症候性多汗症

症状

汗を異常に分泌する症状を多汗症といい、局所性のものと全身性のものがある。局所性の多汗症は、大部分がもともと汗をかきやすい体質であることに、精神的なストレスが加わって起きるもので、
そうした場合では病気と考える必要はない。全身性の多汗症も同様で、ほとんどが体質的なものだが、ときには病気が原因で多汗症になることがある。これが症候性多汗症である。

原因

症候性多汗症の原因としては、腫瘍や炎症、外傷による脳の発汗中枢への刺激のほか、バセドゥ病、糖尿病、アルコール依存症などが考えられる。

治療

原因となる病気の治療が第一である。そして病状に応じて局所制汗剤や精神安定剤などが用いられる。

自律神経失調症

人の内臓は休みなく働いているが、その作業はいちいち脳の指示によって行われているわけではなく、交感神経と副交感神経からなる自律神経によって調整されている。
自律神経失調症は、その自律神経の調整が円滑にいかなくなって、さまざまな症状があらわれる病気である。

症状と原因

からだがだるい、疲れやすい、動悸がする、胃が重い、よく眠れない、頭が重いといった不定愁訴がありながら、検査をしても病気や異常が認められない場合に、よく自律神経失調症と診断されたりする。
しかし実際には、その大部分が自律神経の障害が原因ではなく、神経症や軽いうつ病による結果であることもある。病気としての自律神経失調症は、おに脊髄小脳変性症などのように自律神経がおかされて組織などに異常が発生するものと、先天的に自律神経系に障害がある場合を指す。症状としては、どちらも発汗や体温の調節不能、性欲減退、低血圧、失神発作、夜尿、失禁などがあげられる。
なお自律神経系の病気には、とくに原因が見つからないまま局所的な自律神経障害があらわれる特殊な病気がある。レイノー病や、皮膚や皮下組織にむくみがあらわれる浮腫、多汗症などが、その代表的なものである。

自律神経失調症の主な原因となる精神的ストレス

治療

自律神経そのものの障害が原因の場合には、自律神神経調整剤や体質改善につながる漢方薬が用いられる。精神の不安定が原因で起きる自律神経の失調は、精神科医に相談する。
多くは精神安定剤を服用することで症状が消えるが、それでもだめな場合には、心理検査や精神訓練が必要になる。倦怠感や疲労感、動悸、不眠といった症状は糖尿病や脳動脈硬化、高血圧症などでもあらわれるものなので、神経内科や内科の精密検査が必要となることもある。

低血圧症

一般に、最大血圧100mmHG未満、最小血圧60mmHG未満が低血圧とされているが、単に血圧が低いというだけでなく、そのためにさまざまな症状が現れる場合を低血圧症という。

症状

低血圧症で最も多いのは、だるい、疲れやすいといった全身倦怠感である。また頭痛やめまい、肩こり、疲れ、耳鳴り、不眠、動悸、息切れ、食欲不振、吐きけ、便秘、胃のもたれといった症状を訴えることが多い。
低血圧の人は朝の目覚めが悪く、集中力が低下するなど、症状とともに一般に日常生活で無理がききにくい。起立性低血圧症では、めまいが立ちくらみとなってあらわれることが多い。
そしてひどい場合には、一瞬、気が遠くなるようなこともあり、ときには実際に失神するケースもある。そのほか同じめまいでも、血の気がひくようなめまいを訴えるケースもみられるし、
足のふらつきなどを訴えることもある。しかし、これら起立性低血圧症は、いずれの場合もしばらくの間、様になって安静にしていればすぐに回復する。

原因

低血圧には、とくに原因が見つからない本態性低血圧症と、ほかの病気が原因で起きる症候性低血圧症があり、後者はさらに急性と慢性に分かれる。
一般にいわれる低血圧は本能性低血圧症で、体質的因子が大きく影響していると考えられる。一方、症候性低血圧症は何かの病気がすでに存在し、その結果として低血圧が起きる。
したがって、症候性低血圧症と診断された場合には、すぐに医師の治療を受けることが必要。
とくに急性の場合には、心筋梗塞や心不全、急性出血などきわめて危険な病気が原因となるので注意したい。
なお慢性の症候性低血圧症の原困としては、粘液水腫(甲状腺機能低下症) やアジソン病、がん、栄養障害などが考えられる。このほか低血圧症には、立ち上がったとたんに全身の血圧が下半身に集中して、血圧が急に下がる起立性低血圧症がある。これはおもに血圧を調整する自律神経の働きに異常が生じるために起きるものである。また、ときには血圧降下剤によっても、起立性低血圧症になることがある。

治療

症候性低血圧症の場合、原因となっている病気の治療が優先される。原因治療によって改善しない場合には、生活の注意や食事療法、薬物療法など本態性低血圧症に準じた治療が行われる。
薬物療法としては、心臓の拍出力を高めたり、末梢血管を収縮させる働きのある昇圧剤が使用される。症状が強い場合には、精神安定剤や自律神経調整剤が用いられることもある。

生活の注意

過労や睡眠不足を避け、規則正しい生活をすることが大切。食事は3三食きちんととり、栄養のバランスのとれたものにする。また立ちくらみがするときには、急に立ち上がったりせずに、ゆっくりとからだを起こすようにする。このほか体操などの運動や冷水摩擦や乾布摩擦を毎日行うのも効果がある。