2020年 1月 の投稿一覧

気持ちを伝えれば罪悪感は半減する

正直に手紙を書いて、嘘偽りのない気持ちを伝えるだけでも後悔と罪悪感は半分以下に減って精神的にとても楽になります。

「受けとったほうにしてみれば、なにをいまさらと思うでしょう。だから、返事はないかもしれません。しかし伝えるだけでも気が楽になって、借金をしてまでギャンブルをしなくても済むようになるかもしれません」これはとても大きなハードルかもしれませんが、多くの人がこうした気持ちを伝えることでギャンブル依存症から脱出しています。

すっかり貧乏になって、朝からギャンブルに出かけるだけが楽しみという生活を送っているのが恥ずかしいから、自分から親しい人にコンタクトできないという人もいます。その背景には、どんな返事をされるのか、どういうふうに返されるかということに対する怯えがあります。

「感謝の気持ちが足りない自己中心的な行動の報いだ」とか「ざまあみろ」などと厳しい言葉で冷笑されるのはまっぴらどめんだし、逆に妙に同情されて哀れまれるのもそんたくつらいと思うようですが、それは相手の気持ちをきにしすぎなのです。

それが恥ずかしさを生み、手紙が書けないという人には「相手がどう考えようが、知ったことではありません」と思うようにします。

感謝の手紙は、自分の罪悪感や後悔を和らげるために相手を利用するだけの話。相手がどう思うかは、気にしなくていいのです。これは孤独な高齢者に限らず、若者にも当てはまる話ですが、依存症からの回復プロセスでは、徹底した個人主義的な発想が求められます。

周囲の思惑や気持ちを考えすぎたり、どう反応されるかをいちいち気にしたりしていたら回復は望めません。同様に家族も含めて他者の責任はできる限り引き受けないようにしてください。ある種の割り切りが必要です。特に最初はとことん自分中止でないとダメです。依存症から回復して別の喜びや欲望を見つけた段階でやっと相手の立場を考えられる余裕がでてくるものです。

 

迷惑をかけた方々への感謝の手紙

いまの日本では孤立した高齢者が急増しています。ひとり暮らしでギャンブルに依存している高齢者が多数います。なかには兄弟や親戚、子どもなどに不義理をして音信不通になっているなど、後悔と罪悪感が渦巻く人も少なくありません。

そういう高齢者たちがギャンブルに求めているのは、後悔と罪悪感からの一時的な解放です。心底ギャンブルが好きで借金してまでのめり込むならまだしも、後悔と罪悪感から逃げるためのギャンブルで借金するのはあまりにみじめですし、

破産宣告を受けてもギャンブルは止まりません。ギャンブルに向かわせる後悔と罪悪感がまったく解消されないからです。それならば「ギャンブルをするというまどろっこしい方法ではなく、「ご無沙汰していますが、お元気でしょうか? 私はいまこんな生活をしています。10年前にあなた嫌な思いをさせたのに、その場で素直に謝れなかったことを思い返していまも悔やんでいます」という内容の手紙を書いたらどうでしょうか?というのはどうでしょうか。

連絡したい相手との交流が長く途絶えていますし、高齢者同士ならメールアドレスや携帯電話の番号はおそらくわからないでしょう。それでも住所くらいはわかりますから、そこに手紙を出すのです。手紙は届かないかもしれませんし、届いても相手からの返事はないかもしれません。いや、返事がないことのほうが多いでしょう。それでもいいのです。

後悔と罪悪感から解放されればギャンブル依存症からも脱することができるでしょう。

退職金を使い果たして生きている実感を味わってもしょうがない

生きているという実感を手っとり早く味わえるという点では、ギャンブルのほかにアルコールがあります。というのも、酒は酔うほどに感覚が鈍くなると思われがちですが、アルコール依存が形成されると飲んでいるときのはうが、脳は生き生きとして活性化するのです。

そして過去の出来事がすべて自分に都合のいいように書き換えられます。退職した高齢者がかつての仕事を振り返って、「オレがあの難しい交渉をまとめなければ、いまの会社はないんだ」などと都合のいいように脚色して達成欲、名誉欲を満たしていきます。

でも、酒が飲める体質でない場合、同様の実感を得る目的でギャンブルに走るケースもあるのです。そういう高齢者の多くは家族からギャンブルにのめり込むことを責められながら、治療を強いられて病院を訪れます。

「年をとってからギャンブルで借金までしてみっともない」とか「退職金を食いつぶして一体どうするつもりなの! 」というふうに妻や子どもたちから散々非難されてやってくるのです。

ギャンブルに求めていたのは「自分のことを評価してほしい」という欲求だったのに、それをギャンブルで満たそうとしている間に、家族の評価を大きく下げる結果になってしまうわけです。

高齢者は人生経験を積んでいますから、ギャンブルは損をするし、割に合わないというのは理性ではわかっています。ただ一時的に「自分もその気になればまだまだできる」「本当はすどい」と評価してもらいたいだけ。そんな高齢者には過去の豊富な人生経験のなかから、ギャンブル以外で達成欲や名誉欲を満たせたことを見つけなければいけません。