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赤痢

赤痢菌が原因で起こる伝染病のひとつで、経口感染によって広がり、集団発生しやすい。赤痢と診断がついたら、すぐに隔離入院させる必要がある。
幸い、最近はきわめて少なくなったが、東南アジアなどからの帰国者が持ち込むケースがときどきみられるので、注意が必要。

症状と原因

赤痢菌の腸内感染によって発病。潜伏期間はふつう1~7日だが、12~32時間というときもある。急に発熱するケースが多く、ゾクゾクする寒けを伴い、数時間後には腹おうと痛、嘔吐、下痢などが起こる。

1回の排便の量は少ないが、排便回数が1日5~10回に及ぶ場合もあり、肛門脱を起こすことがある。また、優には血液やうみが混じるようになる。さらに、意識混濁やけいれんなどの脳症状や、脆が多く弱くなる、皮膚が蒼白になるといったチアノーゼを示し、手足が冷たくなる循環障害なども起こす。死亡率は高く、気管支炎や肺炎を併発する恐れもある。

治療

赤痢には抗生物質が有効だが、耐性ができやすいので、徹底的に治療しなければならない。食事は12~24時間は与えないで、その後少しずつ、番茶、おも湯、牛乳などを与えていく。便の状態がよくなり、食欲も出てきたら、食べ物の質をよくし、量も増やして栄養状態に注意する。

急性胃腸炎

乳幼児にみられる消化不良症。2歳末満の場合は、乳児下痢症と呼んでいたが、現在では年齢による区別はあいまいになりつつある。

症状

おもな症状は下痢で、嘔吐、腹痛、発熱、食欲不振などを伴う。便はゆるく、水様性の場合もあり、ときには血液が混じり、悪臭、すっぱいにおいがすることがある。

おなかを押すと痛がる場合もある。不機嫌で、ミルクの飲みが悪くなることも特徴のひとつである。病気ではない単純性下痢(下痢をしても食欲があり、機嫌もよく、嘔吐、発熱も伴わない)との見分け方のポイントとなる。

原因

ウィルスや細菌の感染が多く、離乳の失敗、暴飲暴食、寝冷えなどでも起こる。

治療

下痢がひどく、吐く場合には、程度に打よるが、1回食事を抜き、市販の小児用電解質飲料か白湯を少量与えてみる。嘔吐がなければ量を増やし、徐々に薄めたミルクやおも湯などを与えはじめる。

母乳の場合、下痢をしていても嘔吐がなければ飲ませてよい。発熱や嘔吐などの症状が強く、頻繁に下痢を起こすときには、脱水症状を起こしやすいので医師にみせる。

必要に応じ、投薬や輸液が行われる。幼児の場合は、症状によっては絶食させ、下痢をしている間でも水分は十分に与える。ただし、吐きけが強いときは水分補給はごく少しずつにし、吐きけがおさまってから消化のよいものを徐々に与える。糖分や脂肪分は下痢がおさまるまで避ける。

腸重積症

2歳以下の乳幼児、なかでも、生後3~12ヶ月ごろの男児がかかる率が高い。夏季や冬季に多くみられる。

症状

急に発病、腹痛のため激しく泣き、嘔吐、血便がみられる(三主徴)。

顔は蒼白となり、足を縮めて泣くこともあるが、発病後まもないときや、痛みによる発作と発作の間は、一見、健康そうで正常に戻ったように見えることがある(間欠的)。

痛みには比較的、鈍い1歳未満の子どもの場合は、痛みうより不機嫌、噂泣(泣き叫ぶ)、顔面蒼白などがおもな症状であることが多い。主徴のひとつの粘血便については、排便のない場合、浣腸をして確認する必要がある。ただし、家庭で行うのではなく、医師にまかせること。年長児では再発がしばしばみられる。

原因

腸管の一部が下部の腸管に入り込むもので、一種の腸閉塞(イレウス)の状態である。腸管のどの部分でも起こるが、最も多いのは生理的によかいもうく動く回盲結腸部で、全体の70~80% を占めている。

原因としてはウィルス感染による腸間膜リンパ節のはれや、腸閉リンパ濾胞の増殖、腸閉運動の変化などが考えられる。時間がたつと、はまり込んだ部分の血液の循環が悪くなり、腐って破れたり、腹膜炎を起こすこともあるため、早めの処置が必要。

治療

手遅れになると生命にかかわる。疑わしいときはすぐに医師の診察を受ける。軽症なら、肛門からバリウムを注入する高圧浣腸によって腸はもとに戻る。重症の場合には、早急な開腹手術が必要となる。