骨粗鬆症

老化がもとで起こった骨の萎縮を骨粗鬆症という。

症状と原因

骨はたんばく質や糖質などの有機質で、骨基質という骨のもとになるものがつくられ、無機質のリン酸カルシウムが沈着してかたい骨組織を構成している。
構造的にみると、骨の輪郭をつくっている部分は、骨皮質という板状の緻密な骨の層で、内部はそれを支える格好で、骨梁と呼ばれる網の目のような組織が入り組んでおり、この内部のスポンジ状の骨が海綿骨である。

骨はこのようなしくみで構成されていることから、まったくからだを動かさないでいると、萎縮といって骨組織がどんどん吸収され、骨が弱くなってしまう。寝たきり老人の骨が弱っていくのはこのためである。こうした現象を不動性骨萎縮という。一方、骨粗鬆症は、からだはふつうに動かしていながらも、骨を構成する有機質と無機質のバランスが悪くなり、有機質が多く減少して骨梁が減り、かつ粗くなって骨皮質も薄くなり、全体として骨が多孔性になってもろくなることがある。
これも不動性骨萎縮と同じように、骨が萎縮した状態だが、骨粗鬆症の場合は、老化に伴って起こる全身的な骨の変化である。

骨粗鬆症は、脊椎や骨盤、手足などの長い管状の骨の端など、代謝の盛んな海綿骨部分に早く変化が起こりやすい。骨が弱体化するため、ちょっとした外部からの力で骨折しやすく、せきやくしやみをするだけで骨折することさえある。

また、運動不足で筋肉が萎腔和していると、腰痛や背中の痛みを感じることがある。痛みの特徴は、安静にしていたときから運動しはじめたときにつらく感じるとか、長時間同一の姿勢をとり続けるのがつらいというような症状である。骨粗鬆症は40歳代ころから始まる老化現象で、とくに女性に多くみられる。閉経期以降に著しくなるため、性ホルモンに関係する骨の代謝異常と考えられている。しかし、生理的な現象で起こってくるものなのか、病理的現象なのかの区別は困難である。
日常での運動不足やカルシウム摂取量の不足が骨の萎縮をまねき、それに老化現象が拍車をかけて異常な状態になるものと考えられている。

骨粗鬆症の原因となる病気はこちら。

検査と治療

Ⅹ線撮影で診断するが、骨の萎縮は軟骨化現象にもみられるため、それらと区別しなければならない。骨折した場合、通常の骨折と同じように治療すればいいが、新しい骨の接着が悪く、そのため、完治するまでには長期間の治療が必要になってくる。骨粗鬆症の治療の基本は食事療法である。薬物療法としては活性型ビタミンDやカルシウム剤、女性ホルモン剤などが使用される。これで現状維持と骨折などの予防効果は期待できるが、Ⅹ線写真では顕著な改善は認められないのが実情。最近、用いられるようになった経口ビスフォスフォネートは、従来の薬とは異なる作用があり、治療効果が期待されている。

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