心不全

心不全とは、心臓の働きが低下し、からだが必要とする血液量を体内の隅ずみに十分に供給できなくなるために生じる一連の症状をいう。
心不全は病名ではなく心臓の機能が衰弱した状態を指すもので弁膜症によって心不全になることもあれば、心筋梗塞のために心不全となることもある。

症状

急性か慢性かによって経過は多少異なるが、最終的にはどちらも心臓の機能が衰えて十分に働かなくなる。心臓は左房、左室、右房、右室の四つの部屋からなるが、心不全を起こすのは、このうちの左室か右室の障害でそれによって左心不全と右心不全とに分けられる。
いずれの場合も心筋梗塞などのあとでは急性となり、長期間の高血圧の場合には慢性となる。左心不全の場合には、睡眠中の呼吸困難やからぜきがあらわれる。

また肺水腫は急性左心不全が誘因となることが多く、せきがひどく、たんに血が混じるようであれば、急性肺水腫の疑いがある。たとえ肺水腫でないにしても、急激な呼吸困難や血たんは病状の悪化を告げる赤信号なので、すぐに医師の治療を受けなければならない。
一方、右心不全は、からだにむくみがあらわれるのが特徴である。とくにからだの重みがかかる部分にむくみが出やすいので、足首や腰、大腿部にむくみがあらわれたら要注意である。また夜間の尿量が急に増えはじめたときにも、右心不全の疑いがある。

治療

心不全になったら、まず絶対安静を守らなければならない。そのさい、クッションなどに寄りかかって上体をいくぶん高くしておくと呼吸が楽になる。また自宅療養では、

  1. 心身のストレスを避けて、心臓の負担を少しでも軽減する
  2. 薬の服用については、医師の指示を厳守する

などが大切である。とくに心不全の治療には比較的強力な薬が用いられるので、服用する量や時間を守ることは絶対条件である。また食塩の制限では、食塩に含まれるナトリウムも制限の対象となる。ナトリウムは水道水にも含まれているので、その点にも注意が必要である。

病気の進行具合によっては、水分の摂取を控えなければならないこともある。なお食事については、バランスよく栄養を補給することが大切である。心不全になると食欲不振になりがちなので、一度の量は少なくても、栄養価の高いメニューや、食事の回数を増やすなどの工夫をしたい。とくにビタミン類は十分にとるように心がけたい。もちろん酒やたばこ、そしてコーヒーなどカフェインを多く含む飲み物は厳禁。

生活の注意

心不全の治療には心身の安静が何よりも大切だが、いつまでもからだを動かさないと、食欲不振や便秘、筋力低下など、さまざまな弊害があらわれる。したがって、ある程度病気が回復したら、手足を動かしたり、何度も深呼吸するなどの軽い運動を始める。ただし素人判断による運動は危険なので、必ず循環器系の専門の医師の判断をあおがなければならない。

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