膠原病

各臓器や、からだじゅうの細胞をつなぐ役割をしている結合組織に変化が起こる一群の病気を総称して膠原病。病気は必ずしも臓器ごとに起こるのではなく、ときには、心臓、関節、皮膚などのさまざまな場所に、ほぼ同時にあらわれてくることがある。

症状と種類

このような性質の病気としては、関節の痛みを訴える慢性関節リウマチ、発熱が起こるリウマチ熟、痛みやかゆみを伴わない紅斑があらわれる全身性エリテマトーデスなどがよく知られている。
ほかにも強皮症や全身性硬化症、皮膚筋炎、多発性筋炎、結節性動脈周囲灸といった病気が膠原病のおもなものとされており、どれも原因不明の発熱や全身の倦怠感など、多くの共通した症状がみられる。
また、症状ひとつとしでアフタ性内炎や陰部の潰瘍があらわれるベーチェット病のほか、まれな病気だが、涙や唾液の分泌が減少して目や口内が乾燥するシェーグレンン症候群なども、現在は膠原病の一種とみなされている。

原因と治療

今のところ、原因は完全には解明されていないが、自己免疫反応によるものではないかと考えられている。膠原病の専門医を受診し、検査と治療を受けることが必要である。

肺結核

結核菌の感染による慢性伝染病で、かつて「死の病」として恐れられた病気である。戦後、予防法の普及や化学療法の進歩によって死亡率は激減したが、現在も発病する人が後を断たない。昔ほど猛威をふるうことはないとはいえ、やはり恐ろしい病気のひとつである。

症状

肺結核は徐々に悪化する慢性的な病気のため、はじめのうちは自覚症状に乏しい。そのため微熱や倦怠感、食欲不振、体重減少、月経異常といった初期症状があらわれたときには病気はすでに半ば以上進んでいることが多かった。
そして、さらにせきやたん、喀血、呼吸困難、胸の痛みなどの症状があらわれるころには、病気はかなり重くなっていることが多い。
肺結核による発熱は、微熱あるいは高くても38度程度で、発汗や顔面紅潮、ふるえなどを伴うことが多く、たんに血が混じることで肺結核に気づくこともある。なお、ときには、少量の血のかたまりのような血たんが出ることがある。

感染は、おもに患者のせきなどによって結核菌に感染する。ただし感染したからといって肺結核になるとは限らず、青年期までに大多数の人が感染するといわれるわが国でも、実際に発病するのは数%にすぎない。これは多くの人が結核菌に対する免疫をもっているからである。

検査と診断

診断は、胸部X線撮影と、たんの細菌学的検査が中心になる。細菌学的検査にはたんそのものを直接と調べる塗抹検査と、たんのなかの結核菌を培養して調べる培養検査とがある。培養検査は有効な薬までわかる長所があるが、時間がかかる。そこで最近では、結核菌特有のDNAを検出する遺伝子診断(PCR)も行われている。

肺結核の治療は化学療法が中心となり、病状に応じて安静・栄養といった一般療法や、ときには手術が行われる。また周囲の人間を感汎米から守るためばかりでなく、治療効果の観察や薬の副作用のあらわれ方をみるためにも、入院して治療を受けなければならない。
そして少なくとも、たんのなかに結核菌が存在したり、胸部Ⅹ線写真で肺の状態が入院前より悪くなっているときは隔離が必要である。ただし現在では適切な化学療法を受ければ、三〜四か月でたんのなかの結核菌が消えるので、ほかの人への感染の危険性は事実上なくなる化学療法に用いられる薬にはストレプトマイシンをはじめとしていろいろあり、それらの適切な併用でほとんどすべての肺結核を治すことができる。

予防

感染を防ぐこと、結核菌に対する免疫がない人はBCGワクチンによって免疫をつけることが柱となる。感染を防ぐためには患者を入院させることが何よりも大切で、現在では結核予防法によって強制入院が義務づけられている。

