症状と経過

初期には食欲不振や腹部が張るといった症状があるが、一般にはこれといった自覚症状を訴えないことが多い。しかし、次第に手のひらが赤っぽくなり、皮膚が黒ずんでくる。
男性では、女性化乳房が起こることもある。進行にともなって、歯ぐきからの出血や鼻血、貧血、黄疸、下肢のむくみ、腹水などがあらわれる。さらに進行すると、星夜の区別や生年月日がわからなくなる肝性脳症が起こり、昏睡に陥ることもある。

また腹壁の静脈が怒張し、食道静脈熔の破裂のために大量吐血して、緊急治療が必要になるケースもある。

原因

原因としては慢性肝炎やアルコール、脂肪肝、寄生虫(日本住血吸虫)、先天性代謝異常などがあげられる。日本ではC型肝炎ウイルスによる慢性肝炎が最も多く、ついでB型肝炎ウイルス、アルコールの順となっている。A型肝炎から肝硬変になることはない。なお、最近では遺伝子レベルでの原因の解明も進められている。

検査

血液による肝機能検査のほか、超音波検査、X線、CTなどの画像診断が行われるが、確定診断のためには腹部から著説肝臓を観察する腹腔鏡検査や肝生検も行われる。

治療

重要なのは生活の注意と食事療法である。食事は薄味にして、たんばく質を十分にとり、食後1時間~1時間半は安静が基本。疲れは禁物なので過労を避け、禁酒を守る。黄痘や腹水がみられない軽度の場合なら、医師の指示のもとに生活と食事の注意を守っていれば、ほぼ通常の生活を送ることができる。
薬物療法では、消化剤、肝庇護剤、利尿剤、アンモニア値を下げる薬を服用する。利尿剤で腹水がひかないときは、腹部に針を刺して腹水を抜いたり、また食道静脈痛からの出血の危険が場合は、硬化療法、結染僚法などが行われる。出血は死亡につながるので、吐血したら一刻も早く病院に運び、緊急治療を受ける必要がある。