皮膚の異常

赤あざ・青あざ・黒あざ

あざにはいろいろな種類があり、放置しておいても自然になくなるものから、大人になる前に取っておいたほうがよいものもある。

赤あざ(血管腫)

生まれつき皮膚の血管が異常に増殖したもので、3つの型がある。

症状

生まれたときからみられる平らな赤いシミのようなあざを単純性血しゆ管瞳(ポートワイン血管瞳)という。自然に消えてしまう場合もあるが、通常は消えずに残る。生後まもなく、赤い斑点としてあらわれ、数ヶ月の間に大きくなり、イチゴのように皮膚に盛り上がるものをイチゴ状血管腫という。

生後1~3か月くらいまでは大きくなり、以後少しずつ消えて、4~5歳までにはたいていなくなる。皮膚の深い部分にできた赤あざは海綿状血管建と呼ばれ、大きなコブのようになる。これは自然には治らない。

治療

自然に治るものは、ふつう経過観察が原則。治らないものにはレーザー光線療法が行われる。ただし早期治療が必要な場合があるので、皮膚科医に早めにみてもらう。

青あざ(蒙古斑)

メラニン色素をもつ細胞が皮膚の深部(真皮)にあるため青く見えるもので、東洋人に多いので蒙古斑ともいう。

症状

生後1週間くらいから出てくる。大きさはいろいろで、皮膚の表面はなめらかで異常はない。出てくる場所は腰のあたりが多く、背中やおしりにも出ることがある。

治療

7~8歳までに自然に消えてしまうので、特別な治療は不要だが、非常に目立つものであったり、成人しても消失しないタイプのものはレーザー治療を行う。

黒あざ(色素性母斑)

色素性母斑といい、小さなものがホタロである。生まれつきの場合と、思春期からできる場合とがある。

症状

皮膚の色素細胞が増加してできるもので、表面が平らなものや盛り上がっているもの、ザラザラしたもの、毛の生えたものなどいろいろあり、形やできる場所も多様である。

治療

早期にレーザー治療や形成手術を行う。爪の下、指先、足の裏、手のひらなどにある黒あざは、まれに悪性化することがあるので注意する必要がある。
黒あざが急に大きくなったり、黒みを増したり、周辺に黒い色がにじみだしたときは悪性化が疑われるので、早めに医師の診察を受ける。

リンゴ病

小学校で流行することが多く、学級閉鎖をする場合もあるが、はしかおたふくかぜ水ぼうそうほど伝染力は強くない。

症状と原因

ヒトパルボウィルス(HPV)B19 の感染で発症し、妊娠初期の女性が感染すると、赤ちゃんが奇形児になることが多い。

感染後9日めくらいで発熱やのどの痛みなどがあらわれることもあり、18日めくらいに、顔の両頬一面に、リンゴのような紅斑ができる。口のまわりや額にはほとんどあらわれないで、両頼にちょうど蝶が羽根を広げたような赤い斑点が出るのが特徴である。やがて、紅斑は手足や腎部にも広がっていくが、胴体にはあまり出ない。

治療

発疹部にかゆみを伴う場合は抗ヒスタミン剤を用いる。

猩紅熱

溶連菌感染症のひとつのかたちで、ベータA群β溶連菌と呼ばれる菌が原因となって飛沫感染する。扁桃のはれに発疹が合併した状態を猩紅熱と呼ぶ。

症状

潜伏期間は3日くらいで、突然38~39度の熱を出す。寒け、頭痛、のどの痛みを訴え、扁桃がはれ、ときにはうみがついたり、嘔吐がみられたりする。

首のリンパ節もはれて痛み、舌の乳頭が赤くはれ、ブツブツが大きくなり、いわゆるイチゴ舌になる。有髪部、手のひら、足の裏、口のまわりを除き、全身の毛穴に鮮紅色の発疹もあらわれてくる。

しかし、最近は早期に抗生物質を用いるので、発疹が出ることはほとんどない。発熱後、7~10日間で熱は下がる。発疹も3~7日で消えるが、2~3週間後に、わきの下、手指の先端、爪の根もと、そけい部の皮膚が米ぬか状やウロコ状にむける。また、手のひら、足の裏の皮膚は膜のように大きくむける。

診断

咽頭のぬぐい液による迅速診断、血液検査、咽頭培養などを行う。

治療

医師の指示により抗生物質を内服する。溶連菌感染症にかかると、急性腎炎やリウマチ熱を併発することがあるので、注意が必要である。