肺炎

鼻や口から吸い込んだ空気は、咽頭、喉頭、気管、気管支を経て肺胞という組織に入り、ここで酸素と炭酸ガスの交換が行われる。鼻や口から肺にいたる気道を通って入ってきた細菌やウィルスなどの病原微生物が肺に感染し、肺胞を中心に炎症が起こった状態を肺炎という。
以前は非常に恐れられたこの病気も、現在では検査、治療法の進歩で完治しやすくなった。
しかし、死亡率は依然として高く、乳幼児や高齢者、からだの衰弱している人にとっては油断できない病気である。
肺炎にはさまざまなタイプがあるが、一般に、ふだん健康な人が日常生活で感染してかかる肺炎を「市中肺炎」といい、ほかの病気で入院中のからだの弱っている人が発症するものを「院内肺炎」という。

原因と種類

肺炎は、主としてさまざまな病原微生物によって起こる。感染が疑われる場合には、その病原微生物を特定するために「グラム染色」という検査が行われる。
たんを採取して染色し、細菌などの色や形を調べるもので、その症状によって肺炎は定型肺炎とと非定型肺炎とに分けられる。定型肺炎(細菌性肺炎) 細菌に感染して発症するもので、たんをグラム染色すると、細菌が紫色やオレンジ色に染まる。肺炎の約70%を占める。
原因となるおもな細菌には、肺炎球菌、黄色ブドウ球菌、クラブシュラ菌、肺炎桿菌菌、緑膿菌などがある。
市中肺炎を引き起こす代表的な細菌は肺炎球菌で、インフルエンザやかぜ症候群に引き続いて起こることが多い。気管支拡張症や慢性気管支炎などの既往歴のある人が、インフルエンザ菌(インフルエンザウイルスとは異なる) によって肺炎にえんげかかることもある。
高齢者に多い嚥下性肺炎も細菌感染が原因である。
一方、院内肺炎の多くは、MRSA(メチシリン耐性黄色ブドウ球菌)や緑膿菌など、健康な人が感染しても発症することが少ない細菌が原因である。
非定型肺炎たんのグラム染色をしても染まらない場合で、おもに細菌以外の微生物が原因。マイコプラズマやクラミジアなどの微生物、インフルエンザウイルスやアデノウィルスなどのウィルスによって引き起こされる。

症状

定型肺炎と非定型肺炎では症状に違いがあり、一般に非定型肺炎のほうが症状が軽いとされる。定型肺炎急激に進行して、重症化しやすい。
おもな症状は、発熱と激しい寒け、せき、たんなどで、体温は39度を超える高熱になることもある。せきやたんが長く続き、ひどいときは夜眠れないこともある。
また、肺炎が進行して、肺をおおう胸膜に炎症が達すると胸の痛みを伴う。
高熱やせき、たんとともに胸痛がみられるときは、肺炎の疑いが強くなる。たんは黄色や緑色を帯びた膿性で、ときに血液がまじることもある。
とくに気管支拡張症などの既往歴がある場合には、血たんがしばしばみられる。ふつう、かぜ症候群やインフルエンザの場合は2~5日で解熱するが、肺炎では熱が1週間以上続くことが多い。
また、かぜに比べて倦怠感が強く、食欲も減退する。しかし、高齢者では発熱がみられないこともあるので注意する必要がある。

マイコプラズマ肺炎

非定型肺炎のなかでは最も頻度が高く、小児期から20~30歳代の比較的若い世代に多く発症する。たんを伴わない激しく頑固なせきが長く続くのが特徴。熱は微熱から高熱まであるが、高熱を発した場合でも全身状態は良好である。マイコプラズマは肺炎以外に気管支炎、小児では細気管支炎の原因にもなる。

クラミジア肺炎(オウム病)

クラミジアはウィルスに近い微生物で、1989年に新種として認められた新しい肺炎。感染後1~2週間の潜伏期間を経て発症し、頭痛や筋肉痛を伴って高熱やからせき、胸痛などの症状があらわれる。重症化すると、意識障害があらわれることもある。

