ギャンブルをやめなくてもいい

たとえギャンブルで大借金をこしらえたとしても、「あなたのギャンブル勘は保たれています。複数の欲望を追い求めるあまり、一時的にその優れたギャンブル勘が働かなくなっているだけですよ」と繰り返し伝えます。

ここで本人の自尊心が傷ついて自己価値観が落ちると自暴自棄となり、治療に対して前向きになれないからです。これまでの疾患モデルでは、「ギャンブルにブレーキをかけられなくなったあなたは、ギャンブラーとして失格です。賭け事はもうおしまいにしましょうね。あなたはギャンブルをはじめたら最後、またとことんやってしまうような脳に変わってしまっているのです」などと説明してギャンブルを禁止していました。

脳内でなんらかの変化が起きていることは事実ですが、それをギャンブルをやめさせる目的で本人に伝えても「自分はダメだ」と自己価値観が落ちるだけ。ですから、まずは「ギャンブルする能力は落ちていません。他の欲望がそれを邪魔しないように、お金を増やすためだけに徹してください」と助言しますじ決してギャンブルを禁止しないのです。

もしギャンブルの目的が金銭欲のみであり、純粋に返済のためにギャンブルをしているとしたら、「借金返済に徹したギャンブルをしてください」とアドバイスします。

そして「目にもの見せてやる」とか「勝って終わりたい」とか「はじめた以上は徹底的にやる」といった他の欲望はみんな捨てるように助言するのです。ただし「それができますか?」と聞くと、多くの人は「それじゃあ面白くない」といいます。確かにプロのギャンブラーやパチプロの話を聞いたり本を読んだりしても、金銭欲に徹するギャンブルは仕事ですから全然面白くないらしいです。プロのギャンブラーは仕事としてギャンブルをして、そこに面白みを求めない代わりに、稼いだお金でリゾート地でくつろぐなど、ギャンブル以外で楽しみを求めるのです。

最初は「借金返済」「生活費稼ぎ」など「お金のため」といいながら、突き詰めると「お金のためにやるのはつまらない」と語るのはギャンブルに金銭欲以外のものを求めている証拠です。
最初は生活費、小遣い稼ぎ、学費稼ぎなど金銭欲に徹するギャンブルをしていたかもしれまんが、いつのまにか他の欲望が入り混んでしまうのです。

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