肝腫瘍

肝臓に細菌感染が起こり、肝臓が化膿した状態になる病気。

症状

38~40度の高熱が出るが、1日のうち1度以上の熱の変軌がみられることがある。また、熟に伴って吐きけや嘔吐があり、食欲不振、肋骨下部からみぞおちにかけての不快感と痛みがみられ、肝臓がはれてくる。とくに痛みはしだいに激しくなり、息を吸っただけでも痛みを感じるようになる。黄疸を伴うこともある。

原因

細菌感染や、アメーバが原因となって、肝臓が化膿し、なかにうみがたまって発症する。大腸菌などの細菌によるものを化膿性肝膿瘍といい、これは胆のう炎や虫垂炎などに引き続いて起こることが多い。

一方、日本ではあまりみられないが、熱帯地方では赤痢アメーバによる発症例があり、この場合は腸内から血管に入った赤痢アメーバが肝臓に達し身症状、膿瘍をつくる。

検査と治療

症状のほか、X線CTや超音波検査で膿瘍が認められれば、容易に診断できる。治療には抗生物質が用いられるが、膿瘍が大きい場合には、超音波誘導によってカテーテルを挿入してうみを吸引除去する。
この排膿により治療成績が向上しているが、排膿が困難な症例(多発性肝膿瘍) では生命の危険を伴うこともある。

脳腫瘍

脳に化膿歯が入って炎症を起こし、脳の組織が壊されてうみのかたまりができる病気を脳膿瘍という。

症状

化膿に伴う発熱のほか、炎症が起きた脳の部分の機能障害があらわれる。そのため、けいれんや手足のまひ、しびれといった運動機能障害や、言語障害、視力障害、聴力障害のほか、意識障害など、さまざまな症状があらわれる。化膿してうみのたまった部分が大きくなると、脳庄が著しく克進し、激しい頭痛や吐きけ、嘔吐、めまいなどを伴う。

原因

体内に侵入したブドウ球菌、肺炎菌、インフルエンザ菌などの化膿菌が血液の流れにのって脳に運ばれる。あるいは中耳炎や副鼻腔炎など、脳に近い器官に起きた炎症が原因となって、そこから直接化膿菌が脳に入ることもある。

検査と治療

X線CTやMRIなどの画像検査が有効で脳や脊髄の状態から診断する。治療法としては、まず抗生物質と頭蓋内圧を下げる薬によって脳の状態を改善し、その後、うみを包む被膜が形成された段階で、手術で患部を摘缶する。
以前は死亡率が高く、後遺症を残すことの多い病気だったが、現在では診断と治療法の進歩により、完治率が高まっている。

脳炎

脳炎は代表的な神経系の感染症で、ともに細菌やウィルスが原因となって脳に炎症を起こす。現在では珍しい病気のひとつだが、一般に流行性で感染力が強く、特効のある治療法がないため、精神障害や知能低下などの後遺症が残る恐ろしい病気である。

症状

感染から発病までの潜伏期間はウィルスや細菌の種類によって異なり、そのほとんどは1週間から1ヶ月で発病する。しかしなかにはスローウイルス性脳炎と呼ばれる進行がゆるやかな脳炎もあり、その場合、発病までに数ヶ月間もかかることがある。
症状としては、突然の発熱に頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどを伴うのが一般的で、ときには腹痛や下痢などの症状を訴えることもある。
日本脳炎の場合、突然、39~40度の高熱に襲われ、同時に強い頗痛やめまいを感じる。また食欲がなくなり吐きけをもよおすこともある。体温は2~3日で40前後まで上昇し、それが10日間ほど続いたのち、しだいに熱が下かる。この間、患者は意識がもうろうとなり、うわごとをいったいり、手足をバタバタさせたりする。
そして重症の場合には、意識が混濁したまま死に至ることもある。脳炎は脳に障害が起きる病気だけに、感染した人に重い後遺症を残す。代表的な後遺症には、精神障害や知能低下、言語障害、筋強直などのほか、全身の動作が遅くなり、手の指にふるえがくるパーキンソン症候群などがある。

原因

脳炎の種類には、日本脳炎のほか、エコノモ脳炎、ヘルペス脳炎、遅発性ウィルス脳炎などさまざまなものがある。原因としては、コガタアカイエカによって媒介される日本脳炎のように、ウィルス性のものが一般的だが、なかには細菌やウィルスなどとは関係なくアレルギーや自己免疫の異常によって起きるものもある。また結核や梅毒などによって脳炎を起こすこともあるので注意が必要だ。
なお、一般に10歳以下の子どもが発病することが多いが、大人がかかることもあり、その場合、死亡率は子どもに比べて高くなる。

診断と治療

診断には、X線CTやMRI 、脳波、脳脊髄液などの検査が行われる。治僚には入院が必要。ヘルペス脳炎の場合は、近年、このウィルスに有効とされる抗ウイルス薬(アシクロビル)が開発されたが、必ずしも予後はよいとはいえない。そのほかの脳炎の場合も確実な治療方ではなく、症状や後遺症を抑える対処療法が中心となる。

予防

日本脳炎の予防としてはなんといっても予防注射を受けることが一番。ただし、1回めの注射では個かが出るまでに1ヶ月かかるので、日本脳炎が流行しやすい7月に備えて5~6月ごろに受けるのがいい。