おりもの・不正出血

胞状奇胎

胎盤のもとになる絨毛という部分が変化してブドウの房のように形成され、胎児が、ごく初期に死亡し、消滅してる状態が胞状奇胎である。

症状

妊娠第三月(8~11週) ごろに不正出血が起こり、子宮は妊娠の進行に比べて大きい。下腹部痛がないにもかかわらず、不規則な性器出血が断続的に続くことや、つわりが強いことなどが特徴だが、症状からふつうの流産との区別は困難である。

診断と治療

尿の妊娠反応が異常に強く出ることや、超音波検査などの方法で診断できる。は治療は、子宮内掻爬術が行われる。発育が早く子宮がメロン大になっているような場合は、掻爬が2回行われる。掻爬で子宮内のものを全部除去すれば胞状奇脂の治療は完了するが、その後の管理が重要になってくる。胞状奇胎妊娠後、20人に1人の割合で絨毛がんという悪性の病気が発生するといわれているため、掻爬後約2年間は定期的に検査を受け、主治医の許可が出て
から次の妊娠をする必要がある。

子宮外妊娠

子宮内腔以外の場所に受精卵が着床して、発育したものを子宮外妊娠という。多くの場合、卵管の粘膜に着床した卵管妊娠で、卵巣の表面に着床した卵巣妊娠、腹膜の上に着床した腹腔妊娠はまれ。
これらの場合、大部分が卵管妊娠した受精卵が卵管の先から腹腔内に押し出されて、卵巣の表面や腹膜に再着床したものである。

症状

初期の症状は、鈍い下腹部痛と少量の出血があり、一般的な流産の初期症状とほとんど同じである。生理の遅れなどと勘違いされ、見過ごされがちである。
受精卵が発育するにもかかわらず、卵管は子宮のように大きくはならないため、卵管の先から受精卵が押し出されてしまうか(卵管流産)、卵管破裂を起こすことになる。

どちらの場合も、腹腔内に大量の出血が起こり、しばしばショック状態となる。出血がひどい場合は死亡する恐れもある。卵管流産より卵管破裂のほとんどが出血、疼痛ともに急激である。
卵管流産の場合、押し出された受精卵が腸や腹膜に着床して、妊娠が続くことがまれにあるが、これも結局、手術しなければならない。

原因

正常妊娠では、卵管の端で受精した卵が卵管を通り、子宮までいって子宮内膜に着床する。卵管妊娠は卵管炎のあとに卵管の粘膜に異常があることから、受精卵の子宮への移動が妨げられることが原因である。

診断

子宮外妊娠の初期にすぐに診断のつくものから、なかなか診断のつかないものまでさまぎまである。尿による妊娠反応では陰性とでる場合もある。より鋭敏な血中絨毛性ゴナドトロピン微量定量測定を行って妊娠が確認されているのに、妊娠六週になっても、超音波検査で受精卵の入った胎嚢という袋が子宮内に見つからない場合は子宮外妊娠が疑われる。

治療

出血や激しい疼痛で倒れて子宮外妊娠の疑いがあったときは、直ちに専門医の診察を受けなければならない。卵管妊娠や卵巣妊娠は、手術によって着床部分を切除し、止血するこもある。ショック状態のときは、手術前に輸血が必要である。
腹腔妊娠の場合は、そのまま妊娠が持続することがあるため、このような場合は胎児が十分に育ってから開腹手術で赤ちゃんを取り出す。

生活の注意

妊娠初期に感じる出血や痛みは子宮外妊娠である可能性が高いため、早期に医師の診察を受ける必要がある。

子宮膣部びらん・子宮頸管炎

症状

子宮の下の4分の1くらいの部分を子宮膣部といい、子宮膣部から子宮に向かって延びている管を頸管という。子宮頸管炎は月経のときなどに細菌が侵入し、炎症を起こす病気である。
炎症が頸管だけに限られている場合は、発熱や痛みはないものの、おりものが増加する。

炎症によって子宮膣部の粘膜が壊れると、頸管内の粘膜上皮細胞がこれに代わって表面をおおい、膣腰部が赤くただれてくる。これが子宮膣部びらんである。

治療

頸管炎は直接、膣のなかに抗生物質を含んだ坐薬を入れる。炎症が軽く、おりものがあまり多くない場合は、そのままにしておいてもよい。膣部びらんは出産経験のある女性に一般的にみられ、それ自体が病気であるとはいえないが、がんの初期症状と見分けがつかないことが多いため、細胞診でがんでないことを確かめておく必要がある。
良性で、あまり大きくないぴらんはそのまま放置しておいてもよいが、大きいびらんや性交後、出血を繰り返す場合は、びらん面に機械を当て、冷やして細菌を殺す冷凍凝固療法を行う。炎症を起こしている上皮細胞を破壊するもので、痛みはなく簡単である。治療後、しばらくおりものが増加するが心配はない。