プライドが高い高齢者の場合

高齢者に多い「人生の意味喪失型」のギャンブル依存症に関しては、家族の言葉はとくに大きな効果を発揮します。

ビジネスパーソンの場合、退職しても本人はバリバリ働けるつもりでいます。仮に59歳までの能力を1 00だとすると、60歳で定年退職するときに能力がいきなり0 になるわけではないのです。いくらでも働けるのに定年退職しただけなので、「まだまだオレはいける」というところをどこかで見せたいと思っています。

第2 の職場、第3 の職場が見つかればよいのでしょうが、そうした職場が見つからなくても、いちばん身近な家族が評価をして言葉で伝えるだけでも本人は救われるのです。

定年退職している人には「家庭内で役割を与えるのがよい」とアドバイスする専門家もいますが、たとえば「お父さん、これからはポチの散歩係をお願い」と頼んでも、なにかバカにされた気持ちになったり拒否感を抱いたりする人もいるでしょう。

「大企業を停年まで勤めたオレにやらせるのか! 」とへソを曲げてしまい、さっさとギャンブルに出かけるようなケースも実際にあります。

ならばと「自治会や地元のボランティアグループに参加する」という手も考えられますが、そこで必ず高い評価が得られるとは限りません。

ギャンブルにのめり込むのは高齢者のなかでも評価や達成感を強く求めているタイプですから、大勢で同じことをやっても期待した評価や達成感を得るのは難しいかもしれません。他人から評価されるような趣味と出会えればラッキーですが、見つからなくても家族の言葉だけで精神的に十分に満たされます。

「お父さん、あのときはありがとう」とか「あのときは嫌なこといってどめんね」と言う言葉をかけるだけで自尊心が満たされてハッピーになり、ギャンブルで欲望を満たす必要がなくなってくるのです。

 

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