便の色がおかしい

急性胃腸炎

乳幼児にみられる消化不良症。2歳末満の場合は、乳児下痢症と呼んでいたが、現在では年齢による区別はあいまいになりつつある。

症状

おもな症状は下痢で、嘔吐、腹痛、発熱、食欲不振などを伴う。便はゆるく、水様性の場合もあり、ときには血液が混じり、悪臭、すっぱいにおいがすることがある。

おなかを押すと痛がる場合もある。不機嫌で、ミルクの飲みが悪くなることも特徴のひとつである。病気ではない単純性下痢(下痢をしても食欲があり、機嫌もよく、嘔吐、発熱も伴わない)との見分け方のポイントとなる。

原因

ウィルスや細菌の感染が多く、離乳の失敗、暴飲暴食、寝冷えなどでも起こる。

治療

下痢がひどく、吐く場合には、程度に打よるが、1回食事を抜き、市販の小児用電解質飲料か白湯を少量与えてみる。嘔吐がなければ量を増やし、徐々に薄めたミルクやおも湯などを与えはじめる。

母乳の場合、下痢をしていても嘔吐がなければ飲ませてよい。発熱や嘔吐などの症状が強く、頻繁に下痢を起こすときには、脱水症状を起こしやすいので医師にみせる。

必要に応じ、投薬や輸液が行われる。幼児の場合は、症状によっては絶食させ、下痢をしている間でも水分は十分に与える。ただし、吐きけが強いときは水分補給はごく少しずつにし、吐きけがおさまってから消化のよいものを徐々に与える。糖分や脂肪分は下痢がおさまるまで避ける。

腸重積症

2歳以下の乳幼児、なかでも、生後3~12ヶ月ごろの男児がかかる率が高い。夏季や冬季に多くみられる。

症状

急に発病、腹痛のため激しく泣き、嘔吐、血便がみられる(三主徴)。

顔は蒼白となり、足を縮めて泣くこともあるが、発病後まもないときや、痛みによる発作と発作の間は、一見、健康そうで正常に戻ったように見えることがある(間欠的)。

痛みには比較的、鈍い1歳未満の子どもの場合は、痛みうより不機嫌、噂泣(泣き叫ぶ)、顔面蒼白などがおもな症状であることが多い。主徴のひとつの粘血便については、排便のない場合、浣腸をして確認する必要がある。ただし、家庭で行うのではなく、医師にまかせること。年長児では再発がしばしばみられる。

原因

腸管の一部が下部の腸管に入り込むもので、一種の腸閉塞(イレウス)の状態である。腸管のどの部分でも起こるが、最も多いのは生理的によかいもうく動く回盲結腸部で、全体の70~80% を占めている。

原因としてはウィルス感染による腸間膜リンパ節のはれや、腸閉リンパ濾胞の増殖、腸閉運動の変化などが考えられる。時間がたつと、はまり込んだ部分の血液の循環が悪くなり、腐って破れたり、腹膜炎を起こすこともあるため、早めの処置が必要。

治療

手遅れになると生命にかかわる。疑わしいときはすぐに医師の診察を受ける。軽症なら、肛門からバリウムを注入する高圧浣腸によって腸はもとに戻る。重症の場合には、早急な開腹手術が必要となる。

白色便性下痢症

秋の終わりから冬にかけて、乳幼児にみられる急性の消化不良症。患者の3分の1に白色便がみられる。

症状

嘔吐で始まり、半日から1日後に激しい下痢となり、ひどいときには、米のとぎ汁のような白っぽい水様便が1日に10回以上も出ることがある。さらに2~3日たつと、便は黄色みを帯び、急速に脱水症状を起こす。

原因

胃腸炎の原因となるロタウィルスの感染による。

治療

脱水症状を防ぐため、水分の補給が大切。下痢をしているときに水分を与えると、さらに下痢を誘発することもあるが、与えないとどんどん水分が不足し、脱水が強くなって危険な状態に陥る恐れがある。

様子をみながら少しずつ水分を与える。電解質と水分の体内への吸収が早いという点で小児用電解質飲料は効果的である。

市販されているので利用するとよい。嘔吐がひどく、水分を受けつけない場合は早めに医師の手当を受けることが大切である。最初の2~3日は、胃腸に負担がかからないような飲み物や食べ物を与える。水分の補給と食事にさえ注意すれば心配のない病気だが、ときどき脱水症状が急激に起こり、死亡するケースもあるので、十分な観察が必要である。
そのほか、症状に応じて、下痢止めや抗生物質などが用いられ、ほぼ1週間で治る。