ウイルス性肺炎

頭痛、発熱、筋肉痛、倦怠感などがおもな症状で、せきやたんは少なく、細菌性肺炎ほど重くならない。ただし、インフルエンザウイルス肺炎は、重症化すると高熱が出て、呼吸困難などを引き起こし、経過は2~3週間にも及ぶことがある。

治療

治療の基本は原因菌を排除することで、そのために抗生物質が投与される。ペニシリン系やセフェム系、テトラサイクリン系、マクロライド系、ニューキノロン系などが病状に合わせて用いられている。また、たんやせきなどの対症療法として去たん剤やじ鎮咳剤などが必要に応じて処方される。
体力の維持・回復には安静を保つことが大切。体力を補うための十分な栄養補給と水分補給も欠かせない。症状が激しいときや脱水症状がある場合、呼吸障害や慢性の呼吸器疾患のある人では入院治療が必要になることがある。

インフルエンザ

インフルエンザはかぜの一種ではあるが、感染力がきわめて強く、また症状も重いかぜである。急に高熱を発し全身的な衰弱をもたらすが、合併症が出なければ短期間で症状は快方に向かう。
しかしいったん合併症を起こすと肺炎や心筋炎、脳炎といった生命の危険を伴う病気を呼び起こすので、油断は禁物。

症状

かぜの一種であることからその症状もかぜとよく似ている。ただし症状のあらわれ方は急激で、かつ重い。一般に1~2日の潜伏期のあと突然の寒けとともに38~40度もの高熱を発する。
ただし、ほとんどの場合、初日の熱が最も高く、早ければ1~2日、遅くても一週間ほどで熟は下がる。発熱以外の症状としては、せきや鼻みず、のどの痛みといったかぜと共通したもの以外に、腰痛や筋肉痛など全身症状があらわれるのが特徴である。
また、ときには吐きけをもよおすこともある。大流行時以外は合併症を起こすことはまれだが、高熱が3~4日たっても下がらない、いったん下がった熱が再び上昇した、全身の衰弱が著しいといった場合には二次的な細菌感染の疑いが強く、血液検査やX線撮影などの精密検査が必要である。なおインフルエンザは、その主症状にいくつかのパターンがある。

  1. カタル型…発熱、のどの痛み、鼻みず、鼻づまり、せき、たんなど。
  2. 肺炎型…肺炎をおもな症状とし、高熱が続き、重い場合には呼吸困難やチアノーゼなどの症状があらわれる。せきやたんも多くなる。
  3. 胃腸型…おもに消化器系に異常が出る。
  4. 肺炎および脳膜炎型…意識がなくなったり、けいれんを起こすなど、神経系の症状が出る。
  5. 発疹型…発疹をおもな症状とする。
  6. 電撃型…初期から重い症状があらわれ、1~2日で死亡する。

3と5は少ない。

原因と診断

インフルエンザはA 型、B型、C型およびその他のインフルエンザウイルスによって感染する。感染は飛沫感染で、患者のせきやくしゃみによってウイルスが空気中にばらまかれ、それを吸入した人間に感染する。インフルエンザは流行時には特別な検査をしなくても容易に診断ができるが、流行時以外に発病した場合には診断がむずかしく、咽頭の分泌液やうがい水、鼻みず、たんなどのなかのウイルスを検査したり、血清検査などによって確実な診断を下している。

合併症

インフルエンザの怖さは、なんといっても合併症にある。とりあえず急性症状がおさまっても衰弱や高熱が続くときには、医師の精密検査を受ける必要がある。
インフルエンザの合併症のなかで、肺炎をはじめ急性気管支炎、肺膿瘍、膿胸などの肺合併症は、5~15%の割合でみられる。なかでもインフルエンザウイルス、または二次的な細菌感染による肺炎は、インフルエンザの合併症のなかでも最も死亡率が高いので十分な注意が必要。
その他の合併症状としては副鼻腔炎や中耳炎、心筋炎、脳炎、多発性神経炎などがあげられる。合併症のあらわれ方はウィルスの型や感染力、患者の免疫状態などによって異なってくる。
とはいえ、細菌性肺炎や心不全はもちろん、気管・気管支へいそくしんしゆつ閉塞による窒息や肺への出血性港出物の出現などがあれば、死に至ることもある。

