むし歯

むし歯は人類にとって最も古くからあった病気のひとつで、正式には「う歯」という。だれでもかかりやすく、むし歯にかかっている人は各年代を通して7割以上いるといわれている。むし歯は初期に発見・治療すれば、治りやすく、治療費も軽減できる。

症状と原因

むし歯は特殊な病原菌によって引き起こされる病気で、決して自然に治ることはない。そのまま放置しておくと、だんだん痛みが増して、歯髄炎や歯根膜炎へと悪化し、歯が崩壊したり、さらには重症の顎骨炎へと進行する。
症状を悪化させないうちの早期治療がなによりも大切だ。むし歯を起こす何種類かの病原菌のうち、いちばんくわしく研究されているのがミュータンス連鎖球菌というむし歯菌である。このむし歯菌は歯を栄養物として歯のなかで増殖し、かたい歯をくずしていく。口のなかに入ってきた糖分をデキストランという粘着性のある物質に変化きせて、歯の表面に接着させ、むし歯を発生させやすくしている。そのほか、むし歯発生の誘因として

  1. 歯みがきやうがいなどによる清掃不足
  2. 粘りのある唾液
  3. 糖分の多い菓子類や酸性果汁のとりすぎ

などがあげられる。また、歯質自体がもろかったり、歯のかたちが悪かったりしてもむし歯の誘因になる。とくに歯が形成される時期にビタミンDや石灰分などの栄養分が不足すると、むし歯になりやすくなる。むし歯は、その進行の度合いによって、最も症状の軽いC1から症状の重いC4まで4四段階に区分されている。

予防

むし歯菌は歯の表面をおおっている歯垢のなかに集まっているため、歯垢がつかないように、食後にきちんと歯みがきをする必要がある。また、食べ物のなかでも、野菜や果物のように繊維を多く含んで歯の清掃に直接役立つものや、歯の表面にある酸を中和するアルカリ性の飲料などは、むし歯の発生を抑制する働きがある。むし歯のできやすい妊娠中の女性や10歳くらいまでの子どもの場合は、牛乳を飲む、野菜や海草をとるなど栄養に十分配慮する必要がある。

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