視力が衰える

糖尿病性網膜症

糖尿病と目の病気は深いかかわりをもっている。なかでも網膜の血管に障害をもたらすのが糖尿病性網膜症で、糖尿病による失明のいちばん大きな原因となっている。

症状と原因

糖尿病による高血糖が続くと目のなかの細い血管の壁に変化が起き、部分的にはれて細血管瘤なるなど、血液の流れがスムーズにいかなくなる。さらに傷んだ血管から出血したりして網膜がむくんで血液の流れへいをさらに圧迫し、その結果、血管は閉塞してしまう。
それとともに新生血管ができるが、これはたいへん破れやすく、ときには大出血を起こすこともある。さらに二次的な増殖性変化が生じて、これが網膜を引っばり、網膜が剥離すれば、失明という結果にもなりかねない

治療

糖尿病を早いうちに発見して医師の適切な治療と指示を受けることが大切である。もしも糖尿病であることがわかったら、定期的な眼底検査を受け、光凝固(病巣にレーザー光線を当て、その部分を凝固させて病変を軽くする) などの処置を受けるとよい。
また、内服薬の飲みすぎやインスリン注射によって低血糖になると、網膜症を悪化させることにもなるので、糖尿病の治療は医師の指示によって正しくするよう心がけるべきである。

白内障

症状

「白そこひ」ともいわれるように、眼球のなかの水晶体が白く濁って、視力障害を起こしている状態のことをいう。自覚症状としては、進行しないうちは明るいところでまぶしさを感じる程度だが、濁りが広がって瞳にかかるようになるとしだいに視力が低下し、最後は明るさだけしか感じないようになる。
原因によって先天性白内障、老人性白内障、併発白内障、外傷性白内障の4つに分けることができる。

先天性白内障

原因

先天性とはいっても、その症状があらわれる時期はさまぎま。生まれたばかりのときに水晶体に濁りのある人もいれば、1歳を過ぎてかかる人、また思春期に入ってから白内障になる人もいる。その多くは遺伝、または母親の妊娠初期にかかった風疹などが原因と考えられている。

治療

患者が乳児の場合は早めの手術が肝心で、現在は2ヶ月以内に手術が行われるようになった。手術は白濁した水晶体を取り出すもので、水晶体のかわりにコンタクトレンズを使用するが、子どもが小さい場合は親が出し入れしてやることになる。濁りが一部の場合は虹彩を切って透明な部分まで瞳を広げてやることもある。

老人性白内障

原因

50歳以上の人がかかる視力障害は、この老人性白内障が傾国となるものが大半を占めるほどで、70歳以上の患者の数パーセントはかなり症状が悪化した状態といわれる。それだけに老人性白内障は目の老化と密接な関係にある。

治療

濁った水晶体を、摘出する手術を行うが、水晶体を被膜ごと全摘出のうする方法と、被膜を破って後嚢を残したまま摘出する嚢外摘出がある。最近は超音波を利用した手術が行われている。
水晶体を摘出したあとは、眼鏡やコンタクトレンズ、または眼内レンズ(人工水晶体)を使用することになる。現在は眼内に炎症のない場合に限って、亜外摘出手術を行ったあと、虹彩の後ろの水晶体のあったところにレンズを入れる手術が一般的である。
全身の状態が手術の結果に影響を及ぼすので、手術は、あらかじめ十分な検査を行い、高血庄や糖尿病などがある場八Hは全身管理をしたうえで調子のよいときに行う。

併発白内障

原因

ほかの病気が原因となって起きるのが併発白内障で、その原因としてはブドウ膜炎、緑内障手術後、網膜色素変性症などの目の病気、テタニー、糖尿病などの全身疾患、または薬物による副作用がある。

治療

老人性白内障と同様で、水晶体の摘出後、眼鏡やコンタクトレンズ、または眼内レンズを使用することになる。

外傷性白内障

原因

水晶体を直接傷つけたり、打撲などで間接的に水晶体を圧迫したりして起きるのが外傷性白内障である。

治療

老人性白内障と同様で、水晶体の摘出後、眼鏡やコンタクトレンズ、または眼内レンズを使用することになる。

白内障のタイプと症状の進み方、手術についてなど。
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屈折異常

正常な目であれば、光は角膜、水晶体を通って屈折し、網膜の上に集まって、見ている物体の像をつくる。これを正視というが、この屈折になんらかの原因で異常が起きると、像がぼんやりしたり、ゆがんだりする。これを屈折異常といい、近視や遠視、老視、乱視の4種類がある。

近視

症状と原因

網膜の手前で光が像を結んでしまうために、ぼんやりとしか物が見えない状態が近視である。近視の原因には、眼球の軸が成長とともに長くなり、網膜が像の結ばれる位置よりも後ろになるために起こるものと、さらに眼球のかたちは正常であっても、水晶体の厚さを調節する働きが異常となって起こるものの2つがある。
よくいわれる仮性近視とは、水晶体の厚さを調整する毛様体筋が近くのものを見すぎた結果、緊張の度合いが増してけいれんを起こし、遠くのものが見えにくい状態となっているもので、これは毛様体筋の緊張をゆるめれば回復するものである。

治療

仮性近視のときは初期であれば、薬を使って毛様体筋の緊張をゆるめたり、遠くのものを見ることで調節力を回復させることができる。
また、一般の近視の場合は、凹レンズの眼鏡をかけて矯止し、成長によって度数が変化したときは適切なレンズの眼鏡にかけ替えればよい。そうすることで、眼精疲労などを防ぐことができる。しかし視力に合った眼鏡をかけても物がよく見えなかったり、目が疲れるようなら、ほかの病気も心配されるので、眼科医で診断を受けたほうがよい。

遠視

症状と原因

遠視は近視とは反対に網膜の後ろで像を結ぶもので、毛様体筋の調節力が近視ほどに衰えていない場合がほとんどで、視力が極端に低下するということはない。
ただ、近くのものを見続けると疲れやすいのが特徴である。とくに調節力が低下する40歳代になると、その特徴もはっきりと出て視力の低下をみることがある。

治療

凸レンズを用いて矯正するが、老視になると度数もかなり変化するので、それに合ったレンズにかけ替える必要がある。

乱視

症状と原因

角膜や水晶体は外から入ってくる光を一点に集める働きをしているが、これらにひずみがあると、見ているものがゆがんだり、二重に見えたり、線の一方向がかすんだりする。これが乱視で、物をはっきり見ようとピント合わせを繰り返すので眼精疲労にもなりやすい。

原因

原因としては先天的なものと後天的なものがある。先天的なものは生まれついた小さなひずみが成長とともに大きなものとなり、乱視の症状をきたすもので、近視や、遠視などになると起こりやすい。
るということはないので、老視の自覚症状があらわれ、目が疲れるような状態になったら、眼精疲労を避けるためにも時期を選んで老眼鏡を使用するとよいだろう。ただ、老眼鏡をかけても見えにくかったり目が疲れるようなら、緑内障などほかの病気の疑いもあるので、眼科医の診断をあおぐようにする。

治療

老眼鏡を使って矯正するが、問題はいつ老眼鏡を使うかにある。老眼鏡を早く使うと老視の進行が早くなるということはないので、老視の自覚症状があらわれ、目が疲れるような状態になったら、眼精疲労を避けるためにも時期を選んで老眼鏡を使用するとよいだろう。
ただ、老眼鏡をかけても見えにくかったり目が疲れるようなら、緑内障などほかの病気の疑いもあるので、眼科医の診断をあおぐようにする。