副鼻腔とは、鼻腔の周囲にある空洞で、上顎洞、篩骨洞、蝶形骨洞、前頭洞に分けられる。この洞の内側の粘膜は、いずれも鼻腔の粘膜とひと続きになっている。
そのため鼻かぜをひいた場合、鼻の炎症が副鼻腔にまで広がって、急性副鼻腔炎となる。ふつうは、鼻かぜが治ると同時に副鼻腔炎も治る。
しかし、急性副鼻腔炎を繰り返したり、鼻中隔琴曲症や肥厚性鼻炎などがあると、慢性に移行しやすくなる。副鼻腔内にうみがたまることが多いので、蓄膿症ともいい、欧米に比べて日本に多い病気である。

鼻づまりは鼻の粘膜がはれて鼻汁がたまるなどが原因だが、鼻中隔湾曲症や鼻腔側壁の異常などが原因で鼻づまりがひどくなる。以上は急性・慢性に共通した症状だが、急性の場合は、ほかに頬の痛み、眼痛、歯痛、発熱、まぶたのはれ、流涙(涙が止まらない) などがある。また、慢性では、前述の症状が重なり合って持続するため、イライラして作業の能率が低下したり、根気が続かないなどの症状がみられる。また、うみなどの分泌物によって、鼻の粘膜がブヨブヨになった鼻たけ(ポリープ) を伴うこともある。

診断

鼻鏡で鼻内を診察して、粘膜のはれ具合、鼻汁の量や出てくる部位を調べ、X線撮影で診断する。また、注射針で副鼻腔内のうみや、分泌物をとって炎症の程度を調べる。

治療

局所的には、たまったうみを洗浄して取り、抗生物質など薬液を入れて、炎症をしずめる。うみを出すために、副鼻腔を注射針で突くこともある。
これは確実だがやや疼痛を伴う。しかし、これは軽症の場合で、程度によっては手術が行われる。手術は、うみの排泄孔をつけたり、鼻たけを取って鼻づまりをよくする小手術から、すべての悪い粘膜を根本的に取ってしまう手術まである。

生活の注意

日ごろから鼻汁をためないようこまめによくかむこと。急性の炎症を起こさないよう室温や湿度に十分注意すること。食事は、たんばく質やビタミンなどをバランスよくとることが大切である。