治療

インフルエンザはかぜと同様、効果的な薬がなく、治療法としては症状を軽くするための対症療法と、合併症に対する予防・治療が主となる。合併症がない場合には発熱中、体力の消耗を避けるためにベッドで安静にしていなければならない。せきにはトローチや温かい飲み物が、頭痛や筋肉痛にはアスピリンなどの鎖痛剤が効果的である。
また回復期に入っても1週間程度は仕事などを控えたほうがよい。
本来、抗生物質を用いる特殊療法は不要となっているが、高齢者や孔幼旧ぺ妊婦、あるいは糖尿病患者や心肺機能に支障のある人など抵抗力の弱い人、そして心身を酷使する仕事についている人には、合併症を防ぐために抗生物質が用いられることもある。なお食事は高エネルギーのものを少量とることが基本で、消化器に負担のかかる高脂肪食は避け、水分を十分に補給するようにする。

予防

インフルエンザの予防策としてはワクチンの注射が一般的である。注射は一週間から10日の間隔をあけて2回行われ、効果があらわれるのは注射後2週間ほどたってから。有効期間は3~6ヶ月とされている。このほか感染を防ぐために、患者との接触を避けたり、外出から帰ったら手を洗い、うがいをすることも大切である。
また万が一、自分が感染した場合には、マスクをして人にうつさないように心がけたい。

肝腫瘍

肝臓に細菌感染が起こり、肝臓が化膿した状態になる病気。

症状

38~40度の高熱が出るが、1日のうち1度以上の熱の変軌がみられることがある。また、熟に伴って吐きけや嘔吐があり、食欲不振、肋骨下部からみぞおちにかけての不快感と痛みがみられ、肝臓がはれてくる。とくに痛みはしだいに激しくなり、息を吸っただけでも痛みを感じるようになる。黄疸を伴うこともある。

原因

細菌感染や、アメーバが原因となって、肝臓が化膿し、なかにうみがたまって発症する。大腸菌などの細菌によるものを化膿性肝膿瘍といい、これは胆のう炎や虫垂炎などに引き続いて起こることが多い。

一方、日本ではあまりみられないが、熱帯地方では赤痢アメーバによる発症例があり、この場合は腸内から血管に入った赤痢アメーバが肝臓に達し身症状、膿瘍をつくる。

検査と治療

症状のほか、X線CTや超音波検査で膿瘍が認められれば、容易に診断できる。治療には抗生物質が用いられるが、膿瘍が大きい場合には、超音波誘導によってカテーテルを挿入してうみを吸引除去する。
この排膿により治療成績が向上しているが、排膿が困難な症例(多発性肝膿瘍) では生命の危険を伴うこともある。

脳腫瘍

脳に化膿歯が入って炎症を起こし、脳の組織が壊されてうみのかたまりができる病気を脳膿瘍という。

症状

化膿に伴う発熱のほか、炎症が起きた脳の部分の機能障害があらわれる。そのため、けいれんや手足のまひ、しびれといった運動機能障害や、言語障害、視力障害、聴力障害のほか、意識障害など、さまざまな症状があらわれる。化膿してうみのたまった部分が大きくなると、脳庄が著しく克進し、激しい頭痛や吐きけ、嘔吐、めまいなどを伴う。

原因

体内に侵入したブドウ球菌、肺炎菌、インフルエンザ菌などの化膿菌が血液の流れにのって脳に運ばれる。あるいは中耳炎や副鼻腔炎など、脳に近い器官に起きた炎症が原因となって、そこから直接化膿菌が脳に入ることもある。

