行動の異常

認知症

認知症には、アルツハイマー型の認知症と脳血管性の認知症とがあります。

アルツハイマー型の認知症

脳の細胞が萎縮していくもので、それに伴って徐々に認識機能が低下していきベータます。脳にβ アミロイドという異常なタンパク質が沈着して老人斑ができることや、変性した神経線維束(神経原線維ができることなどが特徴です。

はじめは物忘れから始まり、進行につれてうつ状態や不安などの精神症状、妄想や彿掴などのような問題行動も出てきます。
末期には、精神機能の障害に加え、休も衰弱していき、寝たきりの状態になります。こうした経過は急激に進むというよりも、何年もかかってゆっくりと進んでいくことが多いといわれます。アルツハイマー型の認知症の原因は、まだわかっていません。根本的に治す薬も開発されていませんが、進行を抑えるアリセプトなどの薬が使用されています。
年代別うつの症状(老年期)

脳血管の認知症

脳血管障害(脳梗塞、脳出血など) によって、脳の神経細胞や組織が広い範囲で障害を受けて起こります。障害を受けた場所や大きさなどで、症状も変わってきます。

初期は物忘れが目立ちます。症状の進行とともに、見当識の障害もみられ、理解力や判断力も低下。被害妄想などもあらわれます。アルツハイマー型とくらべると、発症は急激で、また知的機能の一部は保たれていることが特徴です。治療は、まず脳血管障害の治療に重点がおかれます。

躁うつ病

明るく活動的な躁状態から、暗く落ち込んだうつ状態へ、あるいはその道の方向へと、感情が異常に揺れ動く病気である。精神分裂病がおもに理性的な面で障害があらわれるのに対し、こちらはおもに感情的な面にトラブルが生じる病気だといえる。

なお躁うつ病は、本来、躁とうつが交互にあらわれる病気をいうが、実際にはこうした症例は全体の1割 ほどしかない。また躁だけがあらわれる躁病は全体の約5%で、ほとんどはうつ状態だけがあらわれるうつ病である。

症状

躁状態のときには、朝早く起きだして、ふだんはやらない掃除や炊事をするなど動きまわり、また始終しゃべりつづけて同園の人にうるさがられるといった行動をとる。
また、ささいなことで腹を立てたり、興奮したりして1日中騒いでいながら、夜になっても寝ずに騒ぎ続けている場合もある。

一方、うつ状態では気分が落ち込むと同時に、行動力も低下することが多い。この傾向は、とくに午前中が著しく、午後から夜にかけてはいくぶん軽くなる。

また、感情の変化と同時に身体症状もあらわれ、不眠や食欲不振、頭痛、便秘などを訴えるようになる。なかでも多いのが不眠で、すぐに寝つけるが早く目が覚めてしまうという特徴がある。

なお多くの場合、躁状態が続くのは1~2二か月、うつ状態が続くのは3~4ヶ月ほどである。そして躁うつ状態、あるいは躁状態だけやうつ状態だけが1~2回繰り返して治るケースがある

原因

精神分裂病と同じく、体質人気質など、個人の内部的要因によって起きる病気と考えられる。

治療

薬物療法が中心になり、精神安定剤や抗うつ剤、睡眠剤、食欲増収剤などが症状に応じて用いられる。

サプリメント

セント・ジョーンズ・ワートは、黄色の小さな花が咲く多年草のハーブ、薬用植物です。軽度から中度のうつ病、うつに近い神経の状態に効果をあらわすといわれています。日本では「西洋オトギリソウ」ともよばれます。

アルコール依存症

薬物依存のひとつで、かつては慢性アルコール中毒と呼ばれた。しかし、薬物依存に対する理解が深まるにつれ、薬物やアルコールを摂取する行動そのものに問題があると考えれるようになったため、現在ではアルコール依存症が用いられている。アルコールは薬物と違い、社会的に許されている嗜好品なので、アルコール依存症やそれに関連する精神障害は社会的に大きな問題となっている。

原因

いうまでもなくアルコールの飲みすぎだが、性格傾向がかかわっており、小心で他人に依存的で、意志薄弱な人が陥りやすい。家庭内の不和、職場での不満などをまぎらわすために飲みすぎる場合もある。
また、酒屋や居酒屋、アルコールをよく飲む家庭など、アルコールが身近にある環境も影響するとされる。

症状

アルコールを大量に摂取し続けると、さまざまな障害が起こる。肝臓、膵臓、胃腸、心臓など内臓の障害、栄養低下による衰弱などに加え、脳や神経、感情が障害を受けると、道徳観が失われたり、ものごとの判断力や理解力、記憶力も低下する。

ときには幻覚や妄想をみるアルコール精神病やアルコール痴呆を引き起こして、家庭破壊や失職につながることも少なくない。精神症状は、アルコール依存から脱却しようとしたときに禁断症状(離脱症状)としてもあらわれる。

たとえば禁酒して数日間は手足がふるえたり、不眠や不安、焦燥感に襲われて神経が衰弱した状態になる。その後、意識が急激に混濁し、全身のけいれん発作が起こったり、幻覚をみたり、判断力が低下して異常な行劾をとることもある。

治療

禁酒することが治療のすべてである。禁酒による禁断症状が続くのは、およそ1週間程度。手足のふるえや意識の混濁が3~4日続いたのち、1~2日の深い睡眠状態に陥り、睡眠状態から覚めたときには中毒症状から抜け出しているという場合が多い。

治療法としてはきわめて単純だが、強い意志と家族の協力が必要だ。禁酒に自信のない人は、各地の禁酒会などに入って、同じ悩みをもつ人と励まし合いながら治療する方法が効果的である。なお入院して治療する方法も考えられる。

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