寄生虫病

日本でみられるおもな寄生虫病には、次のようなものがある。回虫症寄生虫のなかでは最もよく知られているもののひとつである。
回虫の体長は20~35cmで、乳白色から淡紅色をしている。人体→糞便→野菜類→人体という感染経路をもち、人体に入ると腹痛や下痢などの胃腸症状をもたらすことが多い。
また入り込んだ内臓によっては、眼症状や神経症状、循環器症状があらわれるほか、肺炎や腸閉塞などを引き起こすこともある。

回虫の有無は検便で簡単に判明し、治療には駆虫剤がおもに用いられる。

蟯虫症

虫は乳白色で体長数ミリら数センチの紡錘形をしている。成虫は盲腸とその周辺に寄生し、夜寝ると肛門のまわりに出てきて産卵するという特徴がある。
そして卵は手を介したり空気中のチリとなって、再び口から人体内に入る。おもな症状は腹痛とリンパ節の炎症、肛門周辺のかゆみ、かゆみによる睡眠障害など。
診断にはセロテープを肛門に貼りつけるセロテープ肛囲検査法が用いられ、テープに卵が付着しているかどうかで診断する。治療には駆虫剤が用いられる。しかしそれ以上に集団駆虫や衛生知識の徹底などの予防が重要である。

条虫症

一般にはサナダムシの名で知られている寄生虫で、いくつかの種類に分けられる。なかでも広節裂頭条虫や有絢条虫、無鈎条虫などが知られているが、これらの条虫の体長は数メートルを超える。鮭や牛、豚などに幼虫が寄生し、幼虫のついている肉を生や加熱不十分のまま食べたりしたときに人体に入り、そこで成長する。
症状は腹痛や下痢のほか、飢餓感や多食、体重減少、貧血などで、有鈎条虫の幼虫が脳や筋肉組織に入り込むと、その場所に応じたさまざまな症状があらわれる。診断は検便によって行われ、治療には駆虫剤の服用と貧血の対症療法が行われる。

鉤虫症

絢虫の体長は1cm前後のものが多く、種類によって多少の違いがある。小腸に寄生して血液や体液を養分として摂取する寄生虫で、糞便とともに排泄された卵が野菜類などを通して人体に戻ってくる。
また種類によっては幼虫が皮膚から人体に侵入することがある。
おもな症状は下痢、腹痛、嘔吐などの消化器症状で、ときに鉄欠乏性貧血や毛髪や土などを食べる異味症、めまいなどがあらわれることがある。
検便によって診断し、各種鉤虫駆虫剤の服用や貧血に対する治療が行われる。

吸虫症

肺ジストマ、肝ジストマ、横川吸虫症日本す血吸虫症ななどさまざまな病気を引き起こす寄生虫で、そのほとんどの種類が糞便→水中カワニナなどの貝類→ モズタガニや鯉など淡水業→人間という経路をとる。

ただ日本住血吸虫は水中でミヤイリガイに寄生し、その後、水中に入った人間の皮膚を食い破って体内に侵入する。症状は、肺ジストマではせきと血たんがあらわれ、放置すれば胸膜炎や膿胸などを引き起こす。

また肝ジストマでは茸痘があらわれたり肝内結石ができるほか、そのままにしておけば肝硬変にまで進む。横川吸虫症は下痢や血便、腹痛などがおもな症状。

日本住血吸虫症では感染初期に感染箇所のかゆみがあらわれ、次いで下痢や腹痛などの胃腸症状、発熱、肝肥大、門脈亢進症などがあらわれる。
そして、さらに肝硬変まで進み、死亡するケースも少なくない。診断は検便のほか、必要に応じて皮内反応検査を行う。治療は駆虫剤の服用と対症療法を行う。

包虫症

成虫が寄生するキツネやオオカミ、犬などの糞便に卵が排泄され、それが人体に入って成長する。キタキツネなどを媒介として、北海道東部に発生することが多い。症状は寄生する場所によって異なるが、肝臓や肺、脳、まぶた腫瘤とそれに伴う諸症状があらわれるケースが多い。

アニサキス症

もともとはクジラなどす海に棲む晴乳類の胃壁に寄生する回虫の一種である。人体へは中間宿主であるイカ、サバ、アジなどを介して感染し、胃腸に寄生する。症状としては上腹部を中心とした激痛かよく知られるほか、下襟や、急性腹痛、胃腫瘍の症状があらわれる。胃の内視鏡検査で見つかることが多く、そのときに駆除する。

フィラリア症

(蚊などが人間の血を吸うさいに、血液中の幼虫が一緒に吸い出され、それが蚊によって再び人体に侵入する。成虫による反応性炎症と、足の皮膚の肥厚など象皮病に似た症状が、おもな症状である。その症状によってある程度、診断の見当はつくが、夜間の血液中にいる幼虫の存在が決め手となる。

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