月経異常

子宮の奇形

子宮の奇形には、単角子宮、双角子宮、重複子宮などたくさんの形態異常があるが、自覚症状はほとんどなく、また原因も不明である。
奇形があったとしても、妊娠・出産が可能であれば問題はまったくないが、不妊症や習慣性流産の原因となる場合には、婦人科医の検査と治療が必要となってくる。子宮造影で簡単に確定診断が得られ、ほとんどの場合、手術で正常に近い形になる。

外陰の奇形と 形態異常

種類

外陰の奇形には、半陰陽と鎖陰がある。半陰陽とは、外陰の形態だけで男女の区別ができないことや、外陰の形態と実際の性が異なっている場合をいう。
鎖陰は一般に、処女膜、膣、子宮などの女性性器の一部が閉鎖されている状態を指すが、これに欠損した状態も含めて考えたほうがよい。
おもなものとして、処女膜閉鎖、膣閉鎖、膣欠損などがある。

半陰陽

男性性器である葦丸(精巣と女性性器である卵巣の双方をもつ真性半陰陽と、女性だが男性のような外陰をもつ女性仮性半陰陽、逆に男性だが女性のような外陰をもつ男性仮性半陰陽などがある。
真性半陰陽は、半陰陽のなかでも重度の奇形で、まれである。仮性半陰陽は、副腎性器症候群(副こうしん腎皮質機能の几進により男性化症状をあらわすもの)や畢丸性女性化症候群(睾丸の女性ホルモンの分泌が男性ホルモンより優勢になることから女性化が起こること)など、ホルモンの異常にょるものが多く、ほかに遺伝性によるものや染色体異常によるもの、原因不明のものなどがある。外形だけでは男女の区別ができない場合、染色体や性染色体の検査が必要になることがある。

新生児では、染色体と社会生活の性を一致させないほうがよい場合、つまり染色体は男であっても女としたほうが自然な社会生活を送れるだろうと考えられる場合もあるため、医師と相談をしたほうがいい。

幼児期にもかかわらず、早くも第二次性徴が起こった場合や、思春期になって女の子であるはずなのに初潮がない場合、また、陰核の肥大などの男性化が起こってくる場合とか、反対に男の子のはずなのに乳房が大きくなる場合などは、できるだけ早期に専門医の診察を受けるべきである。

鎖陰

処女膜閉鎖や膣閉鎖の場合、月経があっても血液の流出路が閉鎖されているため、血液が排出されず、膣内や子宮内にたまることから、下腹部に激痛を訴える。血液がたくさんたまると、下腹部膨隆、排尿障害が起こることもあるが、閉鎖部分を切開することによってすべて解決する。
手術後の後遺症はない。陛欠損症は子宮の欠損を伴う場合が多いため、月経がない。外陰部はほぼ正常なので、初潮をみるころになって無月経が続いて初めて異常に気づくことがある。人工造瞳術で性交は可能となるが、子宮欠損を伴う場合は、妊娠・出産はできない。

子宮発育不全

子どものなかなかできない人は、昔は子宮発育不全といわれていた。しかし、女性のホルモン状態などについての研究が進むにつれ、本当の子宮発育不全は非常にまれな病気であることがわかり、これらのことについてはこの病名を用いることは少なくなった。
また、かつては大きさだけで発育不全としていたが、出産経験のない人に比べ、出産経験のある人の子宮が大きいのは当然なので、子宮の大きさだけでは子宮発育不全と判断できない。

単に子宮が小さいだけの理由で治療する必要はない。月経や排卵がなかったり、ほかの症状を併発しているときに初めて治療が必要になる。
子宮の発育が悪く、胎児子宮、小児子宮の状態にとどまっている場合があるが、これらは、もちろん無月経である。治療法としては、排卵をうながすようなホルモン剤を用いるが、高度の発育不全の場合、有効な治療方法はない。