2015年 10月 の投稿一覧

爪の病気

爪は、皮膚の表面のケラチンからなる角層が変化したものである。したがって爪の病気には、皮膚の病気に伴うものが多くみられる。
しかし、ときには全身の病気の症状のひとつとして、爪に異常があらわれることもある。

爪甲剥離症

爪が皮膚からはがれる病気だが、完全にはがれて抜け落ちるという症例はなく、ひどいときでもはがれるのは半分くらいである。原因については不明な点が多いが、バセドウ病やカンジダ感染によって起きる例がある。

爪甲周囲炎

爪の周囲の皮膚がはれて、ときにうみが出る病気である。原因としては、ブドウ球菌などの細菌による炎症や、カンジダ菌の感染によるもののほか、きわめてまれであるが稽留性肢端皮膚炎などが考えられる。なおカンジダ菌が原因となって発症する爪甲周囲炎は、水仕事をする機会の多い中年女性や、糖尿病患者などによくみられる。

爪甲白斑症

爪の甲が白くなる病気だが、白くなる様子は、点状のもの、横縞状のもの、爪全体が白くなるものなどさまざまである。なかでも最も多いのが点状の爪甲白斑症で、次いで横縞状のものが多い。
これは低たんばく血症やヒ素中毒などに多くみられるが、遺伝によって起きるケースもある。また、いずれの場合も、健康な人がかかることがある。

爪甲鉤弯症

爪が異常に大きくなって、羊の角のように曲がるもので、ときには数センチもの長さになることがある。足の親指に多くみられる症状で、そのほとんどは靴による圧迫が原因である。ただし、きわめて少ない場合だが、へいそく下肢の静脈瘡性症候群や血管閉塞、末梢神経障害で起きることもある。この場合、障害の起きた側の足の指に症状があらわれるという特徴がある。

爪甲軟化症

ケラチンという成分が不足して、爪の甲が異常にやわらかくなってしまう病気である。汗をかきやすい人に多くみられる。またアルカリ性の物質を扱うときに、その物質が爪に作用し、さじ状爪とともにあらわれることがある。
これは、クリーニング業などのようなアルカリ性の物質を扱うことの多い人によくみられる。いずれの場合も、栄養状態とは無関係にあらわれるものである。

さじ状爪

爪全体または爪の先端だけがスプーンのようにへこむ病気で、鉄欠乏性貧血のときにあらわれる症状として、よく知られている。鉄欠乏性貧血が治ると消失するので、治療には鉄剤が用いられる。

爪白癬

爪に生じたみず虫のことを爪白癬という。爪が白濁するとともに、爪の下が厚くなり、また爪がもろくなる。爪甲と爪床の間に爪白癬菌がはびこるため、一般のみず虫のように薬を上から塗っても効果がなく、グリセオフルビンなどの抗爪白癬剤を内服することで治療する場合が多い。

老人性痴呆症

症状

はじめにあらわれる症状のほとんどは物忘れで、本人は忘れたことも自覚しないで平然としていることが多い。うっかりガスの栓を閉め忘れた、時間や場所を勘違いした、服装がだらしなくなったといった症状があらわれたときには、ボケはかなり進行していると考えてよい。
そして、さらに症状が進むと大小便の失禁や幻覚、興奮などがあらわれる。

原因と治療

脳の萎縮などによって、物忘れが激しくなったり、判断力や記憶力が鈍ったりする。一般には60歳以上でこうした症状が出るものを老人性痴呆症と呼ぶことが多い。
日本では65歳以上の高齢者の2~3%% にみられるといわれ、80歳以上では20%前後にもなるという。原因については、はっきりとしたことがわからないため、効果的な治療法・予防法もない。軽い場合には家庭で看護することが望ましいが、ポケが著しい場合には入院による治療が必要になる。

頭部外傷

統計的に頭部に外傷を負う場合をみると交通事故が最も多く、転倒や転落などの事故、また心臓や脳の病気で意識を失ったさいに転倒して、頭部を傷つけるということもある。

開放性頭部外傷頭の皮膚が切れて出血した場合、頭蓋骨を骨折した場合、骨折によって脳が傷ついた場合などである。出血が起きたらあわてずに、ガーゼなどで傷の上から押さえつけるように止血することが大切。五分ほどしても出血が止まらないときには、近くの病院で手当を受けるようにする。

閉鎖性頭部外傷

頭の皮膚に傷がなくても、頭蓋骨骨折や脳の損傷の可能性があるので要注意である。ただし打ちつけた場合にコブができず、気を失うこともない場合には、そうした心配はない。間違えやすいのは老人や酒に酔った人が頭を打ったときで、この場合は3~4週間もたってから脳の表面に出血がたまることがある。その結果、ボケや頭痛、四肢のまひなどが起きることがあるので、そのときには手術が必要になる。