検査と治療

X線CTやMRIなどの画像検査が有効で脳や脊髄の状態から診断する。治療法としては、まず抗生物質と頭蓋内圧を下げる薬によって脳の状態を改善し、その後、うみを包む被膜が形成された段階で、手術で患部を摘缶する。
以前は死亡率が高く、後遺症を残すことの多い病気だったが、現在では診断と治療法の進歩により、完治率が高まっている。

脳炎

脳炎は代表的な神経系の感染症で、ともに細菌やウィルスが原因となって脳に炎症を起こす。現在では珍しい病気のひとつだが、一般に流行性で感染力が強く、特効のある治療法がないため、精神障害や知能低下などの後遺症が残る恐ろしい病気である。

症状

感染から発病までの潜伏期間はウィルスや細菌の種類によって異なり、そのほとんどは1週間から1ヶ月で発病する。しかしなかにはスローウイルス性脳炎と呼ばれる進行がゆるやかな脳炎もあり、その場合、発病までに数ヶ月間もかかることがある。
症状としては、突然の発熱に頭痛、嘔吐、意識障害、けいれんなどを伴うのが一般的で、ときには腹痛や下痢などの症状を訴えることもある。
日本脳炎の場合、突然、39~40度の高熱に襲われ、同時に強い頗痛やめまいを感じる。また食欲がなくなり吐きけをもよおすこともある。体温は2~3日で40前後まで上昇し、それが10日間ほど続いたのち、しだいに熱が下かる。この間、患者は意識がもうろうとなり、うわごとをいったいり、手足をバタバタさせたりする。
そして重症の場合には、意識が混濁したまま死に至ることもある。脳炎は脳に障害が起きる病気だけに、感染した人に重い後遺症を残す。代表的な後遺症には、精神障害や知能低下、言語障害、筋強直などのほか、全身の動作が遅くなり、手の指にふるえがくるパーキンソン症候群などがある。

原因

脳炎の種類には、日本脳炎のほか、エコノモ脳炎、ヘルペス脳炎、遅発性ウィルス脳炎などさまざまなものがある。原因としては、コガタアカイエカによって媒介される日本脳炎のように、ウィルス性のものが一般的だが、なかには細菌やウィルスなどとは関係なくアレルギーや自己免疫の異常によって起きるものもある。また結核や梅毒などによって脳炎を起こすこともあるので注意が必要だ。
なお、一般に10歳以下の子どもが発病することが多いが、大人がかかることもあり、その場合、死亡率は子どもに比べて高くなる。

診断と治療

診断には、X線CTやMRI 、脳波、脳脊髄液などの検査が行われる。治僚には入院が必要。ヘルペス脳炎の場合は、近年、このウィルスに有効とされる抗ウイルス薬(アシクロビル)が開発されたが、必ずしも予後はよいとはいえない。そのほかの脳炎の場合も確実な治療方ではなく、症状や後遺症を抑える対処療法が中心となる。

予防

日本脳炎の予防としてはなんといっても予防注射を受けることが一番。ただし、1回めの注射では個かが出るまでに1ヶ月かかるので、日本脳炎が流行しやすい7月に備えて5~6月ごろに受けるのがいい。

過食症

精神的なストレスを解消するためにひっきりなしに食べるのが過食症であり、男性よりも、女性に多くみられる。肥満でで紹介した神経症による過食もそのひとつだが、強いやせ願望が原因となる神経性食欲不振症の反発が異常な大食となってあらわれるケースもある。
後者の場合、本人はいつ自分が大食を始めるか不安になり、食事をしても口に指を入れて食べ物を吐き出したり、下剤を服用したりするので、いくら食べても太らない。
過食症は、精神的・心理的な原因、内分泌的な原因など多種多様なので、内科医、心療内科医、精神科医とよく連絡をとり合って治療を受ける必要がある。

肥満症

脂肪組織にたくさんの中性脂肪がたまって体重が増加した状態を肥満症という。医学的には標準体重をもとにして肥満の有無を判断することになっている。
なお肥満症には単純性肥満と症候性肥満の2つがある。単純性肥満は特別な病気がなくて太っている状態であり、症候性肥満は内分泌系の病気や遺伝、脳の異常が偵閃で太るものである。
肥満している人のほとんどが単純性肥満であり、症候性肥満は全体の5%程度。ここではおもに、単純性肥満について述べる。

