甲状腺ホルモンの過剰分泌によって起きる病気で、眼球が突出するものを、一般にはバセドウ病と呼ぶ。男性1に対し女性4の割合で女性に多く、とくに20~30歳代の人によくみられる。

症状

動悸や甲状腺の肥大、頻脈、眼球の突出、手のふるえ、疲労感、発汗などがおもな症状で、また食欲がありながら体重が減少するという特徴がある。
このほか微熱や不整脈、皮膚の黒ずみがみられ、情緒が不安定でイライラし、不眠や月経不順を伴うなど、さまざまな症状が徐々にあらわれる。ただ、これらの症状が半分ほどしかあらわれないこともある。とくに甲状腺肥大は男性や高齢者にみられることは少なく、またきわめてまれだが甲状腺肥大を伴わない例もある。また、特徴的な症状として知られる眼球突出は、最近では患者の約半数にしかみられず、顕著な眼球突出例は減っている。

原因

免疫異常により甲状腺を刺激する物質が体内にでき、それが甲状腺を刺激して、甲状腺ホルモンが過剰に分泌されて起こる自己免疫疾患と考えられている。その原因は不明だが、患者の約20% に遺伝関係がみられる。

診断

甲状腺の肥大と頻脈、眼球突出はこの病気の三主徽といわれ、これらの症状があらわれれば、だいたいの診断はできる。また血液検査をすれば甲状腺ホルモンが異常に高い数値を示す。放射性ヨードを飲んで、甲状腺肥大の程度や甲状腺ホルモンの分泌の量をみることもある。

治療

チアマゾールなどによる治療と手術による治療、放射性ヨードによる治療の3つがある。ふつう発病後1年以内であれば薬による治療が主になり、1年以上たった場合や甲状腺の肥大が大きい場合、症状が重い場合に手術や放射性ヨード療法が行われる