もうひとりの自分がいる

ギャンブルをする理由を自問してある程度、自分の気持ちが分かってもそれだけであはすみません。なぜなら、ギャンブルはどうしても「儲けたい」という金銭欲がからんでくるからです。実はこれがとてもやっかいだったりします。

欲望はひとつならば健全なのですが、複数が重なり合うと、問題を引き起こすリスクが高まります。ひたすら大当たりを求め続けるとパチンコは損をするに決まっています。大当たりの頻度は300回転のうち1回などと定められています。

ただし90%以上の確率で確実に大当たりを得ようと思えば、計算上は700回転以上が必要です。ある専門家の試算によると、大当たりだけを求めると大体1ヶ月当たり5万円から10万円の赤字が出てしまいます。

大当たりを求めるパチンコに徹するのだとしたら金銭欲は捨てないといけません。勝ってお金を増やして儲けようとするのは諦めて「月に5万円から10万円かけてあの至福の時間を味わおう」と思うならノープロブレムなのです。

ところが「ギャンブルが好きだからギャンブルをする」という人に、改めてその魅力はどこにあるのかを聞いてみると

  • お金を増やしたい
  • 勝って見返したい
  • イヤなことを発散させたい

と答える人がかなりいます。単にギャンブルが好きだといいながら、一方では金銭欲、勝利欲、現実逃避欲の充足を求めているのです。
このように複数の欲望を同時に求めようとすると深刻な自己矛盾を生んでしまいます。こういう精神状態を専門的には「両価性」と呼びます。

両価性とは「うれしいけれど、悲しい」とか「愛しているけれど、憎たらしい」というふうに相反する感情が同時に存在している状況をいいます。両価性があると心にはつねに葛藤があり、ストレスが生じてメンタルヘルス(精神的な健康)が得られなくなり、「なんのためにギャンブルをするのか」という欲望充足の戦略を失って依存症のきっかけとなります。

借金問題がないとしたら、ギャンブル依存症では「自分の欲望がわからなくなっている」「自分のなかに相反する2人の自分がいる」という自己矛盾が、いちぼん先に解決すべき課題です。

ギャンブルをしている間は嫌なことが忘れられて楽しくストレスも発散できるけれど、そうしている自分が情けないし、つらくてみっともない。家族に嫌な思いをさせて申し訳ないという罪悪感と後悔を持ちながら、一方でのめり込んでいるのです。

このように自分のなかに相反する2人の自分がいることを確認するのが第一歩です。とくにギャンブルをしながら「本当はこんなことはしたくない、別のことをしたい」と後悔していたり、背負う借金が多額になったときに「一体こんなに借金をしてまで、なにをやっているんだろう」と自分自身が情けなくなったりする自己矛盾があった場合は、ギャンブル依存症として精神医学的な治療の対象となります。

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