むくむ

粘液水腫(甲状腺機能低下症)

甲状腺機能の低下により起きる病気で、先天性のものと後天性のものがある。前者はクレチン症と呼ばれ、乳幼児期に知能が低下し、小人症となる。

症状

顔がむくむとともに、全身倦怠感や手足の冷え、汗が出なくなる、貧血、声がれ、いびき、脱毛、月経過多などの症状があらわれる。表情がぼんやりした感じになり、動作が鈍くなったり、しゃべるのが遅くなったりする。

原因

成人後発病するのは、甲状腺機能亢進症( バセドゥ病)で甲状腺を手術したさいに甲状腺を切除しすぎた場合や、放射性ヨードを用いすぎた場合などである。また慢性甲状腺炎が長期にわたって続いたり、下垂体からの甲状腺刺激ホルモンの分泌が低下した場合などでも、起きることがある。

診断と治療

血液検査で甲状腺ホルモン量を調べると、若しく減少していることがわかる。治療には甲状腺ホルモン製剤が川いられるが、これは終生、服川し続ける必要かある。

先端巨大症

成長ホルモンが下垂体から過剰に分泌されるために起きる病気で、末端肥大症ともいう。似た病気に、身長が異常に高くなる巨人症がある。

症状

手足や下あご、鼻、舌など末端部分が太く、巨大化する。そのため歯と歯の間が開き、下あごが突き出すといった特徴的な顔つきとなり、一見してこの病気であることが診断できる。そのほか皮膚が肥厚してザラザラする、汗腺が発達して肌が湿っぽくなる、体毛があらく毛深くなるといった症状がある。
また下垂体の腫瘍が原因で頭痛や吐きけ、視力障害などがあらわれることもある。ただし、これらの症状は長い時間をかけて徐々にあらわれるため、自分や周囲の人が顔つきの変化に気づくときには、病気がかなり進行しているケースが多い。

原因

下垂体に腫瘍ができて成長ホルモンが過剰に分泌されることが原因である。その結果、正常であれば思春期終了時に骨の末端部分(骨端線) が閉鎖して止まるはずの成長がそのまま続き、末端部分が異常に巨大化する。巨人症の原因も同じだが、こちらは骨端線が閉鎖する前に起きる点が異なる。

治療

手術によって下垂体の腫瘍を摘出する方法もあるが、内分泌専門医の指示に従うことが望ましい。また最近では手術ができない場合や、手術後、再発した場合などにブロモクリブチン剤が用いられて効果をあげている。ただし、この方法では成長ホルモンの分泌を永久的に正常化することはできない

妊娠中毒症

妊娠のさいに高血圧、むくみ、たんばく尿など腎炎と似た症状があらわれる異常妊娠。おもに妊娠の後半期に起こり、出産が終わると治るという特徴がある。分娩時大出血と並ぶ妊産婦死亡の2大原因であるとともに、死産や未熟児が多く、注意が必要である。

症状

むくみ、高血圧、たんぱく尿の3つがおもな柾状で、これらのうちひとつだけがあらわれるケースと2つ以卜があらわれるケースがある。

原因

かつては妊娠に関係したなんらかの毒物が原因だと考えられて妊娠中毒症と名づけられた。しかし現在では妊娠後半期の血管や腎臓の負担増大が引き金となって、血管系や腎臓に病気あるいは体質的欠陥のある人に前述のような症状があらわれると考えられている。なお双生児などの多胎妊娠では、血管や腎臓に欠陥がなくても妊娠中毒痛になることがある。

診断

高血はについては血止測定が、たんばく尿については尿検査が、むくみについては触診が行われる。

治療

安静を保つことが第一であり、とくに子宮内の環境を平静維持するために、側臥位による安静が基本である。次いで重要なのが食事療法で、塩分の制限と動物性たんばく質、植物性脂肪の摂取が中心となる。なかでも塩分の制限は重要で、症状が軽い場合には1日10g未満、重症の場合には1日2g未満が目安となる。
また過食は避けるようにし、軽症の場合は1日1800kcal重症の場合は1600kcal程度とする。水分の制限は症状が軽ければ必要ないが、重いときには前日の尿量に500mlを足した程度とする。なお、薬による治療は、必要に応じて血圧降下剤や利尿剤などが用いられる。