動脈硬化症

本来、弾力に富んでいる動脈の内膜が、なんらかの原因によって弾力を失い、血液が流れにくくなる状態を動脈硬化という。生活習慣病の多くの原因となっており、そのまま動脈硬化が進行すると、脳卒中や狭心症、心筋梗塞などの病気を引き起こす。

原因

軌脈硬化のおもな危険因子としては

  1. 高血圧
  2. 高脂血症
  3. 喫煙
  4. 肥満
  5. 糖尿病
  6. 痛風
  7. 運動不足
  8. ストレス

なかでも高血圧、高脂血症、喫煙は動脈硬化の3大危険因子で、それらが遺伝的素岡や年齢、性別などと複雑にからみ合って動脈硬化を起こすと考えられている。なお動脈硬化は、かつて高齢者の病気と考えられていたが、現在ではかなり若いときから動脈硬化が始まることがわかっている。遺伝的体質や食生活のあり方などにもよるが、一般に大動脈では叫10歳以前から、冠動脈では10歳代から、脳動脈では20歳代から初期の兆候がみられる。
ごく初期のものは別として、一般に年をとるにつれて徐々に進行し、いったんアテロームが形成されるとほとんどの場合、もとに戻ることはなく、40〇歳ごろからいろいろな病気が起こりやすくなる。

種類

動脈硬化は障害の起きる場所によって、次の3つに分類される。粥状硬化(アテローム硬化)症血管の内壁にコレステロールが蓄積して血管を狭め、血管自体もかたくなって弾力を失った状態。
ひどい場合には血管がふさがってしまう。脂肪でふくらんだかゆ部分をアテロームといい、粥のようになるので粥状硬化と呼ばれる。
一般に動脈硬化といえば粥状硬化を指すことが多い。大動脈や冠動脈、脳動脈によく起こり、脳動脈に起きると脳梗塞の原因となり、冠動脈に起きると狭心症や心筋梗塞などの原因となる。

  • 細小動脈硬化症
    臓器内に張りめぐらされたきわめて細い動脈に起きる硬化で、年齢や高血圧と密接な関係にある。主として脳や腎臓に起きやすく、腎機能の低下をもたらす。
  • 中膜硬化(メンケベルグ硬化症)
    血管の中膜が石灰化してかたくなるもので、腸骨動脈や股動脈など四肢肢の動脈によくみられる。

検査

軌脈硬化の程度を調べるには、血圧をはじめ血液中の脂肪( コレステロールや中性脂肪)、血糖、尿糖、尿酸などの数値を測定する。
なかでもコレステロールには善玉(HDL ) と悪玉(LDL)があるため、この2つのコレステロールの数値が動脈硬化を判断する重要な要素となっている。病気が進行して症状があらわれ始めたら、その部位に応じた検査が追加される。脳動脈硬化では眼底検査、脳CT検査、MRI、MRA、脳循環検査、脳血管造影など。冠動脈硬化の場合には、胸部X線撮影や心エコー、胸部CT検査、血管造影、シンチグラフィーなどで調べる。必要に応じて腎動脈や四肢動脈なども検査される。

善玉と悪玉コレステロール

動脈硬化などの生活習慣病の原因としてコレステロールは「有害物質」というイメージが強いが、なかには積極的に摂取したいコレステロールもある。
血液中の脂肪はリボたんばくというかたちで存在していて、それにはカイロミクロン、VLDL 、LDL 、HDLの4種類がある。これらのうちカイロミクロンとVLDLは動脈硬化と直接の関係はなく、問題になるのはLDL とHDLである。
LDLは、脂肪を肝臓から全身に運ぶ役割をもっている。これが必要以上に咽えすぎると、血管壁にコレステロールがたまってしまう。これが動脈硬化の傾国となるわけで、そのため悪玉コレステロールと呼ばれる。一方、善玉コレステロールと呼ばれるHDLは、LDLとは逆に、細胞に遊ばれたコレステロールを肝臓に戻す役割をもっているので、これが増えれば動脈硬化の進行を食い止めることができる。

悪玉(LDL)と善玉(HDL)

動脈硬化と余病

動脈硬化はからだじゅうどこにでも起きるが、とくに起きやすく、しかも重大な病気を起こしけいやすいのが、脳動脈、頸動脈、冠動脈、腎動脈、大腿動脈である。
脳動脈の硬化は脳動脈硬化症、脳棟塞などの誘因となる。軽い場合にはとくに症状があらわれることはないが、過労や興奮、ストレスなどが続くと、めまいや耳鳴り、吐きけなどの症状があらわれる。そして、それがさらに進むと脳卒中を起こして危険な事態を招くわけである。
また心筋へ酸素や栄養分を補給している冠動脈に硬化が起きると、狭心症や心筋梗塞のほか心不全や不整脈を起こすし、腎臓の動脈の硬化が進むと、腎臓がしだいに小さくなり(腎硬化症)ついには尿毒症を起こす。
このほか下肢動脈の硬化が進むと、間欠性跛行といって、しばらく歩くと下肢が痛み、休むとまた歩けるといった状態に陥る。動脈硬化は血管のどの部分にでも平均的に起きるわけではなく、血管が二股に分かれている場所や、急角度で曲がつている場所など、血液がスムーズに流れない場所に起きやすい。

治療

際は動脈硬化を外科的に続
最近は動脈硬化を外科的に治療する技術が進み、部位や程度に応じて、バイパス(副血行路) をつくったり、人工血管に置き換えたり、また壊死に陥った動脈の内膜を剥離する方法などが用いられる。しかし、これらはあくまでも病変が重度の場合の局部的な治僚で、それによって全身の動脈硬化が治るわけではない。手術には限度があり、その意味では、動脈硬化を促進させるいろいろな危険因子(リスクファクター)をできるだけ取り除いて、予防することが大切である。
血管拡張剤や脂質代謝改善薬などの薬が用いられることもあるが、それらも日常の食事や生活の改善なしには効果をあげることはできない。

食生活の注意

動脈硬化は血液中の脂肪分と密接な関係をもっているので、予防や治療のためには、食生活の改並晋が第1である。それによってコレステロール値を下げ、善玉コレステロールを増やすことが大切である。

食生活の注意としては、まず肥満はもとより、高血圧や糖尿病の原因や誘因になる食べすぎに注意すること。いちいちカロリー計算をするのが面倒であれば、腹8分か7分にとどめるだけで十分である。
また脂肪分は、動脈硬化をうながす動物性脂肪を避け、コレステロール値を下げる植物性脂肪を重点的にとること。たくばく質は大豆や大豆製品などの植物性たんばく質や魚、あるいは脂身の少ない赤身肉などからとるように心がけたい。たんばく質の不足はコレステロールを増やす噴困ともなる。

HDLを増やすビタミンEや鉄をたくさんとることも大切だ。これらのビタミンは小麦胚芽や小麦胚芽油、納豆などのほか春菊やニラ、ホウレン草などに多く含まれている。
このほか塩分や糖分のとりすぎ、酒の飲みすぎも動脈硬化を招くマイナス要素である。

運動

十分な準備をしたうえでの適度な運動は、

  • 血管を拡張させて血圧を下げる
  • 余分なコレステロールや中性脂肪をエネルギーとして消費できる
  • ストレスの解消になる

などのメリットがあり、動脈硬化を予防するうえでも、また、ある程度進んだ動脈硬化の進行を食い止めるうえでも大切なことである。

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