お腹が急激に痛い

胆嚢炎・胆管炎

胆のうや胆管に炎症が起きる病気だが、2つが合併して発病することが多く、まとめて胆道炎とも呼ばれる。

症状

急性の場合は、上腹部の痛みに発熱、吐きけが伴う。この場合、化膿した胆のうが破れて腹膜炎を起こす危険があるので、すぐに医師の診寧を受けなければならない。慢性の場合では、上腹部に軽い痛みがときどきあらわれるが、発熱しないこともある。
また脂肪分の多いものを食べると、便秘や食欲不振、吐きけが起こる。

原因

おもに細菌感染が原因となり、なかでも大腸菌によることが多い。そのほかにブドウ球菌や、連鎖球菌などりよくのうでも起き、最近は緑膿菌が原因となるケースが増えている。なお胆石症の人は、胆のう炎や胆肝炎になりやすい。

治療

利胆剤や抗生物質が用いられ、脂肪分の多い食事を避ける。

胆石症

症状

胆石ができても胆のうのなかにある間は痛みを感じない。痛みがあらわれるのは胆石が胆のうから押し出されるときで、そのさいに右の肋骨下に痛みがあらわれる。その痛みと並んで胆石の3大症状といわれる発熱、黄痘も同様にあらわれる。

原因

胆汁の排出がとどこおったり、成分が変化するために、胆汁成分が主として胆管や胆のう内で結晶化して結石となることが原因である。また大腸菌などに感染しても結石ができる。

診断

超音波検査が有効だが、胆石の質的診断や治療方針を決めるために、胆のうのⅩ線造影やⅩ線CT、内視鏡的逆行性胆管膵管造影が行われる。

治療

無症状で純粋なコレステロール胆石に対しては、胆汁酸製剤で溶解、排出する。そのほかの場合は手術によって胆石を取り出したり、レーザー光線や超音波などで胆石を破壊する。

膵炎

なんらかの原因で膵臓に炎症が起きる病気で、その結果、消化液やホルモンの分泌に異常があらわれる。

急性膵炎

症状

膵臓痛と呼ばれる上腹部の激痛がある。これはからだの左側にあらわれることが多い。また膵臓の後ろに神経叢があるため、しばしば背中にも痛みがあらわれる。そのほか発熱や吐きけ、嘔吐、冷や汗などが症状の度合いに応じてあらわれる。

原因

膵臓に含まれるたんばく質分解酵素や脂肪分解酵素によって、肺肝臓自体が破壊されることが原因となる。

診断

血液中の白血球を調べるほか、血液生化学検査で血糖値やアミラーゼなどを調べる。また腹部および胸部のⅩ線撮影や、腹部超音波検査も行われる。

治療

発病後2~3日は絶食し、点滴などによって水分と栄養を補給する。症状がおさまったら飲み物で水分を補給するようにし、食事療法を慎重に始める。薬物療法としては、鎮痛剤や消化液の分泌を抑える薬が用いられる。

慢性膵炎

症状

おもな症状は急性膵炎と同じ膵臓痛だが、慢性膵炎の経過中に急性の症状が繰り返されるケース以外は、痛みの程度は軽い。また嘔吐、吐きけを伴うほか、体重減少がみられる。

原因

膵臓が縮んでかたくなり、膵液が分泌されなくなる病気だが、その原因については不明な点が多い。ただ急性膵炎が慢性化するケースは20%以下で、多くは最初から慢性膵炎として発病する。また酒を多く飲む人に多い。

診断

膵臓の組織を取り出して膵生検を行うほか、腹部Ⅹ線撮影や膵管造影などが行われる。

治療

急性膵炎と同じく食事療法が重要になる。また消化酵素の不足は、消化酵素剤で補うようにする。