肺炎

鼻や口から吸い込んだ空気は、咽頭、喉頭、気管、気管支を経て肺胞という組織に入り、ここで酸素と炭酸ガスの交換が行われる。鼻や口から肺にいたる気道を通って入ってきた細菌やウィルスなどの病原微生物が肺に感染し、肺胞を中心に炎症が起こった状態を肺炎という。
以前は非常に恐れられたこの病気も、現在では検査、治療法の進歩で完治しやすくなった。
しかし、死亡率は依然として高く、乳幼児や高齢者、からだの衰弱している人にとっては油断できない病気である。
肺炎にはさまざまなタイプがあるが、一般に、ふだん健康な人が日常生活で感染してかかる肺炎を「市中肺炎」といい、ほかの病気で入院中のからだの弱っている人が発症するものを「院内肺炎」という。

原因と種類

肺炎は、主としてさまざまな病原微生物によって起こる。感染が疑われる場合には、その病原微生物を特定するために「グラム染色」という検査が行われる。
たんを採取して染色し、細菌などの色や形を調べるもので、その症状によって肺炎は定型肺炎とと非定型肺炎とに分けられる。定型肺炎(細菌性肺炎) 細菌に感染して発症するもので、たんをグラム染色すると、細菌が紫色やオレンジ色に染まる。肺炎の約70%を占める。
原因となるおもな細菌には、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、クラブシュラ菌、肺炎桿菌菌、緑膿菌などがある。
市中肺炎を引き起こす代表的な細菌は肺炎球菌で、インフルエンザやかぜ症候群に引き続いて起こることが多い。気管支拡張症や慢性気管支炎などの既往歴のある人が、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なる) によって肺炎にえんげかかることもある。
高齢者に多い嚥下性肺炎も細菌感染が原因である。
一方、院内肺炎の多くは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や緑膿菌など、健康な人が感染しても発症することが少ない細菌が原因である。
非定型肺炎たんのグラム染色をしても染まらない場合で、おもに細菌以外の微生物が原因。マイコプラズマやクラミジアなどの微生物、インフルエンザウイルスやアデノウィルスなどのウィルスによって引き起こされる。

症状

定型肺炎と非定型肺炎では症状に違いがあり、一般に非定型肺炎のほうが症状が軽いとされる。定型肺炎急激に進行して、重症化しやすい。
おもな症状は、発熱と激しい寒け、せき、たんなどで、体温は39度を超える高熱になることもある。せきやたんが長く続き、ひどいときは夜眠れないこともある。
また、肺炎が進行して、肺をおおう胸膜に炎症が達すると胸の痛みを伴う。
高熱やせき、たんとともに胸痛がみられるときは、肺炎の疑いが強くなる。たんは黄色や緑色を帯びた膿性で、ときに血液がまじることもある。
とくに気管支拡張症などの既往歴がある場合には、血たんがしばしばみられる。ふつう、かぜ症候群やインフルエンザの場合は2~5日で解熱するが、肺炎では熱が1週間以上続くことが多い。
また、かぜに比べて倦怠感が強く、食欲も減退する。しかし、高齢者では発熱がみられないこともあるので注意する必要がある。

マイコプラズマ肺炎

非定型肺炎のなかでは最も頻度が高く、小児期から20~30歳代の比較的若い世代に多く発症する。たんを伴わない激しく頑固なせきが長く続くのが特徴。熱は微熱から高熱まであるが、高熱を発した場合でも全身状態は良好である。マイコプラズマは肺炎以外に気管支炎、小児では細気管支炎の原因にもなる。

クラミジア肺炎(オウム病)

クラミジアはウィルスに近い微生物で、1989年に新種として認められた新しい肺炎。感染後1~2週間の潜伏期間を経て発症し、頭痛や筋肉痛を伴って高熱やからせき、胸痛などの症状があらわれる。重症化すると、意識障害があらわれることもある。

ウイルス性肺炎

頭痛、発熱、筋肉痛、倦怠感などがおもな症状で、せきやたんは少なく、細菌性肺炎ほど重くならない。ただし、インフルエンザウイルス肺炎は、重症化すると高熱が出て、呼吸困難などを引き起こし、経過は2~3週間にも及ぶことがある。

治療

治療の基本は原因菌を排除することで、そのために抗生物質が投与される。ペニシリン系やセフェム系、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系などが病状に合わせて用いられている。また、たんやせきなどの対症療法として去たん剤やじ鎮咳剤などが必要に応じて処方される。
体力の維持・回復には安静を保つことが大切。体力を補うための十分な栄養補給と水分補給も欠かせない。症状が激しいときや脱水症状がある場合、呼吸障害や慢性の呼吸器疾患のある人では入院治療が必要になることがある。

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