インフルエンザ

インフルエンザはかぜの一種ではあるが、感染力がきわめて強く、また症状も重いかぜである。急に高熱を発し全身的な衰弱をもたらすが、合併症が出なければ短期間で症状は快方に向かう。
しかしいったん合併症を起こすと肺炎や心筋炎、脳炎といった生命の危険を伴う病気を呼び起こすので、油断は禁物。

症状

かぜの一種であることからその症状もかぜとよく似ている。ただし症状のあらわれ方は急激で、かつ重い。一般に1~2日の潜伏期のあと突然の寒けとともに38~40度もの高熱を発する。
ただし、ほとんどの場合、初日の熱が最も高く、早ければ1~2日、遅くても一週間ほどで熟は下がる。発熱以外の症状としては、せきや鼻みず、のどの痛みといったかぜと共通したもの以外に、腰痛や筋肉痛など全身症状があらわれるのが特徴である。
また、ときには吐きけをもよおすこともある。大流行時以外は合併症を起こすことはまれだが、高熱が3~4日たっても下がらない、いったん下がった熱が再び上昇した、全身の衰弱が著しいといった場合には二次的な細菌感染の疑いが強く、血液検査やX線撮影などの精密検査が必要である。なおインフルエンザは、その主症状にいくつかのパターンがある。

  1. カタル型…発熱、のどの痛み、鼻みず、鼻づまり、せき、たんなど。
  2. 肺炎型…肺炎をおもな症状とし、高熱が続き、重い場合には呼吸困難やチアノーゼなどの症状があらわれる。せきやたんも多くなる。
  3. 胃腸型…おもに消化器系に異常が出る。
  4. 肺炎および脳膜炎型…意識がなくなったり、けいれんを起こすなど、神経系の症状が出る。
  5. 発疹型…発疹をおもな症状とする。
  6. 電撃型…初期から重い症状があらわれ、1~2日で死亡する。

3と5は少ない。

原因と診断

インフルエンザはA 型、B型、C型およびその他のインフルエンザウイルスによって感染する。感染は飛沫感染で、患者のせきやくしゃみによってウイルスが空気中にばらまかれ、それを吸入した人間に感染する。インフルエンザは流行時には特別な検査をしなくても容易に診断ができるが、流行時以外に発病した場合には診断がむずかしく、咽頭の分泌液やうがい水、鼻みず、たんなどのなかのウイルスを検査したり、血清検査などによって確実な診断を下している。

合併症

インフルエンザの怖さは、なんといっても合併症にある。とりあえず急性症状がおさまっても衰弱や高熱が続くときには、医師の精密検査を受ける必要がある。
インフルエンザの合併症のなかで、肺炎をはじめ急性気管支炎、肺膿瘍、膿胸などの肺合併症は、5~15%の割合でみられる。なかでもインフルエンザウイルス、または二次的な細菌感染による肺炎は、インフルエンザの合併症のなかでも最も死亡率が高いので十分な注意が必要。
その他の合併症状としては副鼻腔炎や中耳炎、心筋炎、脳炎、多発性神経炎などがあげられる。合併症のあらわれ方はウィルスの型や感染力、患者の免疫状態などによって異なってくる。
とはいえ、細菌性肺炎や心不全はもちろん、気管・気管支へいそくしんしゆつ閉塞による窒息や肺への出血性港出物の出現などがあれば、死に至ることもある。

治療

インフルエンザはかぜと同様、効果的な薬がなく、治療法としては症状を軽くするための対症療法と、合併症に対する予防・治療が主となる。合併症がない場合には発熱中、体力の消耗を避けるためにベッドで安静にしていなければならない。せきにはトローチや温かい飲み物が、頭痛や筋肉痛にはアスピリンなどの鎖痛剤が効果的である。
また回復期に入っても1週間程度は仕事などを控えたほうがよい。
本来、抗生物質を用いる特殊療法は不要となっているが、高齢者や孔幼旧ぺ妊婦、あるいは糖尿病患者や心肺機能に支障のある人など抵抗力の弱い人、そして心身を酷使する仕事についている人には、合併症を防ぐために抗生物質が用いられることもある。なお食事は高エネルギーのものを少量とることが基本で、消化器に負担のかかる高脂肪食は避け、水分を十分に補給するようにする。

予防

インフルエンザの予防策としてはワクチンの注射が一般的である。注射は一週間から10日の間隔をあけて2回行われ、効果があらわれるのは注射後2週間ほどたってから。有効期間は3~6ヶ月とされている。このほか感染を防ぐために、患者との接触を避けたり、外出から帰ったら手を洗い、うがいをすることも大切である。
また万が一、自分が感染した場合には、マスクをして人にうつさないように心がけたい。

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