原因

日常生活で消費するカロリー以上の栄養をとり、その結果、余った栄養が中性脂肪に変えられて脂肪組織に蓄積されることが原因となる。遺伝的に太りやすい体質の人もいるが、単純性肥満のほとんどは食べすぎと運動不足が原因である。
とくに成人男性には、食べすぎと同時にアルコールによるカロリーのとりすぎが目立つ。また食べることによって寂しさや欲求不満、退屈など精神的ストレスを解消しようとするのが強迫的過食で、女性にはこれが原因で肥満する人が多いといわれる。妊娠のたびに食べすぎて太る母性肥満も女性特有の現象である。

肥満による病気

肥満は体内に必要以上の脂肪が苔横されている状態であり、肥満が原因でさまざまな病気を誘発する例が多い。たとえば肥満しているために動作が鈍くなる、
とくに膝関節や股関節が体重を保持することがむずかしくなる。体重が重いため心臓がふつうの人よりも余計に働くので、心臓肥大や不整脈が起きやすくなる。
とくに糖尿病や動脈硬化、高血圧症といった生活習慣病は肥満と強い因果関係をもっているので注意が必要だ。遺伝的に糖尿病の素因をもっている人の場合、ふだんでも膵臓からのインスリンの分泌が不足がちであるのに、肥満するとインスリンの需要がいっそう増加してしまう。
そして、この需要に応えられなくなると糖尿病が出る。また体内に余分な脂肪が蓄積されれば、当然血液中の中性脂肪が増加して動脈硬化の原因となり、このことが心筋梗塞や脳血栓などの病気を引き起こす。一方で肥満は血圧の上昇もまねいて心臓の負担を増やし、心筋障害の傾国となることがある。このほか、痛風や脂肪肝、胆石症、がん、女性の場合は不妊症の率も高くなる。また、肥満の程度が高いほど平均的寿命が短くなる。

診断

それまでの病歴や、家族歴、生活歴、身体検査の結果などから、単純性肥満か症候性肥満かを判断する。その結果、単純性肥満であれば糖尿病や心臓障害、肝臓障害などの合併症の有無を調べる。また症候性肥満の疑いがある場合には、入院による精密検査を行い、肥満の原因となる症状別に応じた治蝶をする。

治療

薬剤使用は副作用もあるので、治療には減食と、それに応じた適度な運動が自然で、最も効果的。減食ただ単に食事の量を減らせばいいというわけではない。
食品に含まれる栄養素のうち、エネルギー源となる糖質や脂質を減らし、からだをつくるたんばく質や生理作用に欠かせないビタミンやミネラルは十分にとるようにする。そのためにも主食は少なめに、おかずの種類を多くして、野菜はとくに多くとるような心がけをしておきたい。朝、昼、夕3回きちんとバランスよくとり、味つけは薄め、アルコールは控え、ゆっくりと、よくかんで食べることが大切。
なお減食による減量は、1週間に1kgくらいのペースが適当。断食は危険を伴うのでやめたい。運動運動によるエネルギー消雪はわずかで、運動だけでやせることはむずかしい。しかし、食事療法だけで減量すると、脂肪だけではなく、筋肉まで減ってやつれてしまう。
特別な運動ではなく、なるべく歩く、階段を使うなど、日常生活のなかで生活習慣として、からだを動かすことを取り入れていきたい。

神経性食欲不振症(拒食症)

思春期前後の女性に多く、拒食症ともいう。精神的な原因で食欲を失ったり、肥満を異常に恐れて極端なダイエット(節食と断食)を繰り返す。

症状

極端なやせ(標準体重より20%以上やせている)のほか、無月経、便秘、間食などが特徴。

治療

心療内科医、内科医により行う。正常体重、普通人の食行動になるまで長期間かかる。早めに医師の診察を受けることが、治療期間を短縮させるコツである。

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