眠れない

ヒステリー

ある事態に直面してその解決が困難な場合、幼児的・原始的な方法によって、その困難から脱出しようとする病気である。

症状と原因

会社や学校にいきたくないとき、「かぜをひけば休める」という無意識の願望が働いて、本当に頭痛を感じるようになる。また、ときには目が見えなくなる、手足がまひするなどの劇的な症状が出ることもある。
これらは心の深部にある不安が身体的な症状となってあらわれるもので、転換型ヒステリーという。
この場合、本人はからだの異常についてほとんど心配しないのが特徴で、目が見えなくても危険物は自然に避けて通る。このほか日ごろ抑圧されてきた願望が独立して、本来の人格とは別の第二、第三の人格が表面化する交代人格があらわれることもある。これが解離型ヒステリーと呼ばれるものである。

治療

ヒステリーになる人の多くは、困難を打開する決意や能力に乏しいため、治療にさいしては根気よい精神療法が必要となる。また本人が意識的に症状をつくり出しているわけではないので、周囲の人間が仮病として接すると病気は悪化する。

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神経症(ノイローゼ)

神経症はその症状や発病のきっかけによっていくつものタイプに分けられるが、ひと言でいえば心理的な原因によって起きる心の病気である。
軽い場合は生活リズムの変化などで治ることもあるが、症状が重い場合には医師による治療が必要になる。なお幻覚や妄想が起きる精神病とは質的に異なり、また症状が重くても、それが原因となって精神病に結びつくこともない。

症状

神経症はその症状によって次のタイプに分類される。不眠症精神的なストレスによって寝つきが悪くなったり、睡眠が浅くなったりする症状をいう。
強い精神的ストレスがあれば十分な睡眠をとることができないのが当然で、その意味で不眠症は神経症のすべてに共通する症状といえる。とくに神経症の人の場合、自分の症状を実際以上に悪く思い込みがちで、必要な睡眠をとっていながら睡眠が不十分であると悩むことが多い。したがってあまり睡眠時間にはこだわらず、むしろ「からだが睡眠を必要とすれば自然と眠れる」といったように開き直るくらいのほうがよい。

不安神経症

理由もきっかけもなく不安をおぼえ、自分でも原因がはっきりとつかめないまま、不安感にさいなまれるのが不安神経症である。
もともと不安は不眠と並んで神経症に共通する症状であり、それだけに神経症のなかでもいちばん多い。

心気症

からだに何も異常がないのに、自分で頭が重い、息苦しいなどと思い込み、それにとらわれてしまう病気である。検査によってからだが健康であることを本人に納得させれば、いつの間にか治ることもある。

恐怖症・強迫神経症

不安神経症が漠然とした不安感にとらわれるのに対し、特定の対象や状況に対して恐怖感にとらわれるのが恐怖症である。
高所恐怖症や閉所恐怖症などがよく知られているが、刃物や汚物、人の視線などに恐怖感を感じることもある。一方、強迫神経症は、特定の物事に対して恐怖感を抱く点では恐怖症と同じだが、恐怖症は自分をとりまく外界を対象とするのに対し、こちらは自分の内部が対象となる。

たとえば道の右側を歩かないと安心して歩けない、自分で戸締まりを確認しないと眠れない、といったように、自分でバカらしいと思いつつも、そうしたこだわりから抜け出せないタイプの神経症である。どちらも不安神経症よりも泊りにくいといわれ、治療には精神分析療法や森田療法などが用いられることもある。

離人神経症

周囲に対する現実感を失って、自分の行為やまわりからの刺激に対する認識が薄れてしまう病気。いわゆる「ボーッとした状態」から抜け出せなぃのである。落胆したり、絶望を感じたときに起こりやすいといわれる。慢性化することははとんどなく、ふつう2~3ヶ月で徐々に回復する。

抑うつ神経症

精神的なストレスによって気持ちちが暗くなり、毎日の仕事や生活に対する意欲、行動力が失われてしまう病気。ただし本来のうつ病とは異なり心理的な原因によって起きるものなので、その傾国さえ取り払ってあげれば自然とうつ状態も解消される。

外傷性神経症・災害性神経症

頭部その他のからだにケガをした人が、傷の快復後も不安感や焦燥感が残ってケガをする前の精神状態に.以れないという神経症。
ヒステリーと同様の症状が出ることがある。「まだ現実に戻りたくない」「早く病気から立ち直りたい」という矛盾した気持ちの葛藤が原因となる。この葛藤は無意識のものなので、自分自身では解決できない。そのため、こうした状態が長びく前に、適切な検査と指導を受け、思いきって仕事や家庭に複帰することが大切である。

原因

家庭内のトラブル、職場や近所との人間関係、仕事上の失敗、失恋などさまぎまな環境的・心理的原因によって不安感や恐怖感、抑うつ感が引き起こされる。

診断

神経症になると、不安感や恐怖感など心理的症状とともに、頭重、動悸がするといった身体的な不定愁訴を訴えるケースが多㌧そのため、まず身体的な検査を行い、からだに異常がないことを確認する。
身体的な異常が見つからないのに強い心理的症状があれば、神経症と推測できるわけである。

治療

神経症にはさまざまなタイプがあるが、その原因を解消することを治療の基本とする点では一般の疾病と同じである。それには早期に神経科医や精神科医の診断と治療を受けることが早道である。