精神分裂病

精神病のひとつで、神経症が不安や緊張といった心理的要因によって起きるのに対し、分裂病は体質や気質など、人それぞれがもつ精神的・心理的要因によって起きると考えられている。また神経症が健康な状態から症状があらわれるときへと「移行する」のに対し、精神分裂病は健康な状態とは完全に隔離された状態の病気である。
この病気は、一般に慢性の経過をたどる。しかし、薬や治僚法の進歩によって、最近では、かなり治るようになっている。

症状

精神分裂病を症状からみると、次の3つに分けられる。

  • 破瓜型
    思春期から20歳前後にかけてみられることが多く、精神分裂病のなかでは最も早くあらわれる。症状としては、日常生活がだらしなくなる、不潔になる、これといった理由もなく学校の成績が下がる、といったことがある。また活力や自発性が失われ、友人との交際が疎遠になり、自室でぼんやりしていることが多くなる。知性は以前のままだが、生気が感じられないという印象が強い。
  • 緊張型
    激しい興奮状態、または混迷状態から病気が始まるもので、一般的な精神病のイメージに最も近いタイプといえる。突然興奮して叫ぶ、暴れる、その場の状況とは全然関係がなくまわりの人間には理解できないことをする、といったことが典型的な症状だが、その激しさとは対照的に、1ヶ月から数か月で症状は消えて回復する。ただし、2回、3回と同じような発作を繰り返すことが多く、そのたびに少しずつ人格が崩壊していく、という経過をたどる。
  • 妄想型
    破瓜型とともに多いのがこのタイプで、妄想や幻覚、幻聴などがあらわれる。この妄想や幻覚などには共通した要素があるのが特徴である。それは他人が自分に対してあざ笑う、陰口をいう、攻撃するといった被害妄想で、そのほかに「妻が浮気している」(嫉妬妄想)、「自分は天才である」(誇大妄想)、「だれかがあとをつけている」(追跡妄想)といった妄想がある。また、実際にはないにおいや味を感じる幻臭、幻味、また異常体験などが起きることもある。

原因

体質や気質など、個人の内部的要因がさまざまにからみ合って発病すると考えられている。しかし、これは原因となるものを検討した結果、心理的な要因をはじめ、アルコール中毒症や老人性痴呆症といった外因が否定され、内因だけが残ったということで、厳密にいえば推測でしかない。

経過

破瓜型が慢性化しやすく、極端な場合には廃人同様の状態に陥るのに対し、緊張型は比較的短期間のうちに治りやすい。破瓜型ほどではないが、妄想型も半年から1年程度症状が続くケースが多い。ただし破瓜型のように人格が破壊されるようなことは少なく、多少の影響はあっても日常生活を続けられることが多い。

診断

精神科医が診察すればおおよその診断は可能だが、念のために内科的な検査で、脳の病気やアルコール中毒症などの病気がないことを確認する。
また現代では症状のあらわれ方が以前と比べて軽くなっており、そのためどのタイプに属するのか決めかねることも多い。

治療

薬物療法と精神療法が大きな柱となる。現在では、治りにくい精神分裂病は全体の3分の1にすぎず、残りの3分の1は抗精神病薬でほぼ完全に治り、3分の1は薬物療法と精神療法、生活改善などでかなり回復するようになっている。
ただし治すためには早期発見と早期治療が原則である。そのため精神分裂症の素質(分裂気質) をもっている人に病気の兆候が見えたときには、早めに専門医の診察を受けるようにすることが大切。

とくに思春期から20歳代前半にかけて発病するケースが多いので、分裂気質をもったその年代の人が周囲にいる場合には、温かく、かつ注意深く見守る必要がある。

生活の注意

本人には病気だという自覚がないので、医師の診察を受けさせるときには、十分話し合ってから受けさせるようにする。無理やり、またはだまして連れていくようなことは厳禁である。

医師に相談し、家族では説得できない場合には、患者が信頼している知人に説得してもらうというのも、ひとつの手である。また家族が外聞をはばかって卑屈になると、患者はそれを敏感に察知して病気を悪化させることになる。
決して治らないわけではないので、患者を励ましながら治療にあたることがいちばん大切である。

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