たんが出る

肺水腫

血液(主として血菜) が血管から肺胞内にしみ出す病気である。

症状

発作的に呼吸困難があらわれ、血の混ざった泡状のたんを多は夢に出すり発作が起きたときには、横になったままでは呼吸ができないので、起き上がって前かがみの状態で呼吸する起座呼吸をしなければならなくなる。また、ときにチアノーゼを伴うことがある。なお、重症の場合には、肺の機能低下のために血液の酸素が不足する低酸素血症になり、意識障害を引き起こす。

原因

心機能が低下すると、全身に血液を供給する左心室から血液を送り出せなくなり、肺に血液がたまる肺うっ血の状態になる。肺水腫は、この肺うっ血が進んで毛細血管内の圧力が高まり、血液成分が毛細血管を通して肺胞にしみ出すために起きることが多い。また肺炎や腎炎などの病気や有毒ガスの吸入で、毛細血管が損傷した場合にも肺水腫になることがある。

診断と治療

胸部X線撮影などが行われる。肺水腫を引き起こした病気の治療とともに、酸素吸入による呼吸困難の緩和、たんの排出をうながす薬剤の吸入法などの治療が行われる。

肺化膿症

細菌感染によって肺組織が化膿してうみがたまり、組織が破壊される病気の総称である。かつて肺炎と呼ばれていた病気や肺膿瘍も含まれる。

症状

最初はたんやせきなど肺炎の症状と似たところが多いが、発病後ノ週間ほどで粘液膿性たんが多量に出る。また、たんが鉄さび色をして悪臭を放つことがあり、これは肺化膿症の特徴的な症状である。

原因

肺炎に引き続いて起きるか最初から肺化膿症のかたちで発病する原発性肺化膿症と、肺がんや気管支拡張症などの病気に続いて起きる続発性肺化膿症の2つに分けられる。直接の原因となる細菌には酸素を嫌う嫌気性菌が多いが、ブドウ球菌など好気性菌が原因菌となることもある。

診断

肺化膿症では、組織内にたまったうみが気管内に排出されると、たまっていた部分が空洞化する。したがって肺の空洞化を伴う化膿性炎症であれば、肺化膿症であると診断できる。
肺の空洞化は胸部Ⅹ繰撮影を行えば、陰影がはっきりとあらわれる。また細菌による炎症を抑えるためには、原因菌を特定する必要があり、喀たん検査や細菌培養などが行われる。

治療

ペニシリンをはじめとした抗生物質による化学蝶法が中心となる。適切な抗生物質の服用でほとんどの場合、病状は改善し、外科が必要なケースはまれ。

気管支拡張症

気管支の壁が弱くなり、広がったまま収縮しない状態を気管支拡張症という。気管支が拡張したままだとたんが排出されにくくなり、そこに細菌が繁殖するなどして肺に慢性感染が起きやすくなる。

症状

症状はきわめて軽いものからなかなか治らないものまでさまざまで、おもな症状は慢性的なたんとせき、喀血、繰り返し起きる肺炎など。たんはのううみのような粘液膿性たんで、しばしば血たんがみられるほか、気管支が拡張する部位によっては喀血や血たんだけがあらわれることもある。たんは気管支の拡張の程度によって異なり、ときには1一日に500ml以上も出ることがある。

原因

ほとんどが呼吸器系の病気の後遺症として発病し、先天的に気管支が拡張している例はまれである。気管支拡張症を誘発する病気としては、乳幼児期の肺炎や百日ぜき、はしかなどがあり、また青年期以降の肺結核や肺かのう化膿症、肺炎が原因となることもある。

診断

気管支拡張症では既往症がかなり特徴的なので、それによってある程度の診断ができる。ただし慢性気管支炎や肺結核などと識別するため、また気管支の拡張部分の特定や程度をみるために、気管支造影法や胸部CT検査が行われる。そのほか喀たん検査や肺機能検査などが行われることもある。

治療

慢性感染を防ぐために、ネブライザーで去たん剤を吸入したり、体位性ドレナージ法によってたんの排出をうながす。また細菌の感染に対しては抗生物質が用いられることがあるほか、気管支の拡張部が限られている場合には手術が行われることもある。