けいれん

破傷風

傷口から入った破傷風菌の毒素によって神経がおかされ、筋肉に強いけいれんがあらわれる病気。

症状

はじめに全身の倦怠感や頭痛があらわれ、やがて首にこわばりを感じるようになる。次いで顔の筋肉が硬直して口が開かなくなったり、けいれんによって泣き笑いのような表情になってしまう。
そしてさらに病気が進むそと、からだが弓のように反って後ろに曲がりはじめる。筋肉のけいれんを何度も繰り返す。けいれんが呼吸筋にまで及ぶと死に至ることもある。

原因

土のついた古クギなどを踏んだり、泥や砂をいじった手で傷口にさわるなどして破傷風菌が体内に入る。

治療

破傷風ヒト免疫グロブリンやペニシリンなどの注射をし、暗い静かな病室で酸素吸入などを行う。

てんかん

脳の機能障害によってけいれんや意識障害などが発作的にあらわれる。

症状

てんかんの代表的な発作には以下のようなものがある。

大発作

突然、叫び声をあげて倒れ、全身のけいれんとともに意識を失う。けいれんは、まず手足が突っ張る強直けいれんが起き、次いで手足がふるえる間代けいれんが起きる。
そして呼吸停止によるチアノーゼが1分間ほど続く。間代けいれんがおさまると口から泡をふくが、これは呼吸停止でロにたまっていた唾液が強くふき出されるためである。
呼吸が回複すると昏睡状態に入り、短いときは20〇分ほど、長いときでも2~3時間で昏睡から覚める。なお発作の数分または数時間前に、聴覚や視覚などの異常や手足のしびれ、筋肉のけいれん、発汗などの前ぶれ症状が出ることもある。

小発作

前ぶれ症状がなく、突然意識を失う。けいれんはなく、意識を失っている時間も数秒から数10分と短い。意意識回復後は発作前の作業をそのまま続けることかできる。
小発作は子どもに多いが、思春期を過ぎるころには自然と治り、成人後まで残ることは少ない。ただし、ときには小発作から大発作に移行することがある。

精神運動発作

意識障害によって異常な行動をとるもので、無意味・無目的な動作を繰り返す自動症と、幻覚や錯覚が繰り返しあらわれる自覚発作がある。
眼鏡をはずしてふき、ふいてはかけるといった動作を繰り返し続けるのが自動症で、数分から数10分後に発作がおさまっても本人はその間のことを覚えていない。
一方、自覚発作は、道を歩いていて突然目の前が崖になっているような気がして足がすくんでしまうといった幻覚が繰り返しあらわれる。

自律神経発作

吐きけや頭痛、動悸いった自律神経症状があらわれる発作で、小学生以下の幼児に多い。頭痛を訴えた子どもが5~10分後には何もなかったように元気になっている、ということが繰り返される。

筋緊張克進・喪失発作

筋肉が突然、力をこめたように盛り上がったり、逆に急に弛緩したりして倒れるという発作。生後半年から1年の赤ん坊が、突然、首をガタンと曲げる動作を繰り返す点頭てんかんも、その一種である。

原因

脳の病気などが原因となる症候性てんかんと、原因がわからないまま起きる真性てんかんがある。症候性てんかんの原因としては脳腫瘍や脳出血、脳動脈硬化症など脳の病気のほか、脳炎や髄膜炎、尿毒症やアルコール中毒症など脳に直接あるいは間接に悪影響を及ぼす病気などがある。
また仮死産など、出産のさいに胎児が受けた障害や子どものころに受けた頭部の外傷が、成長してからてんかんを引き起こすケース(残遺てんかん)もある。

診断

発作の様子をくわしく医師に話すことが大切である。ただし本人が発作を覚えていないケースが多いので、その場にいた人間が一緒にいくことが必要。また診断のさいには脳波検査が必ず行われるほか、脳腫瘍や脳動脈硬化症の有無をみるために脳Ⅹ線CT、MRI(磁気共鳴画像)などによる脳の精密検査が行われる。

治療

抗てんかん剤による発作の予防が中心となる。抗てんかん剤は、長期間、ときには一生服用しなければならない。しかし根気よく服用することで90% の患者の発作を予防、または発作の回数を減らすことができる。

適切な治療を受けていれば、社会生活には何の支障もないので病気に対する劣等感などをもつ必要はない。ただし仕事を選ぶさいには、車の運転など交通関係の仕事や高い場所での仕事は避けたほうがよい。また、過労や睡眠不足、飲酒、喫煙などには注意が必要。