てんかん

てんかん(子供)

てんかんには、大発作、点頭てんかん、小発作、精神運動発作、自律神経発作などの型があり、それによって治療法や予後も異なってくる。

症状

大発作のときは、突然、全身をかたくしてガタガタとふるわせ、顔色が悪くなり、眼球をつり上げて気を失う。また、尿や便をもらし、泡をふくこともある。発作の時間は、一定していないが、時が過ぎると大きく息をしてから眠り込んでしまう。

点頭てんかんは、生後5~6ヶ月の乳児に多くみられるもので、瞬間的にうなずくように頭をガクンガクンと前たに垂れ、両手を上にあげるなどの発作を繰り返す。
また両目もつり上がる。こうした動作を、家族はくせだと思ってしまうこともよくあるので、注書が必要である。この場合、知能障害を伴っていることが多く、脳波にはヒブスアリスミアという特徴的な異常波がみられる。早期に治療すれば、知能の遅れを食い止められることもある。

小発作は、幼児から学童に多い軽発作で、瞬間的に意識を失い、まわりの者が名前を呼んでも返事をしない。

精神運動発作では、突然、ボーッとした表情になり、無意識のうちに舌打ち、舌なめずりをしたり、顔の半分がぴくぴくしたりする。

自律神経発作(腹性てんかん)は、吐きけや嘔吐、頭痛、腹痛、発汗、めまいなど自律神経症状を主とする発作で、小児や学童に多くみられる。

原因

胎児期や出産時の脳の損傷、細菌やウィルスによる脳の感染、頭のケガや脳血管障害などが原因で、遺伝的な要素は少ないとされている。

治療

発作の型や症状に適合した抗てんかん薬を服用する。発作時は熱性けいれんの場合と同じく衿もとをゆるめ、発作がおさまってから病院へ連れていく。一般に入院の必要はない。

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てんかん

脳の機能障害によってけいれんや意識障害などが発作的にあらわれる。

症状

てんかんの代表的な発作には以下のようなものがある。

大発作

突然、叫び声をあげて倒れ、全身のけいれんとともに意識を失う。けいれんは、まず手足が突っ張る強直けいれんが起き、次いで手足がふるえる間代けいれんが起きる。
そして呼吸停止によるチアノーゼが1分間ほど続く。間代けいれんがおさまると口から泡をふくが、これは呼吸停止でロにたまっていた唾液が強くふき出されるためである。
呼吸が回複すると昏睡状態に入り、短いときは20〇分ほど、長いときでも2~3時間で昏睡から覚める。なお発作の数分または数時間前に、聴覚や視覚などの異常や手足のしびれ、筋肉のけいれん、発汗などの前ぶれ症状が出ることもある。

小発作

前ぶれ症状がなく、突然意識を失う。けいれんはなく、意識を失っている時間も数秒から数10分と短い。意意識回復後は発作前の作業をそのまま続けることかできる。
小発作は子どもに多いが、思春期を過ぎるころには自然と治り、成人後まで残ることは少ない。ただし、ときには小発作から大発作に移行することがある。

精神運動発作

意識障害によって異常な行動をとるもので、無意味・無目的な動作を繰り返す自動症と、幻覚や錯覚が繰り返しあらわれる自覚発作がある。
眼鏡をはずしてふき、ふいてはかけるといった動作を繰り返し続けるのが自動症で、数分から数10分後に発作がおさまっても本人はその間のことを覚えていない。
一方、自覚発作は、道を歩いていて突然目の前が崖になっているような気がして足がすくんでしまうといった幻覚が繰り返しあらわれる。

自律神経発作

吐きけや頭痛、動悸いった自律神経症状があらわれる発作で、小学生以下の幼児に多い。頭痛を訴えた子どもが5~10分後には何もなかったように元気になっている、ということが繰り返される。

筋緊張克進・喪失発作

筋肉が突然、力をこめたように盛り上がったり、逆に急に弛緩したりして倒れるという発作。生後半年から1年の赤ん坊が、突然、首をガタンと曲げる動作を繰り返す点頭てんかんも、その一種である。

原因

脳の病気などが原因となる症候性てんかんと、原因がわからないまま起きる真性てんかんがある。症候性てんかんの原因としては脳腫瘍や脳出血、脳動脈硬化症など脳の病気のほか、脳炎や髄膜炎、尿毒症やアルコール中毒症など脳に直接あるいは間接に悪影響を及ぼす病気などがある。
また仮死産など、出産のさいに胎児が受けた障害や子どものころに受けた頭部の外傷が、成長してからてんかんを引き起こすケース(残遺てんかん)もある。

診断

発作の様子をくわしく医師に話すことが大切である。ただし本人が発作を覚えていないケースが多いので、その場にいた人間が一緒にいくことが必要。また診断のさいには脳波検査が必ず行われるほか、脳腫瘍や脳動脈硬化症の有無をみるために脳Ⅹ線CT、MRI(磁気共鳴画像)などによる脳の精密検査が行われる。

治療

抗てんかん剤による発作の予防が中心となる。抗てんかん剤は、長期間、ときには一生服用しなければならない。しかし根気よく服用することで90% の患者の発作を予防、または発作の回数を減らすことができる。

適切な治療を受けていれば、社会生活には何の支障もないので病気に対する劣等感などをもつ必要はない。ただし仕事を選ぶさいには、車の運転など交通関係の仕事や高い場所での仕事は避けたほうがよい。また、過労や睡眠不足、飲酒、喫煙などには注意が必要。