「ギャンブル」も「依存」も本来はそこまで好きなものを見つけることができたという評価

「依存症」というと日本では「アルコール依存症」が非常に有名ですが、同じようにギャンブルに病的に依存する人もいます。これを「ギャンブリング障害」(ギャンブル依存症)と呼びます。一生のうちでギャンブル依存症に一度でも罹る割合は諸外国では0.8~2% 程度とされていますが、日本ではその数倍となるおよそ5%と推計されています。

全人口の5% が罷る疾患と考えると、決して稀な病気ではないのです。では、どんな人がギャンブル依存症なのでしょうか。世の中には競馬場へ毎週のように通っている人もいますし、パチンコが大好きで毎日通っている人もいます。酒好きが全員アルコール依存症ではないように、ギャンブル好きが全員ギャンブル依存症ということではもちろんありません。

では、どこで線引きをするのでしょうか。「ギャンブル」や「依存」という言葉にマイナスイメージを持つ人は多いですが、ギャンブルをしたり、なにかに依存したりすること自体は決して悪いことではありません。むしろ精神的な救いになることもあります。

ギャンブルにのめり込んで、依存症になってしまった人に医者は「ギャンブルをやめなさい」と一方的にいわれることはほとんどありません。

根っからのギャンブラー(そういう人もいます)を除くと、ギャンブルにのめり込む理由は多くの場合、ギャンブル欲求そのものではありません。ギャンブルはそれこそ人類が地球に生まれたときからありますが、そこに人々が古来求めてきたのは現実逃避、リラックス、達成感、あるいは「すごいね」といってもらいたい評価欲など、誰もが日常の生活で欲しているささいな望み。それを求めるのは当たり前のことなのです。

そしてギャンブルに限らず、なにかに依存するのも、それ自体は悪いことではありません。朝、パチンコ店の開店前に店先で列をつくって並んでいる人たちは、パチンコやスロットに依存しているのでしょう。でも、依存しているだけでは、それが治療を要する障害や病気とはいえないのです。

のめり込むほどギャンブルへの欲望が強いとしたら、それはむしろ「依存するくらいのめり込むものが見つけられてよかったですね」といってあげるべきこと。せっかくこの世に生を受けたのに自分の欲望すら判然とせず、何年も何十年もじっとうちに引きこもって生活している人(引きこもり)が増えているなかで、のめり込むものが見つかり、当人が心の底からギャンブルを楽しみ、喜んでやっているのだとしたら、病気どころか精神衛生上は健康で羨ましい話なのです。

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