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咽頭ジフテリア

ジフテリア菌の飛沫感染、接触感染でうつる病気をジフテリアという。2~10歳の子どもに多く、3~5日間の潜伏期間のあとで発病する。
おもに冬にかかるが、健康保菌者も少なくない。このジフテリア菌に咽頭をおかされたものを咽頭ジフテリアと呼び、ジフテリアのなかでいちばん多い。

症状

38度くらいの発熱、咽頭痛、嘔吐などで始まる。咽頭は最初、赤くなり、はれてくる。次に扁桃やのどに灰白色の斑点がみられるようになり、12~24時間で偽膜ができる。これがどんどん広がって、咽頭壁、軟口蓋、け懸様垂に及んでいく。

無理に偽膜を取ろうとすると、下部組織と密着しているので出血を起こす。重症になると、偽膜は咽頭後壁にまで広がり、ときには鼻、咽頭、気管、気管支にまで進行することもある。
最重症(悪性ジフテリア)になると、偽膜の色が黒褐色になり、壊死を起こし、強い口臭と出血がみられるようになる。そのうえ、脛部のリンパ周囲炎や局所浮腫もあらわれる。全身状態も悪化し、心臓や腎臓に障害が出て、血圧下降、チアノーゼ、頻脈、肝臓肥大もみられるようになる。

治療

心筋炎を併発する恐れがあり、発病後2週間くらいで突然、心臓まひを起こし、急死することがある。心電図検査を繰り返し、発病後2週間は絶対安静にし、回復期も油断しないで安静を守る必要がある。

油断すると1~6週間のうちに神経がジフテリア毒素におかされ、心筋炎だけでなく、軟口蓋まひ、眼筋まひ、四肢まひ、呼吸筋まひなどを起こす恐れもある。
早期治療が何よりも大切で、その遅速が予後に決定的な影響を及ばす。治療には、血清療法や抗生物質が用いられる。

予防

予防ワクチン(三種混合)の接種を受けておけば安心である。

ヘルパンギーナ

ヘルパンギーナ

エンテロウィルスグループに属するコクサッキーA群ウィルスのうち、いくつかの種類の感染によって起こる乳幼児の病気で、俗にいう夏かぜの一種である。

症状

春から夏にかけて多発する。2~4日の潜伏期間があり、突然、39~40度の高熱を出して発病する。2歳を過ぎたくらいの子どもになると、のどの痛み、頭やおなかの痛みを訴えることがある。

全身状態はあまり悪くならないが、のどの痛みのため食欲がなくなる。また、急激に高熱が出るため、発病時に熱性けいれんを起こすことがある。

のどを見ると全体に赤くなり、軟口蓋や後壁に赤いブツブツや、周囲が赤い小水疱や小潰瘍が多数みられる。熟は2~3日(なかには、4~5日続くこともある)で下がり、のどの潰瘍も1週間くらいのうちに消えてしまう。

治療

特効薬はなく、対症療法をとる。乳児の場合、母乳は飲んでも、離乳食はいやがることが多いので、潰瘍にしみる果汁やかたいものは避け、スープなど刺激の少ないものを与える。幼児の場合も、薄味の受けつけやすい食べ物にする。

アデノイド

アデノイド(咽頭扁桃)とは、鼻の奥とのどの移行部にあるリンパ組織で、生体の感染防御の一役をになっている。年齢によって大きさが変わり、4~5歳で最大となり、以後、徐々に縮小する。10歳を過ぎると急速に小さくなり、青年期には痕跡となる。

症状

アデノイドが肥大すると、鼻の奥がふさがるために鼻で呼吸することができず、口をポカンと開けて口だけで呼吸したり、いびきが強くなったりする。

いびきは体位で変化し横向きで小さくなる。睡眠時は規則正しい呼吸ができず、一時呼吸が止まり、次いで大きく苦しそうな深呼吸をすることこうnかいが多い。

口蓋、あご、歯などにも変化が起こり、表情の乏しい、ぼんやりした顔つき(アデノイド顔貌)になる。睡眠不足のため、なかには、注意力散漫、落ち着きがない、根気がない、記憶力低下、学業成績低下、夜尿などがみられる子どももいる。さらに、喚覚・味覚障害、こもった鼻声で発音がはっきりしないなどの症状もみられる。港出性中耳炎、反復性中耳炎になりやすく、難聴の原因にもなるので気をつけたい。また、副鼻腔炎を伴うことが多い。

原因

大はふつう3~7歳の幼児で問題となる。先天性の素因やかぜを繰り返しひくことが原因でアデノイドが異常に大きくなっていき、その結果、いろいろな障害があらわれてくる。

治療

アデノイド症状がはっきりしている場合は、耳鼻咽喉科で手術して取り除くのが最善の治療法である。口から器械を入れて切り取るが、5日前後の入院が必要である。