの関連は薄いとはいえ、100% 否定はできないので、白斑ができたら早期に治療を受けることが大切である。一般には、抗生物質や副腎皮質ホルモン剤を含む軟膏やクリームを患部に塗るのが有効である。
ただし、病変部の組織に異型細胞が認められる場合は、外科的に病変部を含めて広く切除したり、抗がん剤(フルオロウラシル) の軟膏を塗布することもある。いずれも長期間の治療を要するため副作用に十分注意する。