乳房が痛い・しこりがある

乳腺症

症状

乳腺に腫痛ができる病気で、30歳から40歳代の女性に多くみられる。乳房にしこりができる病気のなかでいちばん多い。以前は乳がんの前がん状態であるといわれていたが、現在は、がんになることは5~6% と少ない。

この腫瘍には、細胞が増殖する部分と代謝に変化が起こり、特定の物質が増加する状態の変性部分とが混在している。卵巣ホルモンの分泌がさかんになる月経前に最も症状が強く、さわっただけでも痔痛を感じることがある。月経が終わると、しこりが消えてしまうことが多い。しこりが残っていても、線維腺腫のような周囲との境界のはっきりした立体感はなく、乳がんと異なり、えくぼ状の皮膚の陥没が生じることもない。しかし、早期乳がんとの区別が非常にむずかしいため、月経が終わってもなお、しこりが残るような場合は、専門医の診察を受ける必要がある。

原因

原因はまだはっきりしていないが、卵巣ホルモンの影響を受けていると考えられている。流早産、人工妊娠中絶、よく出ている母乳を止めた場合などが誘因となる。

診断と治療

分泌物、切除物の検査を行い、症状が軽いときはホルモン剤による治療を行う。乳がんと違い、しこりは2個以上の複数で、乳がんのようにかたくはないが、乳がんの可能性もあるため、ていねいに触診しなければならない。疑いのあるときには摘出手術を行う。入院は2~3日程度でよい。

乳腺線維腺腫

症状

乳腺に線維腫と腺腫の混合腫瘍が生じる病気。乳房に大豆大からジャガ芋大のしこりができる。周囲との境がはっきりしていて立体感があり、乳房にさわると、コロコロ逃げるように動くが、押しても痛みを感じることはない。

乳腺線維腺腫のなかで、発育が早くしこりがこぶしくらいの大きさになるものを巨大線維腺腫といい、問質細胞の増殖が活発で発育が早く、腫瘍の一部がのう胞(液体の満たされた袋)を形成する。

あるいは問質が粘液状に変わり、やわらかくなったり、腫瘍をおおう皮膚が薄くなって静脈がはち切れるようにふくれあがって見えるものがあるが、これらを葉状のう胞肉腫という。若い女性にできることがある巨大乳腺線維腺腫はかたいものの、痛みはないが、転移することはない。まれに多発したり、再発したりすることがある。既婚、未婚には関係ない。

診断と治療

手術による瞳瘍の摘出が必要である。乳腺線維腺腫と同じようにに周囲との境がはっきりしない腫瘍(しこり)ができる病気に、乳腺のう胞症や局部型の乳がんがあるため、腫瘍を摘出して検査する必要がある。
しこりが小さいときは、入院の必要はない。

生活の注意

良性のままで終わることが多いが、ある時期、突然大きくなったなどというときは、外科医の診察を受ける必要がある。