必ずしも脱ギャンブルにつながらないうえに、自己矛盾を抱えた疾患モデルに変わる依存症完治のモデルを考えるときにヒントになったことがあります。
それは依存症患者を長期的に観察すると3分の1以上に自然回復が見受けられるうえに、小遣いの範囲でギャンブルをする「コントロール・ギャンプリング」に回復するタイプも少なくないというものです。
こうしたギャンブル依存症が回復する方法には、通常4つの区分があります。
- 借金を重ねたことによる破産など絶望的状況に圧倒される
- 金銭欲が正しく活性化されて否応なく損得勘定をするようになる
- 絶望的な状況に陥るという恐怖心からギャンブルの刺激を避ける
- ギャンブルに替わる新たな活動をはじめる
4つのうちこの2と3を計画的かつ体系的に行うのが認知行動療法的ですが、最終的な回復の成否は4が成功するかどうかにかかっています。
ギャンブルが満たしてくれていた欲望を代わりに満たしてくれるものを見つけない限り、どれほどギャンブルの損得を理屈で理解しようとしても欲求不満が高まるばかりでいずれ、ギャンブル依存へと逆戻りしてしまいます。
ギャンブルをしたいという渇望感は、金銭欲や名誉欲などによって形成された「欲動」の複合体です。欲望とは専門的には人を何かの行動に向かわせる無意識レベルの衝動のことです。
「ギャンブル渇望を制御するためには、金銭欲や名誉欲といった欲動をギャンブル以外の方法で直接満たすことがもっとも自然」です。こうして導きだれたものが「欲望充足法」です。