尿崩症

尿の量は、脳下垂体から分泌される抗利尿ホルモン(ADHといわれ、尿が出るのを抑えるホルモン)の腎臓への作用によって調節されている。尿崩症は、このホルモンの分泌障害による中枢性尿崩症と、腎尿細管に対するADHの作用障害による腎性尿崩症とに分類される。

症状

腎尿細管の水の再吸収が低下して尿の量が多くなり、正常な子どもの数倍以上も排尿する。発病は突然で2~6歳に発症することが多い。
尿を多く出すため、のどが渇いて大量の水を飲む。飲む水の量を制限しても、尿の量は減らない。乳幼児の場合、夜間あるいは何かに熱中しているときなど、無意識に尿をもらすことがある。

このように多飲多尿の症状があらわれて病気に気づくことが多いが、多飲を示さないケースもある。この場合は脱水、高電解質血症などが原因の発熱、嘔吐などの症状があらわれる。年少で発病し、治療せずに放置していると、栄養状態は悪くなり、からだの発育が遅れるばかりか、知能障害を起こす恐れもある。

早めに異常を発見し、治療することが大切である。

原因

中枢性尿崩症は、遺伝や下垂体、脳底部、視床下部の疾患(脳瞳瘍・脳炎・脳髄膜炎・外傷)、白血病による中枢神経の障害などが原因となって発病する。
腎性尿崩症の場合も、遺伝または腎臓の後天性疾患により発症する。

治療

脳腫瘍が隠れていることもあるので精密検査が必要。治療は、抗利尿ホルモン剤を2~3日ごとに注射する。また、脱水状態にならないようにするために水分の補給も欠かせない。そのほか、抗利尿ホルモン剤の鼻粘膜への塗布や内服薬が効果的な場合もある。

SNSでもご購読できます。

コメントを残す

*

このサイトはスパムを低減するために Akismet を使っています。コメントデータの処理方法の詳細はこちらをご覧ください