胸が痛い・しめつけられる感じ

胸膜炎

症状と原因

原因はさまざまであり、細菌やウィルス、リケッチア、真菌などの感染によって起こるものや、リウマチなど全身性の疾患が原因となることもある。
症状は原因によって変わり、次のような症状をきたす。細菌やウィルス感染によるもの全身のだるさや動悸、頻脈、不整脈などが起きることもある。
しかし一過性のものなので、見過ごしやすい。軽症のものは心電図の測定をしなければわからないこともあり、ほとんどが自然に治癒するものである。
ジフテリア心筋炎ジフテリア菌の毒素によって心筋に壊死が起こる心筋炎で、最近はほとんどみられなくなった。症状としては不整脈が主で、心臓ショックや突然死に至るケースもあり、患者の50% は死亡する。リウマチ性心筋炎発熱や喉頭痛、せきなどかぜの症状が初期に起こり、進行すると心不全や不整脈が出ることもある。

治療

心筋炎の症状が消えるまで絶対安静にすることが第一である。

自然気胸

外傷などを受けず、肺の疾患などで胸膜腔に空気がたまった状態を自然気陶といって、胸部の圧迫感をおぼえたりする。

症状と原因

肺が圧迫されたり、胸部の不快感、痔痛や呼吸困難などが起きる。原因としては、肺の表面にでき気腫のう胞という小さなふくらみが破裂したり、胸膜の癒着部分がなんらかの原因で裂けたりして、そこから肺のなかにあった空気が胸膜腔内にもれるためと考えられる。

症状と原因

肺が圧迫されたり、胸部の不快感、疼痛や呼吸困難などが起きる。原因としては、肺の表面にできた気腫のう胞という小さなふくらみが破裂したり、胸膜の癒着部分がなんらかの原因で裂けたりして、そこから肺のなかにあった空気が胸膜腔内にもれるためと考えられる。

治療

安静にしていれば自然に破れた胸膜はふさがり、癒着も自然に治り、肺も膨張してくるものである。それでもなかなか好転しない場合は、脱気法といって胸腔にある空気を抜く方法がとられる。この方法でも回復しないときは手術をする。

狭心症

急に前胸部の真ん中が締めつけられるような痛みを感じ、ときには大きな不安を伴うような胸痛が一過性に起こる状態を狭心症という。狭心症には、次のようなタイプがある。

労作型狭心症

狭心症の代表的なもので、食事をしたり、坂道や階段を昇降したり、ストレスや精神的に興奮したり、心臓に負担となるような運動量をこなしたりしたときに起こることが多い。
発作の持続は長くても10分、おおよそ3~5分程度続くものである。ただ、たいていの場合は静かにしているとおさまるのが特徴である。

異常狭心症

冠動脈がけいれんして血流量が減るために、発作を起こすと考えられているので、血管撃縮型狭心症とも呼ばれる。労作型狭心症のように、心臓に明らかな負担をかけているわけではないのに狭心症が起こり、痛みが激しいのも特徴である。

不安定狭心症

安定した状態にあった労作型狭心症などが、それまでと違って安静的なちょっとした労作などでも発作を繰り返し起こし、発作のたびに症状がしだいに強くなっていくタイプをいう。
この不安定狭心症は心筋梗塞へ進展する可能性が高いので、とくに注意が必要である。

症状

前胸部の中央部に狭心痛と呼ばれる胸痛が走るが、これは心筋梗塞と同様に、左肩、左腕、または右胸部や上腹部などいろいろなところに起きることがあり、それらに痛みが散在することがある。
痛みとしては、軽い痛みで発作と自覚しないほどのものから、前胸部が緒めつけられるようなものまでさまざまである。狭心症の特徴は、痛みというよりも胸が締めつけられるように感じたり、圧迫されるように感じることが多く、不安感に襲われるような感覚が主症状で、痛みはそれほど感じないこともある。痛みの持続時間は前述のとおり、タイプによって多少異なるものの、発作には違いなく、、突然起こり、短期間で自然におさまるのがふつうである。

原因

心臓と心臓機能を養っている血管(冠動脈) の血の流れが一時的な障害を受けて悪くなり、心臓の筋肉が酸素不足に陥るために発作につながる。この状態を虚血というが、痛みの起こるしくみはよくわかっていない。
ただ、虚血した心筋から痛みを生み出すような物質が出て、心筋の神経を刺激することから起こるともいわれている。

