今、主流の疾患モデル

脱ギャンブルや小遣いの範囲内でギャンブルをする「コントロール・ギヤンブリング」に移行するなど、8割に効果を上げている「欲望充足モデル」についての前に、現在主流である「疾患(病気)モデル」についてです。

こちらのスクリーニングテストもアメリカ精神医学会のギャンブル依存症の診断基準もこのモデルをベースにしています。

このモデルによるとギャンブル依存症とは、「自分もしくはまわりの人に悪い結果をもたらすことを知りながら、ギャンブルがしたいという内的衝動をコントロールできないために生じる」と定義されています。

病態の中核となっているのは、ギャンブルがしたいという渇望を自ら抑える制御力の弱体化です。ギャンブルの習慣があっても、そこで得られる報酬に満足しており、ギャンブルに対する渇望がコントロールできている人は問題なくギャンブルを楽しんでいます。これを「社交的あるいはレジャーとしての)ギャンブリング」と呼びます。

ギャンブルをする人の大半はこの社交的ギャンブリングですが、ギャンブルに対する親和性が強く、自分を抑える制御力を超える渇望が生まれると「調節障害」を生じます。これがギャンブル依存症です。

疾患モデルの背景にあるのは、通常の脳がギャンブルをしたがる脳、つまり「ギャンブル脳」に変化するという仮説です。この仮説に従うと、脳内では次のような変化が起こっていると推察されます。

パチンコで大当たりが出る、競馬で大穴を当てる、カジノのルーレットで大金を手にるといったギャンブルにともなう強い刺激を受けると、中脳の「腹側被蓋野」というところにある神経細胞が興奮して、その末端から神経刺激物質である「ドーパミンン」が分泌されます。

腹側被蓋野は中央のオレンジ色の部分である。 腹側被蓋野(ふくそくひがいや、ventral tegmental area, ventral tegmentum、VTA)は哺乳類の脳における中脳の一領域であり、被蓋腹側に位置します。

ドーパミンは脳内で快感や報酬にかかわる「側坐核」、条件づけにかかわる「扁桃体」といった部分を刺激します。ギャンブル刺激が続くとこのルートが強化されるよぅになり、「またあの刺激が欲しい!」というギャンブル脳に変化して、のめり込みが制御不能に陥るというのです。

側坐核は、報酬、快感、嗜癖、恐怖などに重要な役割を果たすと考えられ、またこの部位の働きが強い者ほど嘘をつきやすいことが京都大学の研究グループによって突き止められています。側坐核は両側の大脳半球に一つずつ存在し。 尾状核頭と被殻前部が、透明中隔の外側で接する場所に位置します。

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