発熱

小児結核

症状と治療

結核の種類によって症状のあらわれ方、治療法が異なる。初感染結核初期では症状があらわれないので、感染の有無はツベルクリン反応によって判断する。
ただし、なかには発熱やせき、食欲不振、顔色が悪いといった症状が出るケースもあるほか、胸部X線撮影で肺門リンパ節のはれが見つかることもある。
またBCG接種をしていない乳幼児がツベルクリン反応で陽性を示したり、陽性の反応が強い場合に、初感染結核の可能性が高い。

この場合の治療法としては、発病を予防するために抗結核薬を半年から1年間服用させて経過をみることが多い。これは家庭内に結核患者が出て、子どもがツベルクリン反応で陽性を示した場合でも同様である。
なお胃液培養などで結核菌が発見され、肺結核の症状があらわれた場合には、すぐに入院して治療を受けなければならない。

粟粒結核・結核牲髄膜炎

粟粒結核はい発熱や寒け、全身倦怠感などの症状があらわれる一方で、せきなどの呼吸器症状が少ないのが特徴である。また結核性髄膜炎では、顔面神経まひや斜視、眼瞼下垂といった脳神経症状、けいれんなどがあらわれる。いずれもきわめて危険な病気であり入院が必要である。

原因

小児結核は、子どもがはじめて結核菌に感染して起きる初感染結核が多く、早い時期に発見できれば治りやすい半面、発見が遅れると急速に悪化し、結核性髄膜炎や結核性関節炎、結核性腹膜炎などに進むことが多い。
また感染源として家族内に結核菌の保有者がいる場合が多く、結核菌に感染する回数と量がともに多いため、そうした例では重症になりやすい。したがって家族内に結核患者が出た場合には、すぐに子どもにツベルクリン検査を受けさせる必要がある。

予防

ツベルクリン検査による早期発見と、BCG接種による予防が何よりも大切である。とくに家族内に結核患者がいる場合、また乳幼児期から集団保育を受ける場合には、生後2~3ヶ月のうちにツベルクリン検査やBCG接種を受ける必要がある。

川崎病

MCLS、急性熱性皮膚粘膜リンパ節症候群ともいう。発見者(川崎富作博士)の名前から、川崎病と呼ばれる。日本に多くみられ、1年に数千から一万数千の発生がある。

症状

突然、高熱を発して、その状態が長く続く。1週間から、長いときには2殻3週間にも及ぶことがある。子どもによって、発熱の前に首の痛みを訴えたり、せきなどのかぜの症状が出ることもある。

高熱が続くうちに、両方の目が充血して真っ赤になる。次に唇も赤くなり、乾燥するために切れて出血する場合もある。同時に、頸部リンパ節や手足の指が赤くはれ、からだ全体にさまざまな形の発疹や紅斑、BCG接種部位の発赤などがみられ、解熱後、手や足の皮がウロコのようにむけてくる。

原因

種々の説が出されてきたが、今まで確定されておらず、原因はまったく不明。4歳以下の乳幼児に多い。

合併症

この病気が怖いのは、全身の動脈に炎症を起こすことである。手の指や足の指の動脈が詰まったり、心臓の冠動脈に動脈瘤をつくったりすることが多く、まれに冠状動脈瘡による心筋梗塞で急死するケースもある。

治療

入院が必要。治療には、ガンマグロブリンのほか、血管の炎症や凝固を防止するためにアスピリン、抗凝固剤などが用いられる。最近では心エコー(超音波検査)の進歩によって、冠動脈の観察が容易になり、そのために心筋梗塞を予防することも可能となっている。
発病後1ヶ月たっても冠動脈に変化がみられなければ、以後、新しく動脈瘡ができることはない。いずれにしても心臓を中心とした精密検査が大切である。再発例は2~3% みられ、きょうだいには1~2% の割合で発症している。

おたふくかぜ(流行性耳下腺炎)

流行性耳下腺炎ともいい、大部分は15歳以下の小児がかかる。最も頻度が高いのは幼児期で、季節的には春から夏に多くみられる。

症状

はじめは耳の痛み、食べ物をかむときの痛みなどで始まる。1~2日前から発熱、食欲不振、頭痛、嘔吐、全身違和感などを伴うこともある。
次に耳のつけ根の部分がはれてくる。左右が同時にはれてくることもあるが、片方がはれ、次いでもう一方がはれてくる場合や、ときには片方しかはれないとき、あるいは耳下腺以外の唾液腺がはれる場合もある。はれた部分は圧迫感をおばえる。

最終的には、左右両側がはれてくる場合が大半で、片方がはれてからもう一方がはれるまで4~7日の間隔がある。そしてはれは約3日で最高となり、さらに2日ほどで徐々にひいてくる。
はれと同時に発熱がみられ、39度くらいまで上昇するが、熱ははれがひくよりも早く下がりはじめるのがふつう。
まれに微熱、平熱のこともある。まれに精巣(睾丸)炎、卵巣炎、難聴、髄膜炎、脳炎などを併発する恐れもあるので注意が必要である。

原因

ムンブスウイルスによる伝染病で、直接接触か飛沫感染でうつる。ウィルスの進入口は、口、鼻、目などで潜伏期間は17~21日と比較的長い。耳下腺(耳のつけ根) がはれる数日前から、はれが続いている間は感染する。ウィルスは唾液のほか尿中にも排泄される。

治療

とくに有効な治療法はないが、楽にさせるために耳下腺のはれと痛みには湿布がよい。

生活の注意

家庭では床につかせ、安静にさせる。耳下腺がはれている最初の3日間くらいは痛みがあるので冷湿布をし、薄味でかまずに食べられる流動食をとるようにする。通園や通学は耳下腺のはれがひいてからにする。

予後

難聴以外は良好である。精巣炎を併発すると将来不妊になるといわれているが、これは10歳以上の男子に起きた場合にごくまれにみられる。

予防

おたふくかぜは、弱毒性生ワクチンによって予防することができ、現在、1歳半以上の子どもを対象に予防接種が行われている。