慢性中耳炎には、化膿菌の感染による慢性化膿性中耳炎と、鼓膜に穴があき、まわりの上皮が中耳に入って上皮の剥脱角化物がたまり、腫瘍のように見える真珠腫性中耳炎の2つに分類される。後者は、骨を破壊して進行し、中耳を走る顔面神経をまひさせ、さらに内耳炎を引き起こすほか、頭蓋に進んで脳膜炎を起こすこともある。
症状
鼓膜に穿孔(穴があくこと)があり、耳だれが出る。耳だれに悪臭があると真珠腫である。耳だれが刺激するため、外耳道炎を引き起こしやすく、多くの場合、難聴になる。めまいが起きれば内耳炎の併発が疑われ、また発熱や激しい頭痛を伴えば脳合併症の疑いもある。
診断と検査
鼓膜に穴があいているかどうか、耳だれがあるかどうかで診断できる。
治療と予防
抗生物質で炎症をおさえて、耳だれを止めるが、鼓膜の穿孔や破壊された中耳はそのまま残る場合が多い。真珠腫性中耳炎は鼓室形成術という手術をしなければならない。
鼓膜の穿孔をふさいで、音を鼓膜から内耳に伝える耳小骨をつなぎ直せば、聴力は改善できる。慢性にならないよう、急性中耳炎のうちに完全に治壊する必要がある。