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膠原病

若年性関節リウマチ、全身性エリテマトーデス、リウマチ熱、皮膚筋炎、結節性紅斑など、全身の膠原線維を含む結合組織にフィブリノイド変性という変化がみられる疾患を膠原病という。

若年性関節リウマチ

慢性関節炎と発熱、リンパ節腫脹などの症状が子どもに起こるものを若年性関節リウマチという。最近はめったにみられなくなったが、2歳前後と8~13歳ごろに起こり、男児より女児のほうが多い。

症状

原因不明の熱が何日も続き、40度近くまで上がるかと思うと、その日に微熱にまで下がるなどの症状を繰り返す。手首、ひじ、指、ひざ、足首などの関節が痛み、はれてくる。また、年長児の場合には、首がまわりにくい、手足やからだがこわばるといった症状を訴えるが、幼児では、発熱以外の症状ははっきりしないことが多い。不規則な形のピンク色の発疹が出ることもあるが、かゆみはない。

治療

原因不明なので特効薬はないが、アスピリンや副腎皮質ホルモン剤で痛みや炎症を抑える。関節の痛みが強いうちは安静にし、軽くなるにつれ、関節の運動をさせる。この病気は、よくなったり再発したりを繰り返し、慢性の経過をたどるが、適正な治療を行えば、機能障害、生命の危険は少ない。

全身性エリテマトーデス

皮膚や全身臓器、小血管の結合組織にフィブリノイド変性や細胞浸潤がみられる。

症状

光に過敏となり、頬から鼻にかけて蝶の形に似た紅斑があらわれたり、からだや手足に不定形の紅斑が出たり、発熱、関節痛、リンパ節や牌臓のはれ、急性腎炎の症状、精神・神経症状などを伴うことがある。
子どもの場合は一般に予後が悪く、死に至ることが多い。また、腎臓障害の程度が予後を大きく左右する。

治療

症状によっては入院治療が必要となる。皮膚症状に対しては日光に当たらないようにすることが大切。薬はおもにアスピリン、副腎皮質ホルモン剤、免疫抑制剤などが使われる。

敗血症

新生児期にとくに起こりやすい病気で、多彩な症状があらわれる。

症状

高熱と微熱を繰り返したり、寒けやけいれんを伴ったりするほか、嘔吐、下痢がみられることもある。また皮膚や粘膜に発疹があらわれ、しばしば出血斑もみられる。

新生児、とくに未熟児など低体重児の場合は重症だが、敗血症に特有の症状がなく、むしろ不機嫌、不活発、ほ乳力低下、低体温などの症状があらわれる場合が多い。乳幼児では、免疫不全、ネフローゼ症候群、悪性腫瘍などの合併症としてみられることがある。

原因

皮膚の感染病巣や扁桃などから侵入した大腸菌、ブドウ球菌、溶連菌、緑膿菌、インフルエンザ菌、クラブシエラ菌、サルモネラ菌などの病原菌が血液中に入り、全身をまわって臓器に病変を起こすものである。新生児では、へそや腸管から病原菌が入るケースが多い。

診断と治療

高熱が出て、ぐったりとしてしまうことから敗血症が疑われ、血液培養で正確な診断が下される。敗血症が起こると、髄膜炎を併発して死亡する恐れもあるので、早期診断・早期治療が重要となる。′治療には抗生物質などが用いられる。

リウマチ熱

5~10歳代の子どもにみられるもので、知らない間に、心臓病を併発する恐れのある病気である。

症状

ひざ、足首、肩、ひじ、股関節など、からだの各部の関節がはれて痛み、発熱し、心臓がおかされて(心膜炎)脈が速くなり、顔色も悪くなる。
さらに、ひじなどの皮膚の下に小さな結節ができたり、あまり日立たないが皮膚に地図状の紅斑(約15~20%に発症)があらわれたり、手足が無意識に動くといった異常な動作がみられることもある。

原因

A群β 溶連菌の感染後に起こる過敏反応と考えられているが、発病は現在では少なくなっている。

治療

原因である溶連菌に対して抗生物質が用いられる。心膜炎を併発していない場合にはアスピリンが投与され、起こしている場合には副腎皮質ホルモン剤が比較的大量に用いられる。
溶連菌の再感染で再発しやすく、それによって心臓病に進みやすいため、安静と長期の治療が必要となる。再発防止のためペニシリンの内服を数年続ける必要もある。また、心膜炎を起こした場合は入院が必要である。

予防

溶連菌による扁桃炎などは、抗生物質で十分に治療しておく。75%が5年以内に再発するので、数年は咽頭炎や虫歯の治療に注意する。