呼吸困難になり、のどが喘鳴(ゼーゼー鳴る)する状態を ぜんそ くという。高齢者に多い心臓ぜんそくのように、心臓や肺に障害がある場合もこうした状態になるが、ふつう 「 ぜんそく 」 という際には 気管支 ぜんそく を指す。
以前は日本人の 1 % がこの病気にかかっているといわれたが、最近では3 ~4 % に増えているといわれる。
また子どもに発病することが多く、全患者の30% が5歳以下の子どもで、10歳までに範囲を広げると約50%になるという。
症状
明け方、突然息をするのが苦しくなってのどがゼーゼー鳴り始める。それがしばらく続くと、次いでせきが出はじめ、さらに大量のたんが出る。これがぜんそく発作の典型的なあらわれ方で、たんが出ると呼吸困難も徐々に回模し、喘鳴も消えていく。
発作の続く時間はさまぎまで、30分程度で自然におさまることもあれば、数時間も続くこともある。
また重症の場合には 2 ~ 3 日も続く例もある。発作があらわれるのは夜半過ぎから明け方にかけてが多く、昼間発作に襲われることは少ない。
また年間でみると季節の変わり目に多く、最も多いのが秋で、次いで冬から春に移るころや梅雨どきなどに多い。そのほか精神的な状態によっても発作のあらわれ方は異なり、何かに夢中になっているときは発作が起きることが少なく、心理的に不安・不満があったり、不規則な生活を送っているときには発作が起きやすい。
ぜんそく 原因
気道に慢性的な炎症が起こり、気道の過敏性が高まることが原因と考えられている。アレルギーや細菌感染、自律神経失調、内分泌系の異常、精神的ストレスなどが誘因となる。
なかでもアレルギーの関与が大きいと思われ、原因となるアレルギー因子(アレルゲン)がはっきりしているアトピー型と、アレルギー以外のさまざまな原因でおこる非アトピー型、またその中間の混合型に分類される。
原因となるアレルギー因子のおもなものは、室内のホコリに含まれるダニやカビ、花粉など。
また、コンニャク製造のさいにその粉を吸ったり、スギやラワンなどの製材のさいにその粉を吸ったりすることで発病することもある。そのほか大気汚染によるぜんそくも問題になっている。
ぜんそく 診断と検査
皮膚に疑わしいアレルギー因子を塗ってみる皮膚反応検査や、血清をとってアレルギー因子を調べるRAST検査などで、原因となるアレルギー因子を見つけ出す。また病気の進み具合を知るために、胸部X線撮影や心電図、呼吸機能検査なども行われる。
ぜんそく 治療
検査でアレルギー因子が判明した場合は、そのアレルギー因子との接触を絶つようにする。つまり、ある食べ物がアレルギーを呼び起こすのであればそれを食べないようにし、小鳥の羽毛が原因であれば小鳥を飼わないようにする。
ただし空気中のチリに含まれているダニやカビは避けることがむずかしいし、仕事上どうしてもその物質に触れなければならない場合もある。
その場合は減感作療法によって、アレルギー因子に対する抵抗力をつけるようにする。これはアレルギー因子の抽出液を繰り返し注射することによって抵抗力をつけるもので、少なくとも2~3年間は続けなければならない。また検査でアレルギー因子が特定できない場合や、減感作僚法では症状がよくならない場合には、いろいろな薬物を服用したり注射したりして、体質改善をはかることがある。
なお発作が起きたさいの対症療法としては、抗炎症作柄が強く副作糊の少ないステロイド吸入療法が中心である。
空気中のチリに対しては、室内の風通しをよくして湿気を防ぐようにする。また、寝具やカーペットなどは、ダニが繁殖しないように太陽に干したり、掃除をこまめにする。
ぜんそくは精神的なストレスが引き金となって発作が起きることも多いので、熱中できる趣味をもつことが望ましい。
もちろん過労や不規則な生活は避けなければならない。ふだんから適度な運動を心がけるのも、発作の予防には大切である。そして積極的に日光浴をしたり、乾布摩権や冷水摩擦で皮膚を鍛えるのも効果がある。また腹式呼吸は、家庭家庭でできる手軽なぜんそく治療法である。