吐く・吐き気

新生児メレナ

血便と吐血を主とする、消化管の出血が起こる病気である。

症状

血液の混じった吐物や血便がみられる。吐物はコーヒーかすのような黒褐色、便はコールタールのような黒色。出血が多いと、鮮紅色の血液が混じることもあり、新鮮血を吐く。

重症の場合は失血によって死亡する。以上は真性メレナで、単に血液を嚥下して起こる吐血や下血(仮性メレナ)と区別する必要がある。
仮性メレナは、分娩中に産道の血液を飲んだり、生後きれつの母親の乳の報裂から出血した血液を飲んだために起こるものである。

原因

ビタミンK不足による血液凝固因子の障害、あるいは食道、胃、腸のぴらんなどが原因で、生後2~4日に発病する新生児出血性疾患のひとつ。

治療と予防

治療にはビタミンKが有効だが、未熟児や無酸素症を伴った新生児の場合には効かないことがある。失血が多い場合は新鮮血の輸血を行う。予防には、出生後早いうちにビタミンKを用いる。
ビタミンK

自家中毒症

2歳から10歳くらいにみられる病気で、尿に独特のにおいがある。6歳以下の比較的神経質な子どもに多い。

症状

ぐったりとして元気がないと思っているうちに、突然嘔吐する。1日に何度も吐くため、げっそりして、しまいには吐くものがなくなり、黄色い胆汁や、血液の混じったものを吐くこともある。

また、食欲不振、顔面蒼白、だるさ、頭痛をともなうこともあり、感染による場合には発熱がある。脱水が進むと、ウトウトする、けいれんを起こす、脈拍が弱くなる、血圧が低下するなどの症状があらわれて重症化する。

原因

風邪、疲労、精神的緊張などが誘因となって自律神経のバランスがくずれ、ケトン体(アセトンなど)という物質が血液中に増えて起こると考えられている。

治療

安静と精神的緊張をやわらげることが大切。鎮静剤や制吐剤の注射や、脱水症状に対する輸液などが行われる。軽症では少量の冷水を与える。
ひどい場合でも嘔吐はたいてい2~3日で止まり、しだいに回復していく。それでも吐く場合には、輸液が行われる。輸液した場合は、吐きけが止まって数時間後、水分から与えはじめる。

生活の注意

元気がなくなり、吐きけをもよおして、嘔吐が始まりそうなとき、あるいは嘔吐の初期には、安静にさせて十分、睡眠をとらせる。
安静を保ちながら、吐きけがあるうちは絶食し、吐きけがおさまったら、水分を少しずつとらせる。流動食で消化のよいものから始め、3~4日で、徐々にふつうの食事に戻す。

予防

心身の過労を避け、不安を感じさせないようにする必要がある。また過保護・過干渉は極力避けて、規則正しい生活、心身の鍛練なども心がける。
年に何回も繰り返すので、どんな場合に起きやすいか、前兆を知っておくことも大切である。

幽門狭窄症

幽門とは胃と十二指腸の境界部のことで、ここが十二指腸潰瘍などによってひきつれて、幽門部の通り道が狭まってしまう病気である。

症状

軽い場合にはあまり自覚症状はないが、狭窄が進むと胃のもたれや不快感を覚え、ときに嘔吐することもある。これは食べたものが胃から腸にいかず、胃のなかにたまるためである。

原因

十二指腸潰瘍が現任で起きることが最も多い。これは潰瘍が治るときに十二指腸が変形し、そのため幽門に狭窄ができるためである。また幽門部にできた潰瘍や胃がんによっても起きることがある。

診断

X線検査などが.行われる。その場合、造影剤が十二指腸に流れないので、容易に診断できる。

治療

重症の場合には手術が必要である。また栄養補給のために、輸液療法が行われる。