冠動脈の血流が悪くなるのは、おもに動脈硬化が進んだ結果、血管の内腔が狭くなったためだが、冠動脈との関係も否定できない。

検査と診断

狭心症の疑いのある症状があらわれたら、すぐに医師の診察を受けることが大切である。悪化していないといっても、狭心症の発作というのは比較的軽く、おさまるのも早いので放っておきがち。このため、進行させてしまうことが多いので、症状を自覚したら何よりも医師の診察を受けることが、症状を悪化させないですむことにつながる。
自覚症状がなくても危険性の高い病気であることをよく知っておくべきであろう。

狭心症の疑いで医師にかかるときは発作の状況や内容、頻度などを正しく細かに医師に伝えること。狭心症の場合、聴・打診では異常がないことがあるので、心電図検査は欠かせないものである。心筋に酸素欠乏の変化があるときは、その程度や部位などが心電図に直接あらわれるので正確な診断が可能。

心電図だけでは完全な診断ができない場合、冠動脈造影法を行う。これはカテーテルを使って冠動脈内に造影剤を注入、それをX線撮影を行って読み取る方法で、この検査を受けると、冠動脈の病変の程度や部位が確実に診断できるばかりでなく、治療法や治療後の状態についてもかなり正確な決め手となる情報が得られる。

治療

治療法としては一般療法、薬物療法、手術療法の3つがある。一般療法狭心症は、日常生活での注意がそのまま治療につながることが多い。とくに労作型狭心症では、心身を安静にしているだけで発作を抑えることもできるので、どのようなときに発作が起こるかをいちばんよく知っている患者本人が、発作をできるだけ回避するよう心がける必要がある。ともかく節度ある日常生活を心がけて、過度の運動や精神的な興奮、ストレスを避け、とくに動物性脂肪の多い肉食などの高エネルギー食を避け、休養と睡眠を十分にとる必要がある。また、冠動脈硬化を促進させる危険因子となる高血圧症、高脂血症、肥満、糖尿病、ストレスなどを取り除く必要がある。

もちろん、刺激性の高い喫煙や飲酒は絶対やめるべきである。薬物療法薬を使って行う治療としては、虚血心筋に対して酸素供給を増す薬を使う方法と、逆に心筋の酸素需要を少なくする薬を使う方法がある。
強心剤としてよく用いられる硝酸薬の、ニトログリセリンやイソソルビドジニトレートなどの舌下錠やスプレー剤は、狭心痛に対する即効性があり、通常、数分で発作がおさまる。

また、発作を起こすような仕事や運動などの労作や、精神的に興奮したり、ストレスを感じたりすることが予測される場合は、これらの薬を服用することで予防できる。狭心症と診断されて、発作が頻繁に起こり、不安な場合は、医師の処方に従って、この薬を常備しておくと安心である。

このほかの薬としては、皮膚から吸収させて効果を持続させるための貼布型の硝酸薬もあり、発作の予防に有効である。とくに労作型狭心症にはβ遮断薬がよく使われる。これは硝酸薬のような速効性はないが、心筋の酸素需要を減らす効果があり、毎日連続して内服すれば、発作予防ができるという性質の薬として使用できる。

しかし、β遮断薬には心不全や気管支ぜんそくを誘発したり、悪化させる副作用もありうっ血性心不全や気管支ぜんそく、慢性閉塞肺疾・や高度の徐脈、心ブロックのある場合は使用できない。

さらに、異型狭心症に有効なものとしてほカルシウム括抗剤がある。就寝後、とくに深夜に発作が起こりやすい患者には、服用の時間や量を工夫すれば、効果的である。

以上の薬物寮法は、狭心症のタイプによって正しく使い分けることが大切で、上手に使えば非常に有効であるものの、狭心症の性質上、必ず、医師の処方に従って使用することを忘れてはいけない。

手術療法おもな手術としては、大動脈と冠動脈との間の狭窄部を飛び越えて、静脈をバイパスとして移植する手術を行うものがある。
また、最近では冠動脈の狭窄部を広げる方法もとられるようになっている。このために冠動脈造影法を行ってから、手術に適応があるかどうか検査しなければならない。

まぎらわしい病気

狭心症と似た症状をあらわすものとして、心臓神経症、心膜炎、心筋炎、胸膜炎、急性肺炎、自然気胸、肺塞栓、肋間神経痛、肋骨骨折などの関節や筋肉、神経からの痛みがあげられる。また、胆石、胃潰瘍、十二指腸潰瘍、食道疾患による痛みなどもある。期外収縮や発作性心臓頻柏などで起きる不整脈のときも、急激な胸部の不快感が生じる。

狭心症の発作を抑える硝酸薬はこちら